雨の日曜日、電車にて
ぐずついた天気がつづくも、
桜は咲き、ムスカリも咲き、つくしんぼも顔を出し、
春はどんどん進む。
三寒四温なんて言葉は死語になるのでは?と感じる
急ぎ足の春。
けれど、
今日の雨の日は少し肌寒かった。
しとしと雨の日に外に出るのは億劫だけど、
実に3年ぶりのホームパーティに参加するため、
昼過ぎの電車に乗った。
わたしは、何の因果か、
インパクト強めの、キャラの濃いじいさんに遭遇することが多い。
↓去年の夏の終わり出会った、行き倒れのおじいさんを救出したお話、、、
今日も「おっと」という出来事があった。
最寄りの駅からふたつめ、ホームを見ると、
なかなかの人物が立っている。
白髪交じりのぐちゃぐちゃの髪型
赤いフレームのメガネ、
瞬時にトリッキーさが伝わってくる容貌。
来るなよ、来るなよ、と思ったら何の法則かわからないけれど、
必ず来る。
必ず近くに座る。
吸い寄せられるかのようにやって来る。
今回救いは、真正面に座らなかったことか。
服装は若干セルフネグレクト系で、スーパーのレジ袋を2つ持って、
ぱっつんぱっつんに何かつめている。
なのにスニーカーは新品。
瞬時に分析。
そう、わたしはアンテナ立てた、
身構えた先の人物について、
視覚的に細かく、一瞬で情報を取り入れて、
好ましい好ましくないでジャッジしてしまう癖があった。
それをなおすためのトレーニングが、
ジャッジ(あの人やばめ!とか)しそうになると、
「ラベルラベルラベル、、、」と心の中で念じる。
(わたしがやばめ笑)
ラベルラベルラベルと唱えながらも、おじさんは大きな声で鼻歌?を
歌い始めて、
やはり独特さは半端ない。
逃げ出したいけど、逃げればトレーニングにならない。
おじさんを気持ち悪いと思わない自分になりたい!
おじさんの前の女子を見よ!
ゲームに没頭しておじさんなど存在していないではないか。
リスペクト。
女子、リスペクト。
おじさんの歌唱、わたしの念仏、
カオスのような車内に、次の駅で救世主が乗り込んできた。
父親と、小1くらいのお姉ちゃんと弟、
お姉ちゃんは自分の足で歩けているけれど、
強い障害をもってそうだ。
その三人がわたしの斜め前の座席に座ってくれて、
鼻歌歌うおじさんも静かになり、
ずいぶん空気が薄まってわたしは感謝した。
ああ、よかった、と、
ふとそのファミリーを見ると、
父親は携帯を見て、弟はぼうっと窓の外を見て、
お姉ちゃんはわたしをガン見している、、、
はて?
かわいいのかな、ま、いっかと思い、わたしは目を閉じた。
しばらくたって、妙に圧を感じて目を開くと、
お姉ちゃんがまだわたしをガン見している。
いや?
おかしくない?
どちらかと言えば、あなたの逆の斜め前に座っている、
赤いフレームのメガネのおじさんのほうが見どころいっぱいありませんか?
見どころ盛りだくさんじゃないですか?
なのに、そっち見ず、わたしに興味をひかれて、
ずっと見つめ続けているのですか?
なぜですか?
結局、電車をおりるまで、お姉ちゃんはわたしのことをずっと見ていた。
お姉ちゃんは、わたしに何かのラベルをはっていたのかどうかはわからない。
何も考えずに、見ていただけのことかもしれない。
それはわからない。
ただ、見どころ満載のおじさんに勝った自分が信じられない。
今でも信じられない。