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お転婆の仕出かすこと

 昨日は久々に4時間テニスを楽しんだ。東京はこの冬まだ雪知らず。寒いけれど晴れ渡った、眩しいくらいのお日様の下、平均年齢‥65歳?ほどの私たちは元気にボールを追いかけた。爽やかに。

 そこに、今日はちょっとだけ体調を崩し、大事をとってお休みの仲間が、ワンちゃんを連れて遊びに来てくれた。

 そのワンちゃんというのは、とってもとっても美しい、金髪のようなツヤツヤのやや長めの毛並み、おめめは愛くるしい真っ黒まん丸。誰が見ても可愛い〜💕と惚れ惚れしちゃう子だ。
 飼い主の友人はその子をまるで湯たんぽでも抱きしめるみたいにダウンコートの中に包み込んでいたので、顔だけが飼い主の顔近くにちょこんと出ている状態だった。 
 それを見て、私は思った。

「フォックスの襟巻きみたい」

 ふと口に出すと、平均年齢65歳は全員、「あー本当だ!」と同意、「懐かしいね、あの口でパクッと止めるフォックスの襟巻き」と口々に、「私も持ってた〜」「うんうん、私も持ってたよ〜」と話に花が咲いた。あの襟巻きは今はどうしているのだろう、全く見かけることはない。

 さらに私は思い出した。

 遠い遠い50年ほど前の、私の仕出かしたことを。

 確か小学3年生くらいのお転婆な私は、おそらく夏休み、札幌の従姉弟の家を訪ねていた。
 当時、北海道の夏はハエが多く、ハエ取りテープという粘着力がもの凄い、ベッタベタのテープ状のものを天井からぶら下げている家が多かった。その夏の日、従姉弟の家にもぶら下がっていた。

 さてその時、不幸にも、当時人気のフォックスの襟巻きを、何故かお転婆の手は握りしめていた。

 不思議だ、真夏だというのに。

 虫干しでもしていたのか、勝手にタンスの中から持ち出したのか。その辺りは不明。

 しかし、鮮明に覚えているのは、そのあとのこと。私はそのフォックスを振り回した。大きく、円を描くように、愉快な気分で。しかし、愉快だったのはフォックスが回ってくれていた、ほんのわずかな時間だけ。
 何個目かの円を描いたのち、フォックスは、ピタリと止まった。私の頭上で。
 見上げると、フォックスは無惨にもハエ取りテープの餌食となっていた。もうフォックスは回らない。テープは強い。手を離しても落ちて来ない。

 ほかにもある。
 スポンジボールなら大丈夫と思って、家の中で投げて遊んでいたら、和室の鴨居に斜めに立て掛けてあった額縁に当たった。額縁は「ガクンッ」と鴨居から外れた。紐で止めてあったので、下まで落ちたわけでなく、20㎝ほどガクンと下がったのだ。はめられていたガラスにはピキッとヒビが入ってしまった。
 一瞬の出来事だった。
 同じ従姉弟の家だった。

 こんな事、まだまだ他にも数知れず。これ以上は明らかにしないけど、お転婆はこういうことを仕出かしてしまうのだった。
 しかし、小学生の私は叔母にきちんと謝ったのか?覚えていない。
 というわけで、ここで改めて謝罪します。
 おばさんごめんなさーい🙇‍♀️

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