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クラシック音楽で小咄を一席
クラシック音楽で小咄を一席!
(其の1)
わたしね、この前の休みの日、CDのウインナワルツ聴きながら庭で日曜大工を頑張ったの。
で、その時「木戸に青いペンキを塗った」から、記念にその木戸の前で写真撮ってブログに投稿したのよ。
え?画像のコメントに何て書いたかって?
‥「青木戸なう」
(其の2)
(関西弁で)
お酒とワーグナーが好きなウチのお父ちゃん、今日もまたどっかに飲みに行ってはる。どこ行ったんかなて思うてたら、何とテレビ画面の中でサントリーのCMキャラクター=「トリスおじさん」と飲んではった。そやからウチ、テレビ指差してお母ちゃんに言うたんや‥
‥トリスさんと居とるで
(其の3)
さて、ここは韓国ドラマ「冬のソナタ」の撮影現場。その休憩時間にクラシック音楽初心者のチェジウ嬢がヨン様に話しかけます。
「昨日の夜にね、第九のCDを聴いてたんだけど、あの有名なメロディが全然出てこなくて途中でやめちゃったわ。ねえ、ヨン様、一体どこを聴けばいいの?」
ヨン様は「にが笑い」を浮かべながら教えてあげました。
‥「ヨンが苦笑(よんがくしょう)」
(其の4)
1940年、R.シュトラウスは皇紀2600年に寄せて祝典曲を作曲し日本政府に贈った。
ところで極秘の記録によると、この時、作曲者は政府から来日を依頼されており、自らの指揮で初演を行う予定であったが、彼が「その折には二重橋の上でツノのある動物とともに記念撮影を行い、ニホンゴで一言叫ばせて欲しい」と要望したため、政府はこれを「ふざけた話だ」として来日も立ち消えになったとの事である。
シュトラウスが叫びたかったその一言とは‥
‥皇居牛!(こうきょうし)
(其の5)
僕の彼女はヴァイオリンが趣味。最近はご近所のアマチュア音楽家の集まりにも弦楽四重奏の2ndヴァイオリンで加わらせてもらって得意満面!
彼女が言う、
「ホント私も有名になったものよ。っていうのもこの前ね、久しぶりに近所の診療所に行ったら何と看護師さんがね、私を見ていきなり「弦楽四重奏」とか何とか呟くわけよ。もうびっくりしちゃうわ」
そんなバカなと思いつつ、僕はその場面を想像してみた。そして、わかったんだ。
ああ、なるほどね、そういう事だったんだ。きっと看護師さん、彼女を見て、
「ああ、久しぶりに来られたのね。少々お待ちくださいね。ええっと‥」
‥ええっと‥カルテ、カルテ‥‥カルテっと。
(其の6)
神は言われる。
「我は3つにして1つなる三位一体の神。さあ、作曲家たちよ、心を尽くし精神を尽くして妙なる調べを我に捧げよ!」
これに答えバッハ、ヘンデル をはじめとする古今の作曲家たちは「ある形式」の下に曲を作った。
だが‥と神は思う‥宗教音楽というものにはどうしても堅苦しさが付き纏う。
そこで神はこの「音楽形式」に対して「三位一体の教理を表しながらも人々が親近感を抱くような名前」を発案し、これを啓示されたのだ。
そう、「クレヨンしんちゃん」の読者たちにも親しんでもらえるような、そんな名前‥
‥「オラ、トリオ」
(其の7)
目覚めると牛になっていた。さて、私は1日を音楽で始めるのが常なのだが前足の蹄(ひづめ)ではCDをかけれない。
で、妻を呼ぶと、
「あら、牛なのね、それで?どの作曲家の曲が聴きたいの?」
喋れないので私はテナーより高く、ソプラノより低い声で「2度」啼くことにしたのだった‥
‥モ〜・ツー・アルト
(其の8)
「O(オー)っていうイニシャルの友達が月曜に家に来るから、好きな指揮者のCDを聴かせてあげる事にしたよ」
「で、その指揮者って?」
「そりゃ、もちろん、フィラデルフィアの‥」
‥ユウジン・オー・マンディ
(其の9)
俺はひどく飢えていた。と、ポケットの底に万札を発見!目の前にある店に飛び込む。
そこは名曲喫茶。メニューには軽食もある。
何から食おうか?
まずはピラフを食う。
次には?
‥そう「計画的に」食っていくんだ。
店内に流れてるのはフランスバロックのあの人が作ったクラヴサン曲‥
‥食うプラン
(其の10)
能太は夫婦別姓反対論者ではなかったが今の彼女と結婚したら妻の側の姓を名乗ると決めていた。
理由は能太がショスタコビッチ のファンだったから。シューベルトの音楽は彼の好みではなかった。
やがて彼は彼女と結婚、旧姓の白鳥(しらとり)を捨てる。結婚後の彼のフルネームは‥
‥森のうた
(其の11)
ああ!わしは町の長(おさ)という立場を利用し公金に手を付けてしまった!!!自責の念、無意識に手許のCDをかける。
曲はベートーベンのSinfonieNr4.B-Dur‥ふうんこの曲、B-Durなのか‥そうだ!これを神の啓示と受け止め、罪を悔いて四国八十八ヶ所を巡る旅に出る事にしよう‥
‥遍路町長(へんろちょうちょう)
(其の12)
漱石先生と蓄音機。
ひとつ聴いてみようと音盤に針を下ろす。
聞こえてきたのはセロの音、題名はと音盤の中央を見れば「曲奏変るよに題主の‥」???
どうやら漱石先生、西洋風に題名の文字を左から右へと読んで了った模様。
「よろしい、わたしはこの最後の三文字の題で新しい小説を書くとしませう」‥
‥ココロ
→(ロココ)
(其の13)
僕の街の音楽ホールを中心に活動する異色の鍵盤奏者がいる。何が異色かというと、彼は一年を通して毎月オーケストラ曲を鍵盤にアレンジして演奏会を行なっているのだが、その際に使用する楽器の種類を毎回変えるのだ。ピアノはもちろん、チェンバロやパイプオルガンからシンセサイザー、何とアコーディオンまで!
「今月は何の回かな?先月はオルガン回だったけど」
僕はコンサートプログラムに目を落とす、
「ふうん、曲目はドヴォルザークかぁ、それじゃ今回はきっと‥」
…シンセ回
(其の14)
(管弦楽部の部室での会話)
先輩「おいっ、お前、いくら尊敬するチェリストだからって、部室の壁にこんな爺さんの写真なんか貼るんじゃないよ」
後輩「エエッ、じゃあ、どんなのだったら良いんスか?」
先輩「そりゃ、やっぱり芸術の香り高い有名な絵画とかさ」
後輩「了解ッス、それじゃピカソの絵を貼ることにするッス‥」
‥パブロ、飾るッス!
(其の15)
(もしもワーグナーの時代にSNSがあったら)
ワーグナーの最初の妻には浮気癖があり、彼が「初期の歌劇」を作曲している頃、彼女は浮気相手と手を携えて姿を消してしまった。妻がいなくなった事に気付いたワーグナー、早速スマホを取り出すと、怒りの気持ちを妻のみならず世間一般にも知らしめるため、Twitterに次の様に投稿する。
「私は離婚する事に決めた!妻よ、もしこれを見ていたなら、このツィートが最後通牒だと思いたまえ!これこそ、まさに‥」
‥‥離縁ツイ!
(其の16)
「ねえねえ、タモリって実は昔、有名な指揮者だったらしいよ」
「えっ、本当?」
「うん、だって、タモリの本名って‥」
‥‥モリタだし (もりただし)
※注…森正さんはN響の正指揮者としても活躍された往年の名指揮者です。
(其の17)
日本の象徴とも呼ばれる美しい鳥がいる。
絶滅に瀕するこの鳥の為に作曲家YT氏が書いたといわれる音楽の初演は1981年。だが過去にはこの鳥は欧州にも生息しており既に絶滅。何とYT氏の作曲の約150年前には、あのシューベルトが絶滅を悼みピアノ小曲集を作っていたらしい。
欧州での絶滅は、この鳥の骨格がある特殊な打楽器の材料に最適であった事からの乱獲の結果と云う事だが、シューベルトは曲名を付けるに当たって、欧州音楽業界への配慮から、曲集の日本名の中に哀悼の思いをそっと託して名付けた様だ。その日本名とは‥
‥‥楽器用のトキ(がっきようのとき)
(其の18)
僕の友達の「土井くん」は音大の声楽科を出ていてシューベルトやシューマンが得意。でも今は家業を継いで釣具屋さんをやっています。しかも、とっても研究熱心で、自作の釣り具を毎年の様に開発して自分の店で売ったりもします。
今年も店先に彼の新しく作った釣り糸が並んでたんだけど、その製品名を見て「ああ、当たり前の名前だけど、何だか彼らしいな〜」と思いました。その製品名とは‥
‥‥土井釣り糸(どいつりいと)
(おわり) お粗末でした〜