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知ることは奥深い。

知識を知らなくても楽しめる作品はたくさんあると思う。
でも、知っていたから立ち止まって鑑賞することができた。
だから私は絵画に関する知識や色んな見方を伝えていきたいし、自分も勉強を続けたい。
と、やりたいことを再認識してきました。


行ってきました、徳川美術館

先日、ミュージカル刀剣乱舞のライブ公演のために友達と愛知県へ。
メインはライブ公演なのですが、せっかく愛知に来たんだし観光もしたいよねという話になり、友達が提案してくれた徳川美術館へ行ってきました!


1時間ぐらいで楽しめるという情報を仕入れていたので、ライブ前にさくっと展覧会楽しむか~~~~!の気持ちだったのですが、さくっとどころか、ボリューミー、圧倒されまくり、興奮のあまりアドレナリンでまくりな美術館でした。
午前中に行って夕方からイベント予定でしたが、展覧会あとはすでに心がいっぱい状態。

ひょっとしてここは江戸時代?

徳川美術館は、御三家筆頭の尾張徳川家に受け継がれてきた宝物の数々を所蔵し公開している美術館です。19代当主徳川義親が大名文化を後世に伝えることを目的として、昭和10年(1935)に名古屋に開館しました。所蔵品は大名家伝来家宝のコレクションとして日本最大の規模で、かつ、その地位にふさわしい質の高さと格式を有しています。

徳川美術館HPより

名前の通り徳川美術館には徳川家康の遺品をはじめ、徳川家に受け継がれてきた国宝や重要文化財などが展示されていています。
まず、館内入ってすぐに美術館が所属しているコレクションが「武具・刀剣」「茶の湯」「書院飾り」「能」「奥道具」「源氏絵巻物絵巻」と6つのカテゴリーにわかれて展示されていました。

第1展示室( 武家のシンボル -武具・刀剣-)
展示室はいってすぐのところにありました、
かっこいいお出迎え!
第3展示室(大名の室礼―書院飾り―)
とっても華やか。
第4展示室(武家の式楽―能―)
ピリッと神聖な舞台の空気が伝わってくるよう…
第4展示室(武家の式楽―能―) 
建物(館内)のなかにちゃんとした建物がある。
圧倒された!

『美術品を鑑賞する』より『美術品をとりまく空間も楽しむ』展示のように感じました。まるで江戸時代にタイムスリップしているような気持ちになり楽しかったです。

新館の名品コレクション展示室(第1~5展示室)では、尾張徳川家当主の公的生活の場であった名古屋城二之丸御殿を、部分的ながらも時代考証に基づいて復元しています。美術品をそれらが使われた仮想的空間の中で展示することで、美術品単体の美にとどまらず、日本の伝統美である「構成の美」、あるいは「取り合わせの美」を四季の移ろいに合わせて鑑賞できます。

徳川美術館HP、コレクション展の説明より

私が感じた『江戸時代にタイムスリップしているかのような気持ち』は、『美術品をそれらが使われた仮想的空間』での展示の演出の効果だったことをnoteを書くにあたり美術館のHPをみて気づきました。
やるわね、徳川美術館。

知らなかったらたぶん通り過ぎていた。

訪れた日の特別展示は『魅惑の源氏物語 宮廷文化の華』

コレクション展の工夫された空間展示や美術品の多さに圧倒され鑑賞後半の時点で若干心のキャパがいっぱい、おなか一杯状態。
2日間ぐらい時間ほしい・・・と思っていたのですが、コレクション展の終盤、そして特別展でも展示されていた『ある作品』でさっきまで心のキャパがいっぱいだったのが嘘みたいに興奮してドキドキがとまりませんでした。

《源氏物語絵巻 竹河(二)絵》

私は特別源氏物語が好きでもないですし、源氏物語の作者が主人公の今年の大河ドラマも見ていません。そして歴史の時代も平安時代より幕末が好きです。
では、なぜ興奮したのか。それは日本美術史オンライン講座で表現の魅力について教えてもらっていた作品だったからです。
『これ!知ってる!知ってるぞ私!』状態でドキドキしてました。

大君・中君の姉妹のうちどちらかが今いるお屋敷から出て嫁がないといけなくなり、どちらが屋敷を出るかを囲碁で決めることになります。
そしてその話を聞きつけた大君のことが好きな蔵人少将がすだれ越しに勝負を見ている、という場面が描かれているそうです。

碁盤より手前の女性(中君)は後ろ姿、そして奥の女性(大君)はちょうど垂れ下がっている竹の筒で顔が隠れています。
そのため、鑑賞者である私たちは彼女たちがどんな表情をしているのかをこの絵の中からは想像することしかできません。

見事に見えない。
好きな人がどこかにお嫁にいくなんて・・・・!!
ハラハラしてたのかも。

こちらの男性が大君を見に来た蔵人少将。
男性の視点からもちょうど竹の筒で大君の顔が隠されている、という鑑賞者、そして絵の中の人物からも見えない、という二重の『見えない』が表現されているということを授業で学びました。

右下の蔵人小将の視線をたどると・・・
たしかに見えない。

蔵人少将と同じように鑑賞者にも『どんな顔して勝負をしているんだ・・・!』と緊張感を伝える表現方法があることにとても驚きました。
この授業を受けたのが美術館にいく前の週の日曜日、まさかそんなすぐに授業で聞いた作品に出会えるなんて!と興奮し、先生のお話を頭に思い浮かべていました。

ちなみにこの作品のキャプションがこちらです。

おそらく今までの私だったら『そういうことが描かれているんだ』で終わっていたと思います。
でも、今回は絵の中の技法や表現したかった意図を知っていたことで、より深く楽しめることができました。

知ることは奥深い。

最後に紹介した、源氏物語絵巻。
事前知識があったといっても『どういう状況』で『誰が描かれていたのか』を知っていただけではなく、その場面を伝えるための表現の意図や工夫を知ったから面白い思うことができました。

ただ作品の鑑賞方法に正解はなくて、『こういう意図があるのかもしれないけど、わからなかった。』『もしかしたらこういうことを伝えたかったのかもしれない。』と感じ方は人それぞれだとも思います。

自己紹介でも書きましたが、私には『誰かの日本美術や文化に触れるきっかけづくりをしたい』という夢があります。

そのきっかけづくりをするにしても、知識を発信するだけでは作品の魅力を伝えることは難しいと学ぶことができました。

見た人それぞれの感想を大切にしてもらえるような、そして作品の魅力を伝える方法ってなんだろう、どうやって伝えていこうか、まだまだ考えることがたくさんできて勉強あるのみ、精進あるのみです。

美術館で子供たちに展示物の説明をされてる方がいらして、私もいつかワークショップでチャレンジしてみたいなと思います。