雪降る冬のパリで vol.3
パリで短期留学
参加した語学ツアーには2つのグループが混在していた。1ヶ月の短期留学と6ヶ月以上の長期留学だった。短期留学グループの参加者はフランス語を専攻している女子大学生がほとんど(男子学生も数人)で、長期留学グループは年齢も職業も様々だった。部屋は2人部屋で、多分朝食はついていたと思う。
パリ6区の学校にはフランス人の先生しかいなかったから授業はフランス語のみで行われた。昼食は学校内にあるカフェで食べた。その時先生たちがお昼からグラスワインを飲んでいることに日本とは違うなと感じた。語学ツアーには日本からフランス語の教授も同行していたので、疑問があれば日本語で質問することも出来た。
ツアー参加者は全て同じ建物内に宿泊していたので、しぜんと長期留学する人たちと親しくなった。キッチンはなかったので本格的な自炊はかなわなかったが、スーツケースの上にマルシェで購入した食材やワインを持ち寄って並べ、夕食を食べながら話をした。
特に親しくなったのがAさんだった。私より10歳以上年上で、髪型はおかっぱボブ。前髪を額に垂らし、後髪は肩辺りで真っ直ぐに切りそろえていた。お人形のように可愛くて、フランス人男性には好感を持たれる髪型だ。穏やかな物腰でゆっくり話してくれるから、一緒にいて心地よかった。
二人きりになったある日「これ、かつらなのよ」と彼女が言った。それまで私の周辺にはウイッグを身につけている人がいなかったので興味を持った。
vol.4に続く