いにしえの職場の話〜ゴーゴー百貨店〜⑧サーターアンダギーの金城さん
〜過去に働いていた百貨店での話を書いております。読み切りですのでどこからでもどうぞ〜
久しぶりのゴーゴー百貨店です。
今日は金城さんについて書きますね。
当時の百貨店に金城さんて人がいて。お察しの通り沖縄出身の方でした。前に金やんのことを書いたんだけどその一味で←一味て。実演販売の販売員さんで、せいろを担当していたのね。当時、60代後半の女性で。にこやかな、小柄でその年代らしきのいかにもみんなのお母さんてな風貌でね、本当せいろ販売がぴったりだったな。
電磁調理器の上にお鍋をおいて、蒸し器を置いてね、お客さまに説明して販売するスタイル。
お野菜やたまごを蒸して、それを足をとめた人や通りががりの人に食べさせてそれで説明をして販売をしていくっていうね。ちまきやお赤飯なんかも蒸しては配っては売りまくっていたんだ。お料理のレシピなんかも伝授したり、せいろの使用方法も教えてとにかく足をとめてもらうのが大事なことらしい。
材料はデパ地下の野菜とか高級目な食材を使用していたよ。おいしくないと買ってもらえないからって食材にはこだわっていた。売れちゃでかいけど、諸経費がハンパない、まさに博打! 売れない日もあるし売れる日もある。当たり前か。
蒸したたまごもおいしかったなーーー
後日に買いに来てくれるお客さまもいらっしゃったので本当気が抜けないし、材料費をケチることもできないってね。
実演販売はだいたい店舗の催しに合わせて一週間から二週間の期間があって。
いないと売れないからって休まず、あまり休憩もとらずに売り場を守っていたな。それも才能のうちの一つだと思う。売れないと腐ったり手を抜いたり休んだりしたくなるけど、その場を守る、いるってのが大事で。やり過ぎずたんたんと継続していくことが必要であって。売らなきゃと気合いを入れ過ぎると逃げられるから、そこに、ふんわりといるってね。なかなかできないよ。
どの仕事もそうだけど、準備と継続が大事だね。
で、その金城さん。
実演で蒸したお野菜やお赤飯や蒸したまごなどを百貨店の社員や販売員、アルバイトや他事業の売り子さんなんかに配ったりもしていたんだ。持って行って〜って。
その他にも朝から家でげんこつ大のサーターアンダギーを揚げてよく持ってきてくれていたんだ。沖縄出身だから。そのサーターアンダギーが格別においしくてね。明日いる〜? なんて聞いてくれて揚げて持ってきてくれるのがすごく楽しみだったんだ。おいしすぎて。
油も汚れるし朝からよくやってきてくれたよね。本当頭が下がるわ。休憩まで我慢できなくてよくバックヤードで食べたよ。もぐもぐ
そんな陽気で頑張り屋の金城さんだったが
ひとつだけ難点が。
そうやって、なんなら押し付けるぐらいに配っていたのに。
ある日のこと。
隣の売り場の社員さんで布施さんてのがいてね。面倒見の良い姉御肌で直属の上司ではないけれどよくしゃべっていて私は好きな人だったんだ。
で、その金城さんがあの布施さんてのは私の料理をよく持って行ってよく食べる口が汚い子! と悪口を言っていたのを聞いてしまったのよ。
えーーーーー
こっっっわ
あの慈悲めいた、そしてあげることに慣れ過ぎた人特有の←失礼ごめんなさい、でもそうなんだ。押し付けあげだったのにそんなことを言う金城さんにも言われてしまった布施さんにもびっくりしてしまって。
人からものをもらうのってこわいなーって思った20代の私でした。信用できる人からしかものはもらいたくないなって。
でも、、とくにサーターアンダギーは絶品だったんだよなー。。でもでも、、
人からものをもらうという高度な人間関係に辟易した私でした。。
あげるのも、もらうのも、、
軽く絶妙なバランスでいきたいものだよ。。
なんの話だっけ。あ、金城さん、
元気かな?
私はまだまだサーターアンダギーが大好きです。
粉、砂糖、油、たまご、最高ーーーっ
たまに買い食いするよ。私は揚げない、あげない。そんな感じ。どんな感じ?
おしまい