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洗濯機が壊れちゃって、人間の退化を憂う

 「洗濯機壊れたかも」と、自宅からLINEで連絡が入った。私が実家へ帰省して3日目の日曜の朝だった。

 えっ、何故?

「いったい、何をしでかしたんだい⁈」と、速攻電話をかけようとした私に、父は「怒ってはダメなんだよ」と先回りで、コツンと一本釘をさすように言った。

 怒らないヨ、と言ったけど、この父、私があっという間に“瞬間湯沸かし器”状態になる事を知っている。。。

 冷静に、家に、電話した。

 何もしていないのに、突然、回転盤が回らなくなったらしい。まだ買って3年だと言うのに、何故この、たっぷり汗を吸い込んだ汚れモノがいっぱい出る季節に、洗濯機は故障してしまったのだろう。悲しい。

 今回の帰省は短めだったので、翌々日には自宅へ戻った。一応スイッチを入れてみたが、確かに、グーグー変な音がするだけで動かない。  
 長期保証を付帯していたので、修理を依頼したら、明日来てくれることになった。ならば慌ててコインランドリーに走ることもない。


 翌日、回転盤を修理してもらっても洗濯機は回らなかった。モーター部分に異常有り。これから部品を取り寄せる。

 では、あと何日ほどかかるのでしょう?
 分かり次第連絡します。

 徐々に積まれ始めた汚れ物。これはいよいよ、手をつけなければなるまい。このまま放置する事は、自分の首を絞めるようなものだから。大物はコインランドリーにお世話になるとして、とりあえず、自分のものだけでも手で洗おう。

 ジャブジャブ。あっという間にたっぷりの水を含む衣類たち。大した量でもないのに、絞った後でもずしりと重い洗濯物を1階から3階のベランダまで運ぶ。ぎゅーっと絞っても、びしょびしょだ。私の握力にも問題有り。しかし、こんな湿度の高い中、乾くかな?と疑問に思う。
 風があるので、期待して干したけれど、空がどんよりして雲行きが怪しくなり、結局まだまだ湿ったままで室内に取り込んだ。

 重労働だ。

 電化製品が世の中に出現する前、家事労働がどれほど大変なものだったか、昔の人の苦労を想像する。

 今や、洗濯はもちろん、炊飯器と電子レンジが調理してくれて、お風呂はスイッチひとつで出来上がり、お部屋の掃除は猫を乗せた丸いロボットがクルクル回って完了。スーパーに行けばほぼ全ての欲しいものが手に入る。いやいや、スーパーなんか行かなくても、スマホをポチッと押すだけで、家に何だって届く時代だ。

 これで、良いのだろうか?

 便利を勘違いして怠けてばかりいたら、人間の能力はどんどん退化していくかもしれない。“マグロ”母の動きを思い出した。あれは真似できないけど、動くことは大事だ。暑い暑いとぼやいてばかりいないで、ちょっと何かやらないと。

 退化してしまった人間を想像したら、頭の大きい、指先だけ物凄く発達したヒョロヒョロの宇宙人みたいなのが頭に浮かんできて、なんだか急に恐ろしくなった。
 とりあえず筋トレしよう。椅子から立ち上がりスクワット。

 と、ここまで書いたところで、修理の人がやって来た。数十分後、無事に修理完了!現在、早くもぐるぐる動いて、活躍中。動いているのは結局私ではなく、洗濯機ですけど。

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