SSHの20年 その2(会津学鳳中学校・高等学校)
会津若松市にある福島県立会津学鳳中学校・高等学校は、福島県初の併設型中高一貫教育校です。県立高校をすべて共学化する、という知事の方針の下、旧若松女子高校の男女共学化に伴い、校名を『会津学鳳高等学校』と変更したのが平成14年。同時に普通科から総合学科への転換を進めました。5年後の平成19年、新校舎の完成と共に(実際の移転は4ヶ月ほど遅れましたが)県立中学校を併設、3年後に中学校1期生が高校へ進学し、概ね6クラスの3分の1が中学校からの内部進学、3分の2が高校受験により会津学鳳高校に入学するという、枠組みができあがっていきました。(現在は、学年5クラス)。
この会津学鳳中学校・高等学校は、平成22年にSSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)に指定されました。5年間の指定後、Ⅱ期目の指定を目指しましたが採択されず、1年間の暫定指定期間を経て平成28年度に第Ⅱ期の指定を受けることとなりました。このとき、校長として赴任したのが筆者です。Ⅱ期目の指定が決まったとき、職員室全体が歓声と拍手に包まれた、と聞きました。「学校全体でSSHに取り組んでいるのだなと」と嬉しくなったことを懐かしく思い出します。
赴任して早々、SSH担当者による校内会議が行われ、当然のように参加しました。ところが、「今まで校長が来たことはない」と先生方に驚かれました。それまでの校長は、会議後にきちんと報告を受けて状況を認識していたのでしょう。驚かれた事にこちらも驚きましたが、私はSSHの取り組みを勉強しようと参加したのです。「その1」で述べたように、私はF高校でSSH導入に否定的でしたし、A高校では事業がなかなか上手くいかなかった様子も見てきました。縁あってSSH最前線の学校に赴任したのですから、身体全体でSSHを感じよう!そんな意気込み(というか、前のめり)だったのです。
着任して2ヶ月が過ぎた頃、1年生33名と一緒に只見町でのブナの森研修に参加しました。只見町はユネスコエコパークにも指定されています。学校での事前研修を踏まえて、地元の方の案内でブナの森を歩きました。そしてここでも「校長が来たのは初めてだ!」と歓迎されました。以来、様々な取り組みや活動に参加した2年間でした。
最も思い出深いのは、京都大学iCeMS(アイセムス 京都大学高等研究院 物質-細胞統合システム拠点)とのコラボ、「iCeMSキャラバン」。分野を超えた学際研究に取り組むiCeMSの研究者が、「自ら考えること、学ぶこと、伝えることの重要性」を“学びのカラクリ”と称するアクティブラーニング型教育プログラムとして展開しました。「iCeMSキャラバン」の名称は、まるでキャラバン隊のようにiCeMSの研究者たちが全国各地の高校を訪れることから名付けられたもので、平成28から令和元年まで展開されました。この様子は、iCeMSのホームページに今でも掲載されています。是非ご覧いただければ幸いです。
※ iCeMSキャラバンウェブサイト https://icemscaravan.com/
※ 会津学鳳中学校・高等学校での様子(動画)https://youtu.be/c47e4Nc3XvQ
その後、会津学鳳中学校・高校のSSHは令和3年にⅢ期目の指定を受け、現在も元気に活動中です。何より、中学生が高校でのSSH活動をとても楽しみにしていた事が印象に残っています。また、学校全体でSSH探究活動を展開するなど、新しい時代に合った取り組みも積極的に行っています。私のあと、現在の校長が4人目となりますが、皆さんSSHを大切に育ててくれていて、とても嬉しく思っています。
これからも、会津学鳳中学校・高等学校のSSHの活動、大いに期待しています。