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増築景観のデザイン性

古いとはいっても、歴史的町並景観に登録されるほど古くない、昭和初期~中期の建築が佇む街を歩くと、増築された建築がよくある。それを風情という言葉では、捉えることのできない、なんともいえない景色がある。

駐輪場の屋根を増築とか、そういうのじゃなくて、ダイレクトに古い建築に、新しい建築を重ねたスタイルの建築。



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新しくつけられた増築部は、古い方の建築より決まって「簡素」だ。住宅や、住居兼街工場によくみられる風景である。新しい作業小屋を付け足して生み出された風景。

こうしてみてみると、この建築を付け足す行為というのは、住んでいる人の意思の表れであり、願いでもある。

具現化された物質は、新旧の質感が対照的な、どこにもない景色を生み出している。古くて新しい建築デザインの成れの果てというか、むしろ付け足し続けられて、デザインが終わらない建築といったところか。



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この住居もすごい。物干しコーナー(屋上テラスかも!)が欲しくて付けたのは良いものの、出入り口は、窓からにせざるを得なかった、といったところである。

外壁の塗装がパッチワークなのもまた良い。住み続ける間、ながらくメンテナンスを繰り返してきた偶発的にできた風景である。

これを、建築士としてよいか、悪いかを問いたいんじゃない。増築を重ねて違法になることもあるが、かといって正義感振りかざして直しなさい!と言いたくもない。そんな無粋なことを言いたいんじゃない。

なんだかね、こういう都市って生き生きとしてるなあと。

人の営みが現れて、物質化された街並み。デザインが一新された洗練された都市よりも、人間臭くて、好ましいとさえ思う。


増築景観は、意図せず偶発的に表れた景色であり、そこには人の営みや願いがあらわれた全く新しいデザインである。と思う。

新しくこんなデザインを施すことは不可能であり、とても陳腐なことだ。年月をかけてやっと醸成され続ける景色であり、10年後、20年後にはまた違った都市景観を生み出す新しいタイプの建築だ。


ぱなおとぱなこ

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