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電動アシスト付き自転車を考える〜今日も一日ご安全に

 昨年夏、国内最軽量と謳われていた電動アシスト付き自転車を購入した。それまでは、一般的な三段変速の自転車を日々駆動していた。

 私の住む地域は比較的坂道が多い。なかなか長いもの、曲がりくねったもの、さらには急勾配と様々だ。
 ひと度下ってしまったら、当然不可避となる登り坂を眼前に、悔しいけれどここ数年『降りて押す』を選択してきた。

 実は25年ほど前、この町にやって来た時、私はすぐさま一台の電動自転車を購入した。まだ発売から間もない頃で、車体も充電器も今よりずっと重かった。まるでバイクのようだった。それもそのはずHonda製。

 前方ハンドルの間は次男のために、後方荷台部分には長男のために、それぞれチャイルドシートを据え付け、私は快走したものだ。思えば若かった。脚力も腕力もあったのね。

 大好きな公園の帰り、2人を乗せて家に戻るにはどうしても登りきらなければならない急坂がある。これを今から一気に駆け上がる。その前に2人を諭す。

「いい?よく聞いて。お母さん、これから喋れなくなるからね。一気に行くからね。2人とも小さくなってて」と、真顔で。

 小さくなってもらっても、軽くなるわけではないことは承知だが、大きくなられるとバランスを崩すから、的確な指示だったと、今でも思う。

 無言で駆け上る坂道。車よ来てくれるな!と心の中で願いながら。だって、道幅がとっても狭いので、もしも車が来てしまったら、止まってやり過ごすしかない。いくら電動でも、そこからの再スタートはキツイ。それよりも、止まった状態でふらつかず、2人を乗せた車体を支えるのがキツイ。

 そんな経験から、腕力の落ちつつある我が身と将来を考え、軽いに越したことはないと、タイヤの小さな最軽量を購入したのだ。車体は実に軽く、思いの外スピードは出ない。ただもう坂道が楽で楽で、有難い。

 しかしだ、我が脚力について鑑みれば、普通の自転車の場合、常に筋力を使い大腿筋の『貯筋』が出来る。長い目でみたらその方が良かったのかもしれない、とほんの少し後悔したり。だが、周囲の友人達を見渡すと、電動に乗っていないのは私くらいなものだった。
 友人の一人は言った。

「何処までも行けるよ」と。

 それは魅惑的な言葉だった。私も何処までも行きたいと思った。

 斯くして、私は再び電動自転車ユーザーとなった。

 一昨日ちょっと驚く光景を目にした。電動アシストがあの有名業界に変化をもたらしていたのだ。
 私よりは若いが、中年のヤク◯トレディさんの乗った自転車が、目の前で左折、急な坂道をスイっと登った。いったい何軒分の荷物だろう。驚くほど大量の商品を、前後左右にぶら下げて。普通の自転車では考えられない、立ち漕ぎでも絶対に無理だ。
 この重労働とも言うべき仕事に、電動アシストは革命を起こしたのだ。レディさんの後ろ姿はまるで重力を無視するかの様に、軽々とどんどん小さくなっていった。

 アシスト万歳🙌

 本当に必要な人が使うべきものなんだよなぁ〜と、考えてしまう私だけれど、乗るからには安全第一を心掛けようと思う。自転車は車両ですから。

 それでは、今日も一日ご安全に。

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