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人生に『推し』は必要か?
あなたには『推し』いますか?
推しとは、人にお勧めしたくなるほど大好きで、応援している人や物を指す、と理解しているが、私にも推しがいた、5年前までは。
サッカー元スペイン代表、Sr.フェルナンド・トーレスだ。
彼を知ったのは2006年ワールドカップ、ドイツ大会。強烈なドリブル、ディフェンダーを引き連れ強い推進力でゴールまでつき進む、その一歩ずつが好きだった。
若くしてスペイン1部、アトレティコマドリーを牽引。その功績から、名門リバプールへ移籍、得点を量産した。メッシと並び称された時期もあった。
しかし、その後は、どんなに贔屓目に見ても、リパプール時代のような活躍を見ることはなく、相次ぐ怪我と闘い、2015年アトレティコへ凱旋移籍、ファンが熱烈に出迎えた。
さて、この後が肝心。
この年、J 1サガン鳥栖が、ホームでアトレティコとの親善試合を開催すると発表したのだ。
彼に引退が近づいていることは否定できない。家族、特に長男に背中を押され、私は鳥栖での試合観戦を決めた。これを逃したら、選手としての彼をこの目で見ることは二度と無いだろうと思ったからだ。
真夏の鳥栖、40度に達しそうな気温、容赦なく照りつける太陽、灼熱地獄だ。
勝ち負けなんてどうでも良かった。頭を氷で冷やしながら、双眼鏡でずっと彼だけを追いかけた。スコアも知らずに90分が過ぎたが、すでに交代していた彼はベンチにいる。私はベンチを見ていた。最後はPK戦だった。
しばらくして、ある考えが私の頭に浮かんだのだ。
“アトレティコ退団後、鳥栖へ移籍するかもしれない”
数年後、予感は的中、彼はサガン鳥栖の一員となった。
これには驚いてしまった。もう、鳥栖に移住しようかと一瞬頭をかすめたが、さすがにそれは‥。だから、関東遠征を楽しみに、東京、川崎、浦和、柏、鹿島とあちこちのスタジアムを小躍りするように追っかけた。
しかし2019年、その時が来た。
トーレス引退。
必ず来るとわかっていたけれど、本当に発表されると悲しい。
引退の日、私にとってはあの灼熱の夏から4年振りの鳥栖だ。満員の観客の前で彼は最後まで走り続けた。スタジアムも最後まで応援をやめなかった。
あれほど見てきたサッカーを、今はほとんど見ない。推しがいないと、つまらない。でも、そんな事では新しい推しも見つからない。
推し活は時間もお金もかかるけれど、それでワクワク出来るなら、やらなきゃ損。年を重ねるほど、推しの重要度は上がり、その有無は死活問題と言っても過言ではない。
推しは、人それぞれ違う。
趣味かもしれないし、孫ちゃんかもしれない。一つだけとも限らない。
とにかく、人生に推しは必要だ。
だって、心の栄養なので。
リビング横のスペースに今も貼られている大きなポスター。
おそらく、このポスターをはがすことはないだろう。いつか新しい推しが現れても、比較することは出来ないから🫶