小難しい2、文学の定義(文学とは何か⑪)
小難しい表現が文学か、続き。
ぜんぜん難しくはなさそうでも、言葉の並びとか、はっとさせる働きで、ふだんとは違った表現で、文学世界をあらわそうとする文章がある。
吉本ばなな氏の『TUGUMI』を読んでいて、はっとさせられる文章があった。
この人の文章は、平易なように思うが、独特の言葉運びがある。(それは計算されたものだと、作者は語っている。)
また、突然異界に飛び込むような、いわゆるスピリチュアルな面がある。
少女漫画を取り込んだというような、オノマトペを含む表現も見られる。
文章自体が、主人公の不安定な心情が「満ちたり引いたり」している、以前の文章へかかっているのだが、
「感情を移入」とか、突然「平衡」という言葉で大きく締めくくってしまうところなど、あっぱれと思ってしまう。
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その時代、その時代で、文学と定義されるものは違う。
文学史についても、考え直さなければならない、と。
加藤氏は、西尾先生の、
これらの文学の定義は違うのではないか、と、議論を深めている。
日常の言語で充分文学的なことはあろうし、
私小説(独白)ばかりが文学の根本的な形ではない、
また、文学に特徴的な言語の機能などない。
加藤氏の『文学とは何か』は難解で、私はひとかじりしかわかっていない。