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もんじゃとラムネ

大した大学に受かった、と元生徒があいさつに来た。ココは東京下町・都電沿線の学習塾。おー!そうかそうか、そんじゃ塾手伝うかい?


はい!


【講師のなり手がみつからない】と嘆く大手塾に比べて、募集にお金をかけなくても、こうしてとっても優秀な講師に事欠かない。


食べながら聞いてね。


そして、募集に掛けていない分を時給に反映させてあげられるのだ。大手学習塾のそれよりも、すこ~しだけイイもの食べれる位は保証してあげられる。しかも、昇給伸び率半端ない(笑)。


この地に学習塾を開校して7年目。ようやく自塾純粋培養笑講師が大半を占めてきた。ありがたいことだ。


さて、子どもにはワタシを含め、講師を選ぶ選択権がない。時給の高い講師も・ペーペーの講師も同じ月謝だ。だから(教務クオリティのコモディティ化のために)、ワタシ達はとっても時間を掛けて新人講師を研修する。


ネットなどでアルバイト講師が『面接のその日にクラスを任された』とか暴露しているのを読むと、本当に怒りがこみ上げる。


こ れ が 大手のやり方か〜!!!©おかずクラブ


ワタシ達と一緒に勉強した生徒が、そのまま講師になりたいと言っても、しっかり6週間(!)研修を受けてもらってからクラスを任せるようにしている。


だから、はじめましての担任は、その時点でワタシや、教務主任と同じ力量じゃなければいけないよ、ともんじゃをはがしながら伝える。


『え!先生と同じように?』
『できるわけないじゃないですか~』


・・・わかいもんは弱音を吐く。すぐに吐く。もんじゃをはがしながら(吐く吐くいうなよ、まずくなる)、


『あのね、キミタチ。謙遜かもしれないけどね。すぐに、できない~とか言って、不安そうな目をして授業やってみ?絶対間違いなく子どもにそれは伝染するよ?


・・・不安が伝染した子ども達も、当然不安になる。そりゃそうだ、キミタチの何気ない一挙手一投足をかれ達は見ているからね。で、言う。』


『え、誰に何て言うんですか?』


『親御さんだよ、もちろん。で、なんと言うと思う?

・・・今日、塾の先生が問題解けないって不安そうに言ってたって言う。』


『え、誰もそんな事言ってな・・・』


『・・・子ども達は、きっとそう言う。それが伝言ゲームで、ママ友にあそこの塾は程度の悪い、小学校の問題も悩む講師がいるザマスって、きっとそう言うザマス』


『・・・確かに、先生は、無駄に自信満々でした。』


『無駄に、じゃないけどな。』


ワタシは、彼らに子ども達のあこがれになってほしい、と伝えています。正直に、誠実にやる事は時に悪手だよ、と伝えます。その上で、ブラボー先生は今でも憂鬱な授業はあるよ、と伝えます。


『そうなんですか??(現役の頃)ちっともわからなかった。』


『そんなの、見せるわけないじゃない。でも今でも心配で、だからちゃんと準備して、シミュレーションして教務日誌にメモをしてってやってるよ。多分、どの講師よりメモ取ってるよ。』自分の記憶力に不安がある、とは言わない。


ワタシも教務主任も、向かいに座る新人講師二人も、皆、同じ塾の同窓生。真面目な話をしたあとはしばらく、同級生のアイツはどうだったやら、実はあの子のことかわいいと思っていたなど、どうしようもない話を一通りして帰った。その後もう、お仕事の話は、しなかった。


もんじゃ屋の帰り道。『先生、オレ、塾がんばってみたいです。』と言って、彼は帰っていった。




その時に飲んだラムネは、
確かに塾生時代の味がした。
ブラボー先生®




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