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作家のテーマ(文学を人生のBGMに③)

村上春樹氏は『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を出版した時、インタビューで「フィッツジェラルドの文学」という言い方をしていたが、作家には、それぞれに文学がある。
テーマのようなものがある。

主題(テーマ)というか、業というか、問題意識というか。
毒、というか。(毒という言い方については、拒絶されるべき心の暗部、恥部、みたいなニュアンスが出るので、必ずしもそうではないのだが、テーマの中には、そういうものも、躊躇なく含まれる。)

それを追いかけた結果が、作品ひとつひとつに込められていて、その解決方法が読者に理解されなかったり、納得がいかなかったりすれば、作品は読まれたとは言えない。
だから、作品を読み解けた、と思えない場合や、この作品は何を語っているんだろう、と思った時、私達は他人の「読み」を参考にする。
他人の批評を、感想を、レビューを。

けれど、他人の考えたその通りに読んだところで、それをなぞったところで、結局は他人の解き方でしかない。

受験生で言えば、解答集を書き写すのではなく、自分でちゃんと問いてみること。そのルートを、自分で踏破してみること。

小説家で言えば、自分なりにそのテーマで書いてみること。同じことだとしても、自分で物語をなぞってみることだ。
※村上春樹氏も、どこかで「そのテーマについて読むことと、自分で実際に書いて、物語をなぞってみることは違うことだ」というようなことを言っていた。どこに書いてあったのか失念してしまった。探してみよう。

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