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素晴らしき哉、先生!

 朝日放送テレビのドラマ「素晴らしき哉、先生!」が、まもなく最終回を迎える。学校を舞台にしたドラマを観るのは久しぶりである。
 長く学校に勤めていたせいか、学校を舞台としたドラマや映画は苦手である。学校現場が歪曲化されることが多く、作り手の悪意や先入観を感じてしまう。もっとも、学校現場をそのまま描いても『ドラマ』にはならないから、『創作』という観点からはフィクションが入らざるを得ない。また、実際にはドラマ以上のことが学校では起きているのだが、それは映画やドラマにはできない。学校が舞台でも、恋愛や人間模様が主であれば、少し肩の力を抜いて観ることができる。
 学校現場は「ブラック」であるという情報が広がり、教員志望者の減少が続いている。このような中、「素晴らしき」というタイトルは嬉しい。ここまでの放送を観ると学校で働く教員に対する敬意が感じられ、ヤングケアラー問題など生徒を取り巻く社会状況も幅広く描こうとしている。生徒・先生両方の視点から描こうとしている点に好感が持てる。「#教師のバトン」への投稿や、「先生だって人間だ」という本音も正直に描かれていると思う。ただ、先生にとって最も大切な授業や授業準備(教材研究)はほとんど描かれないし、未成年女子高生に下心を持って近づく議員の脇の甘さなど、突っ込みどころも満載ではある。妊娠が判明した主役の女性教員が「先生の立場・モラル」で悩むところなど、「昭和か?!」と思うが、恋愛相手の軽薄さも相まって、どういう結論を描くのか興味深い。(どう結論を出しても賛否両論あって当然である。)
 残り数話になったが、このまま「色々あるけど、先生って面白そう」と視聴者が思ってくれると嬉しい。新卒の男性教員は今風の若者だが、学校現場に臆せず、考えたことを行動に移しているのが良い。しっかり成長も感じられる。
 「でもしか先生」と揶揄され、「先生にでもなるか」「先生にしかなれない」という時代があった。待遇の改善もあり、教員志願者が増え、なかなか教員になれない時代を経て、今また「なり手不足」が現実となっている。今は、先生になる前から高い志や使命感が求められすぎていて、若い人たちは考えすぎている気がする。教員志望の動機は「生徒が好き」「学校が好き」「先生が好き」でいいのだ。学校現場に出てから学ぶことは沢山あり、使命感は後からついてくる。生徒や保護者と共に、先生も現場で育っていくのである。

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