【短編小説】第2品 ミニミニジェミニ
ドアのガラガラ鐘が鳴ったので視線を流すと、誰もいないなと恋愛小説に視線を戻し、しかし「にーにー」と煩い鳴き声がするので身を乗り出す。
小綺麗な礼服を纏う、二足歩行の猫がいた。
人語が達者なようで、彼は妖精猫の王子様だと言う。
「双子の兄を殺したいにゃ」
「うちは殺し屋雇ってませんよ」
「妖精猫を殺すマタタビとかないのかにゃ?」
「しつこいなーもう。どうしてお兄さん殺したいのさ」
「王位継承式で兄のほうがボクよりマタタビを一個多く集めたんだにゃ。明日には式が始まっちゃうに