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魅力的なオーストラリアの小選挙区選挙制度を導入しよう。過半数を獲得した候補者が当選

衆議院議員選挙の投票日が近づいてきました。
現在の衆院小選挙区制度は、政権交代を容易にし、二大政党制を目的に始まった選挙制度です。しかし、問題が多く、政権交代は当分起こりそうにありません。今回は、世界で最も完璧に近いと言われるオーストラリアの投票制度をご紹介します。


現在の小選挙区制度の問題点

現在の衆院選挙の小選挙区制度には、多くの問題があります。
1. 得票が過半数以下でも、得票数一位の候補者が当選する
2. 野党が共闘しなければ、与党が有利
3. 野党が共闘すると、各選挙区の立候補者が減り、有権者の選択肢が少なくなる。結果、棄権が増える
4. 死票が多く出る
5, 小選挙区で敗北しても比例区で復活当選する
6. 供託金が海外と比べ異常に高額で、立候補が容易に立候補できない

民主主義の基本は、過半数獲得

民主主義の基本は、多数決です。つまり、定員1の小選挙区では、有効投票数の過半数を獲得した候補者を当選とすべきです。先月行われた、自民党の総裁選挙(定員1)でも、過半数の得票を得た候補者がいなかったので、決戦投票になりました。

6割の死票が出る

前回2021年の衆議院議員選挙の小選挙区では、自由民主党の各候補は、概ね4割前後の得票で当選し、全国の小選挙区議席総数の7割を獲得しました。当選者以外に投票した6割の投票が「死票」になりました。

野党共闘の難しさ

小選挙区対策として、野党は共闘し、候補者を一本化しようとします。結果、多くの選挙区で、「自民vs野党共闘候補」となり、選挙区によっては、候補者が二人だけの選挙区も多く出ます。有権者にとっては、魅力のない選挙となり、投票率低下の大きな原因になります。現在の小選挙区制度では、「得票率に関わらず、得票数一位の候補者が当選する」選挙制度に問題があるのは間違いありません。
尚、今回の2024年、衆議院議員選挙の選挙区では、野党の共闘は行われず、野党候補乱立となっています。

決選投票制のメリット

小選挙区(定員1)で決選投票を行えば、多くのメリットがあります。
1. 多数決の原則により、有効投票の過半数の支持を受けた候補者が当選となる
2. 野党の共闘、候補者一本化が不要
3. 多くの人が立候補でき、有権者の選択肢も増える
4. 選挙が盛り上がり、棄権者が少なくなる
5. 死票が減少する

決選投票の問題点

民主的な決選投票ですが、有権者は、一つの選挙で2回投票に行かなければなりません。これを面倒と考える人もいるでしょう。
海外では、大統領や首長選に限って決選投票が行われることが多いようです。

魅力的なオーストラリアの優先順位投票制

世界で最も完璧に近いと言われるオーストラリアの選挙制度。それは「優先順位投票制」です。日本の衆議院にあたる下院は、全て定員1の小選挙区。投票者は候補者の優先順位をランク付けすることにより、決選投票を行うことなく、有効投票の過半数を獲得した候補者が当選する仕組みになっています。

投票方法

投票者が一番支持する候補に優先順位「1」を記入。2番目に支持する候補者に「2」を記入。3番目に支持する候補に「3」を記入します。以下、候補者全員に、優先順位を記入します。下記の画像は、選挙区に8名が立候補した場合の投票用紙の記入例です。

当選者決定方法

1回目開票
- 優先順位「1」の票を数えます。有効投票数の過半数を獲得した候補者がいる場合、その候補が当選となり、開票作業は終了します
- 過半数を超える候補者がいない場合は、最下位候補の落選が決定。2回目の開票がスタートします

2回目開票
- 1回目開票で、落選が決定した最下位候補に投票された投票券を調べ、優先順位「2」と記入された候補者の票を上位の各候補に振り分けます
- 累計票で過半数を獲得した候補者が出た時点で、その候補の当選が確定し、開票作業は終了します
- どの候補も累計票が過半数に満たない場合は、下位二番目の候補者の落選が決定し、3回目の開票がスタートします

3回目開票
- 2回目開票で、落選が決定した下位二番目候補の投票券を調べ、優先順位「3」と記入された候補者の票を上位の各候補に振り分けます
- 累計票で過半数を獲得した候補者が出た時点で、その候補の当選が確定し、開票作業は終了します
- どの候補も累計票が過半数に満たない場合は、下位三番目の候補者の落選が決定し、4回目の開票がスタートします

以降、過半数獲得者が決まるまで、開票は繰り返し続けられます。日本では考えられませんが、オーストラリアの激戦区では、当選者決定まで、1〜2週間かかる場合もよくあります。しかし、有権者は、過半数得票者が当選というシンプルな民主的制度を理解し、当選者決定にどんなに時間がかかっても辛抱強く開票結果を待ちます。また、一回めの開票で1位でなかった候補者が当選することもよくあります。

  • すべての候補者に「優先順位」をつけて投票

  • 過半数得票の候補者が出るまで、下位の票を「分配」

投票は権利ではなく義務。罰則付き

オーストラリアでは、選挙の投票は、国政、地方問わず義務です。正当な理由なく棄権した有権者には約2千円の罰金が科せられます。毎回、国政選挙の投票率は90%以上です。

Yes!の提案

1. 衆議院議員選挙の小選挙区に、オーストラリアの「優先順位投票制」を導入する
2. 世界的に高額な供託金(小選挙区300万円)をオーストラリア並み(約10万円)に引き下げ、多くの人が立候補できるようにする
3. 投票を義務化するなどして、できるだけ多くの有権者の投票を促す

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