バレエ素人初心者考察~③「知る」~
皆さん、こんにちは。バレエ&ストレッチ横浜のアシスタントのO(オー)です。
バレエを始めてから、よく感じる感覚なのですが…「いいクラス」という感覚があります。
・バレエの動きが上手くなった。
・音に合わせて踊りが出来た。
・ピルエットが上手に回れた。
このような感覚もそうなんですが、ここで言いたいのは、「雰囲気がいいクラス」ということです。
雰囲気がいい。というのは、簡単に言えば「楽しいクラス」と言い換えることもできるのですが、この感覚がバレエを始める・続ける上で、とても大事なのではないかと僕は考えています。
「始める・続ける上で"楽しい"って、当たり前じゃない!」
…そうなんです。当たり前なんですが、これがクラス全体によってもあったり無かったりするし、自分の中でもあったり無かったりする。それと重要なことだと思うのですが、"楽しい"っていう感覚が独特なものなのではないかと思うのです。だから「雰囲気がいい」という書き方をしました。
さらにこれがバレエ経験の有無とは別のベクトル上に存在している感覚なんじゃないかと私は思っておりまして、だからこそ素人初心者考察として語ってみたいのです。
つまり、この「雰囲気の良さ」や「楽しさ」というものの要素がわかってくると、バレエをやったことが無い人や、これから始めてみようと思っている人の、心構えのようなものになるのではないか!?とも思っているわけです。
そんな「雰囲気の良さ」や「楽しさ」といった要素を3つの視点から見てみたいと思います。(ボリュームの関係で回を区切ってご紹介いたします。)
1.「知る」という事
2.自分とのコミュニケーション
3.誰かの熱を感じる
今回は紹介するのは…
1.「知る」という事
皆さん、自分がバレエをはじめる日を想像してみてください。(既にはじめている人ははじめた日を思い返してみてください)
初めて訪れる場所・土地・駅、教室内の温度・湿度・におい、窓がある部屋・無い部屋、蛍光灯の色味、床の感触…
今日からはじめるのであれば、まさに全てのことが、今日はじめて「知る」ことになる経験になると思います。
そして、周りにいる人(他の生徒さん)、先生、いざ始まるバレエのレッスン…
私もそうでしたが、バレエレッスンをはじめた人(特に大人の方)の多くは、これからはじまる未知の領域への期待と不安の緊張の中で、全身の五感、感覚のセンサーをフルに使って、経験値として蓄積されるのだと思います。
全ての物事に存在する「最初の一歩」ですが、この感覚は最初の方でしか感じられない感覚なので、まずは新しいことを「知る」感覚を純粋に楽しみましょう!
さあそしてレッスンが始まりましたが、ここで本題の「知る」感覚です。
当たり前ですが、バレエを初めて習う方は、バレエの動き一つひとつの感覚も「知る」局面においては全て新たな「知」になるわけですが…
面白いのは、自分がどれだけ自分の身体のことを「知らなかった」ということがわかる(知る)ことです。
僕自身のエピソードで恐縮なんですが、バレエを初めて習ったあの日、いちばん衝撃だったのは「真っ直ぐに立つ」ということがどういう状態かを教わった瞬間でした。
もともと比較的姿勢には自信があったので、最初のバレエレッスンで「真っ直ぐに立ってみて」と言われた時に、ドヤ顔で「はいっ!(どうぞ私の真っ直ぐな姿勢をご覧ください!)」と立ってみたところ、その時のバレエの先生から「えっと…それでは直していきますね…まずは頭と顎と目線と首と肩とみぞおちと…ココとココとココとココとココとココと…(以下省略…)」とほぼ全身修正される始末。
で直された時にはじめて「えーっっっ!これが真っ直ぐに立つってこと!?」と知ったわけですが、当時齢29歳…ほぼ30年間「真っ直ぐに立つ」ことを知らなかったわけです。
でも、この時を境に「真っ直ぐに立つ」ことがどういうことかを意識するようにもなりましたし、これがバレエの動きの中でどれだけ大切なことなのかを意識するようにもなりました。
上記で先生から指摘された「ココとココと…」の"ココ"が大事なところで、これを一つひとつチェックしなかればならない。ただ「真っ直ぐに立つ」という話が、実は単純なものではなく、複雑な要素が絡み合っている。そういうことを「知る」ことが、一つ真理に近づくことなんじゃ無いかと思うわけです。
ちなみに面白いのは、今は「真っ直ぐに立つ」ということはあまり意識することはありません。なぜならあれから意識し続けていったことによって、意識しなくても「真っ直ぐに立つ」ことが出来るようになってきたからなのですが、実はバレエの動きのほとんどが、この考え方で成り立っているようです。
以前聞いた話ですが、バレエダンサーは"踊らない"のだそうです。彼らは公園を散歩しているかの如く、日常の動きをただ振る舞っているだけという。
ちなみに「真っ直ぐに立つ」の続きで、「走る」というものがあります。
バレエの演目の中で、「走る」動きがあるのですが(厳密には「追いかける」動き)、これが本当に出来ない。
「歩く」や「走る」など、当たり前にやってる動きを、いざ人に見てもらうようにやってみてくださいと言われると、これが本当に出来なくて面白いのです。
でもプロのダンサーさんたちは、当たり前にやっていますよね?
当たり前に当たり前のことをやっているので、一般の人々は何がすごいのかわからないのです。
「真っ直ぐに立つ」「歩く」「走る」など、我々が当たり前と思っていることについて、再度「知る」ということ。そしていつかは出来るようになり、いまや意識などせずとも出来るということ。
これって、赤ちゃんが立てるようになる過程と似ていますよね。
私たちはバレエを通じて、再度「立つ」「歩く」「走る」ということについて、これがどういうことなのか?「知らない」ことを「知る」ことになるのです。
古代ギリシャのソクラテスが「無知の知」という考え方を提唱されていますが、おそらくこのことではないでしょうか?
さらには「知らない」ことを「知る」と同時に、この先にとんでもない「知らない」山があることに気付かされ、絶望を感じることにもなるのです。
※心理学用語「ダニングクルーガー効果」の「絶望の谷」というところですね。
「知る」ということは、「知らない」ということがわかることだ。という話ですが、話のまとめとして、これって結局何が「雰囲気がいい」「楽しい」なの?と突っ込まれてしまいますが、最後に2つ申し上げたいと思います。
1つは、私は11年間バレエレッスンを続けておりますが、端的に申し上げて「そんなにバレエは上手くありません」。(色々と言いたいことはありますが、世間一般に申し上げる「この人はバレエ上手だね!」という人では無いという意味でです。でももしかしたら、「この人は、全体的には粗削りだけど、何か光るものは持っているかもしれない」という可能性を感じさせる・つまりそういうある種の"上手さの錯覚"ものはあるかもしれません。)
で、この11年間…面白いくらいに"発見"があります。それもほぼ毎回のレッスンで。この"発見"というのが「知る喜び」なのだと思います。
それは時に…
・「うわっ!回転のコツわかっちゃった!やった!(といって次に忘れる)」
・「アンデオールってこんなにやらなきゃダメなんかっ!キツっ!」
・「また胃が出てる・お尻が出てる…というダメな姿がわかるようになる=客観視出来る」
上記のような形で現れますが、大したことに見えないかもしれませんが、本当にこの小さな小さな気づきの積み重ねが、どこかで絶望の谷を超えていくエネルギーになるのでは無いかと思うのです。
そのくらい毎回新たな発見がある=「知る」ということがあるのが、バレエレッスンなのかなと思います。
2つ目は、この「知る」という感覚が、自分だけのものではない。ということです。
タイミングは違えど、一緒にレッスンを受けている仲間であれば、おそらく多くの方がこの「知る」という感覚について、様々なシーンで共感できるのでないでしょうか?
もちろん一番よくわかってくれるのは、レッスンを教えてくれる先生でもあると思います。もし自分が感じた新たな「知」に対して、「先生、もしかしてこれってこういうことでは?」と先生に聞いてみてもいいかもしれません。
「わかること」と「できること」は違うと思いますが、バレエレッスンで先生が気にされていることは、生徒さんが「わかっているか」ということかと思います。
「できること」は良いことですが、同じくらい先生とも「わかる」ことについて話してみてください。
最後に…
この2つの感覚について、最後にバレエ&ストレッチ横浜から宣伝です。
バレエ&ストレッチ横浜では、大人からバレエをはじめてみたいという生徒さんが多数いらっしゃいます。(ほとんどの方はバレエ初心者です。経験のある方でも、子どもの頃に経験していて、大人になってから再開したいという方なので、初心者に近い方が多いです。
大人になってからでもバレエをはじめられますし、むしろ大人になった今だからこそ、自分と向き合えるのではないか?とも私は思います。
自分の身体の感覚もそうですが、(最初は絶望の谷は経験することになると思いますが)新たな「知」に触れて、身体も心も一緒に成長してみませんか?
バレエ講師は、優しい指導で有名なユリエ先生です。切磋琢磨できる仲間も年齢・性別関係なく、みなさん自分のペースで続けていらっしゃいます。
今回の記事をご覧になって、もし少しでもバレエに興味あるかも…と思った方は、ホームページもご覧になってみてください!
「雰囲気の良さ」や「楽しさ」といった要素についての下記2と3については、別の機会に考察していきたいと思います。
1.「知る」という事 →今回
2.自分とのコミュニケーション
3.誰かの熱を感じる
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