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デカいアフロを装備した話

※これは建築とは関係ないノンフィクション雑記です。


みなさん、デカいアフロを知っているだろうか。

普通のアフロではない、とにかくデカいアフロである。

雑貨屋のパーティーグッズの一角においてあるアレである。

夏休みで地元に帰ったのが運の尽き。僕は19歳の時に友達に付けられてしまった。買ったのは僕。

当時は4000円もした。貧乏学生には手痛い出費である。学食で10食は食べられるから、そりゃ大金である。

当時はウィッグというオシャレな言葉がなかったので、カツラと言わざるを得ない、とにかくデカいアフロ。


ちょっと遊びに行こう、ということでデカいアフロをかぶり、助手席に友人を乗せ、車を走らせた。

ちょっと待て、首を曲げないとデカいアフロが車の天井に当たるではないか。首を45度曲げて、斜めの視界のまま車を走行する。


友人はここで車を止めよう、ということで、やってきたは地元のショッピングセンター。

友人に促されるまま、駐車に苦労して(バックするにもほぼ見えない、デカいアフロが邪魔して)、車を降りる。

駐車場の一角の、「電柱と電話ボックスの間を通れ」との友人のお達しだ。

まあ当然、肩幅より大きいデカいアフロなので、やつが邪魔をして通れない。何度か首の角度を変えて通行を試みるが、通れない。

すると、目の前の駐車場内の車道が混んできた。みんな、僕のデカいアフロでの奇行を眺めて、いったん停車していくうちに、いつの間にか行列になっていた。

このままでは、警備員が来そうなので、慌ててショッピングセンター内に入る。夏休みとはいえ、世間は平日の郊外のショッピングセンターなんて人気が少ない。

通路を歩く。私とすれ違う人は、すれ違う時に見、すれ違った後でも見る、いわゆる二度見がデフォルトの状況だ。

友人よ、頼むから並んで歩いてくれ! 何度も懇願したがニヤニヤと後ろからビデオ・カメラで撮影している。

とりあえず駄菓子屋さんに入るか、とまた友人の提案。

店員の「疑念」の視線を感じながら、店内をぶらつき、いくつかお気に入りのお菓子をかごに入れる。

なんてできた店員なのだろう、デカいアフロなのに、てきぱきと会計を済ませ、最後にはありがとうございましたと笑顔をくれた。

あれ、ずいぶん店内に人がいるな。それだけでなく、通路にもたくさん。

ん?なんだか熱い視線を感じる。みんな僕の方を見ている気がする。目の前の女学生2人組は笑いながらなにやらひそひそと話している。

「友人君、もう耐えられない、逃げよう!」

友人が語るに、もう少し逃げるのが遅かったら、独演などして、サインなどを求められそうな雰囲気だったという。どうも~といって一目散に逃げ出した。

車に戻り、デカいアフロを後部座席に叩き込んだ!


地元の、どこにでもころがっている郊外のショッピングセンターの日常を、少しだけ非日常に変えた、夏のある日だった。



ぱなおとぱなこ







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