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文庫本、ソフトカバー、新書(本の手触り④)

家にあるハードカバーの本の中で、けっこう古いものが、今から60年前、1964年発行の『作家の秘密』だった。
作家はいかにして小説を執筆するのか。
けっこう具体的な、毎日の執筆枚数とか、テーマとか、についてインタビューで語ってくれている。
20年前くらいに、古本屋で見つけた本だ。
ハードカバーの本は、けっこう長持ちするものだ。

ハードカバー書籍の存在感もさることながら、文庫も捨てがたい。
ポケットに入れて持ち運べる。
中学時代に読んだ、角川文庫判の太宰治の『人間失格・桜桃』は、しわしわになりながら、まだ本棚に残っている。
これを読んだことで、文学の世界にぐっと入り込むきっかけとなった。
その文体を真似て、日記を書いたりした。
『遠い海から来たクー』とか、『ぼくらの7日間戦争』も角川文庫で読んだ。
思い出の文庫たちである。

文庫の手触りとしては、新潮文庫がいちばん好きである。
表紙カバーの紙質が、光沢のあるつるつるとしたものではなく、少し抵抗感のあるさらさらで、手になじむ感じが好きだ。
ものによっては、しおり紐がついている。
『ねじまき鳥クロニクル』は新潮文庫で読んだ。
太宰治の『もの思う葦』、オースターの著作も新潮文庫で読んだ。

「利き文庫」ということをやっている人も多い。
本を読む間、ずっと手の平に触れている、手触り。


ソフトカバー(ペーパーバックみたいなもの)というものもある。
村上春樹さんの『神の子どもたちはみな踊る』は、ハードカバーがなく、ソフトカバーでの発行だった。
この短編集は、ソフトカバーと、文庫本でも持っている。

新潮社「クレストブックス」もソフトカバーだ。
シュリンク『朗読者』とか、ラヒリ『停電の夜に』などを、この手触りで読んだ。

新書版は文庫より長い文章の折り返しで、ページをめくるのはハードカバーより多くなる。
青い鳥文庫で、佐藤さとるさんの『だれも知らない小さな国』などを読んだ。
小学生の頃の読書はこの大きさが多かった。
『クレヨン王国』とか、『ちいさいモモちゃん』とか、『次郎物語』とか。


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