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Fieldwork #4 Hancock 2/2
Hancock Shaker Villageは訪問した2023年時点で、およそ20の建築と20000点を超えるアーティファクト、コレクションが存在しているそうです。
中には復元品もあれば、他のコミュニティ、地域の物も含まれています。
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オーバルボックスや椅子をつくる男性信徒たちの工房は、雑然とはしていましたが、たくさんの治具や道具が並んでいました。
復元展示であるというよりワークショップの場も兼ねているような印象です。
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ハンコックの主な産業は農業です。特に初期には種子の販売が共同体の経済を支え、後期にはスイートコーンの販売に力を入れました。
ラウンドストーンバーンに見られるように酪農や乳製品の加工も積極的に取り組まれました。
木工製品に関しては、オーバルボックスはコミュニティのために作られる場合が多く、対外的な販売は少なかったとされます。
それに対し、Swift(かせくり機)はハンコックの特徴的な生産品の一つとして知られます。
アルフレッドやサバスデイレイクなどのコミュニティーでは木工品の販売も重要な経済活動として捉えられていたが、ハンコックではそれほど大きな割合を占めていたわけではないことがわかりました。
対外的な販売は少ないといっても、自分たちのコミュニティーやファミリーの生活を賄うための木工品の量は多大です。加えて、大規模なコミュニティの一つであるために、大型の家具製作もハンコックコミュニティでは盛んに行われていました。多くの図録で紹介される美しいキャビネットやビルトイン家具の多くを見ることもできました。
ハンコックのDwelling Houseのビルトイン家具はシェーカー家具の中でも非常に美しく、洗練され、優れたものであることが知られています。
ハンコックのビルトインカップボードやドロワーは、バターナットやホワイトウォルナットといった木材が統一して使用されているのが非常に特徴的で、松材が多く使用されるシェーカーの箱物家具とは異なる重厚感を持っています。
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テーブルやキャビネットなどの家具類を様々に製作したハンコックですが、椅子の製作例はあまり知られていません。
20世紀半ばまでの認識では、ハンコックの椅子であるとされていたものが、現在は他のコミュニティ、特にマウントレバノンやウォータブリットから購入したものであることがわかるなど、今もなお研究や調査によって情報は更新されているのが、シェーカー家具を学ぶ面白さでもあります。
シェーカーコミュニティにおける家具の購入と製作(自給)のバランスは一様ではなく、各コミュニティの財政状況や労働状況によって異なります。全体に共通する傾向としては、最盛期までの時代に家具が盛んに製作されました。
最盛期を経て、信徒が減少し、高齢者の比率が増加すると、労働力、つまり生産能力は低下します。また、すでに豊富な家具や道具が揃っているために、新しいものを必要としない、需要の低下もあります。
家具が必要となったとしても、その需要は限定的で、生活設計全体に関わるようなものは生まれにくくなりました。
そのため後期には家具が製作されず、購入されることもしばしば見受けられるようになります。
信徒の不足と労働者の不足というのは、シェーカーコミュニティにおいてはダイレクトに結びつきます。
そのため、外部労働者の雇用や家具や資材の購入などの変遷にもコミュニティーの衰退の様子を知ることもできます。
ハンコックの象徴的なRound Stone BarnやDwelling Houseが建てられる1830年ころ、シェーカーの黄金期です。
この頃にはすでに外部の労働者の雇用もありました。しかし、このような最盛期における外部労働者の雇用は、限定的で、とりわけ建築における技能者の雇用が代表的です。
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外部の労働者を継続的に雇用する必要が生まれたのは、1850年頃、男性信徒の獲得が滞った頃からとされています。彼らが住んだ建物はそのままHired Men's Shopと呼ばれています。
この建物にももちろん美しいシェーカー家具が並びます。
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建物自体は元々は種子の加工のために利用されていたもので、外部労働者のための宿舎となり、1905年に現在の場所(ビレッジ中心部)に移築されています。
ちなみに、写真のような独立した大きな家具は、現場で組み立てて完成させることが多かったそうです。
余談として、カンタベリーでは、作られて以来、一度も動かすことができていないワークベンチを特別に見せていただきました。
シェーカー家具には、その大きさが故にまだ一般に公開されていないようなものもあります。
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外部の労働者たちが寝泊まりした部屋は、信徒たちが寝泊まりする部屋とよく似ています。
無駄なものは無く、シェーカースタイルに特徴的な装飾性が抑えられて横幅の狭いベッドや椅子、デスクが使用されています。
興味深い風景としては、ベッドの手前にあるトランクを見ることができます。これは個人の所有物を管理していたものだろうと推察しています。
トラスティーズオフィスの豪華絢爛とは違い、外部の労働者の建物は比較的シェーカーの暮らしに近い家具が使用されていたというのは興味深いことです。
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ハンコックのシスターたちの仕事は、他のコミュニティと大きくは異なる部分はありません。料理、洗濯、アイロン、縫製、紡績といった内職がシスターの務めである。
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紡績、縫製に関してのダイナミックな展示が印象的でした。シェーカーの文化において衣類の自給が重要な項目であることがよくわかります。
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1890年代までのシェーカーの重要な手仕事の一つとして、バターやチーズのような乳製品の加工が知られます。
この建物には、後年、水力の機械を導入したことでより効率的に乳製品を加工することができるようになったそうです。
水力タービンのあったLaundryからDwelling House、Sisters Shopは横並びに配置されており、それぞれにパイプが通されています。それぞれの建物は、男女の分離が徹底されるが、男女の労働環境に差が生まれないようにという配慮は節々に見られます。
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ハンコックのチャーチファミリーのエルダーは、同時にコネチカット州のエンフィールド、マサチューセッツ州のティリンガムのコミュニティを管轄とするハンコックビショップリックのミニストリーでもありました。
ハンコックではDwelling Houseの中に寝室とダイニングルームを持ち、対面する建物が仕事場となっています。
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通常の信徒の使うダイニングルームとは異なる専用の部屋や、別に建てられる仕事場はミニストリーがシェーカーの共同体において、格別な存在であることを示しています。
ファミリーサイトが大規模に残るハンコックではこのような集落単位のデザインを俯瞰的に見ることができ、大きな収穫となりました。