🐰月うさぎの物語🐰その2
お嬢様はリリィをドレス泥棒に仕立て上げても気が収まらず
今度はママがパパからプレゼントされた結婚指輪やダイヤモンドのネックレスまでリリィが泥棒したことにしたのです
もちろんそれは濡れ衣なのですが
メイドを使ってリリィの机の引き出しにそれらを忍ばせたのでした
お嬢様はドレスの時と同じように
リリィが泥棒したと騒ぎ立てました
まったくどこまで
卑しいのかしら
2度も泥棒するなんて!
とっととわたしの前から
消えなさいよ!
リリィはその場に
泣き崩れると
あたしは泥棒なんて絶対にしてません!
信じて下さい!
そう言って懇願しましたが
お嬢様のパパもママも
メイドたちもみんな
お嬢様の
お嬢様のみかたなので
リリィの弁解など
聞く耳すら持ちません
お嬢様のママは
あなたは今日限り
お屋敷から出て行きなさい
と冷たく言い放ちました
もうすぐ夜がくれようとする時間にもかかわらず
そしてリリィはお屋敷から追い出されたのでした
お屋敷は山のふもとにあったので
険しい山道を歩くうちに
元々ボロボロだった靴が破けてしまい裸足になりました
北欧の寒い国の夜道はとても寒く
リリの身体は氷のように冷たくなっていたのです
そして気温が低くなると
ゆっくりと静かに粉雪が振り出し
時間が立つにつれて
粉雪は吹雪に変わって行きました
リリィの体温はどんどん低くなり
静寂に包まれた山道で意識がどんどん遠くなるリリィは
そのまま倒れてこんでしまいました
しんしんと振り積もる雪は
まるでシルクの掛けぶとんのように心地よくリリィは不思議と寒さを感じませんでした
なんて気持ちが良いのかしら
…
ふわふわの白いお布団なんて
初めてだわ…
でもなんだか
眠くなってきちゃった…
そうつぶやくと
何処からルウが現れ
リリィの側にいつものように寄り添いました
ルウ…どこから来たの…
リリィはルウの頭を優しく撫でると
そのまま静かに息を引き取りました
おぼろげに見える月に照らされたリリィはとても神々しくまるで月の女神のようでした
吹雪はどんどん激しくなり
リリィは白い雪のお布団に埋もれてしまい側にいたルウも一緒に
埋もれてしまいました
それから
数ヶ月後…
リリィとルウが埋もれしまった
場所には見たこともない位に美しい月見草が咲き乱れ満月の夜には
女の子らしい横顔と
うさぎの姿が見えると言われるようになったと言う事です
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