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四人の皮膚科医

 ある夜のこと、のんびり湯船に浸かっていると、見るからに異様な皮膚の変色、見たことのない赤みが、左右の足の甲や足首にあることに気づいた。内出血?違うな、何だろ?

 何科の領域か判らなかったが、とりあえず近所の皮膚科へ。私の懸案事項は、『コレは放っておいて良いのか、要治療なのか?』に尽きる。優に20年はお世話になっている先生は、キッパリと、「わからないので大きい病院に紹介状を書きます」と言った。
 医師の潔さが清々しく、大病院へ行けば解明されるのだという安堵を感じながら、皮膚科担当医先生御机下と書かれた紹介状を受け取った。

 2週間後大病院へ。一応予約はしたが、予約など有って無いようなものだと、長い待ち時間を覚悟した。が、椅子が温まる間もないほど呆気なく私の番号は呼ばれた。
 二人目の皮膚科医。
 マスクのせいで、ほぼ目だけしか見えないが、絶対イケメンだ。そしてとてもお若い。
 早速診てもらう。足を乗せる低い台を、医師が私の足元に置いてくれる。
 置いてくれる。
 置いてくれる?
 医師はその御御足おみあしで、ズズーと台を引きずっている。何度目かのズズーで、台は私の足元に到着した。
 足で、台を、足元に。
 これにはまぁ唖然とした。へぇ〜という驚きで文句の一つも出ない。

 そして足を診て、うーん何だろ?と、ふらっと去って行こうとするので、もう靴下履いて良いんですか?と思わず聞くと、いや、待って、とふわり後ろのカーテンに消えた。置いてきぼりの私は裸足で待っていた。

 数分後、少し年上の第三の皮膚科医と共に戻ってきて、私の症状について話している。
 イケメン医師が「◯◯ですかね?」と言うと先輩は「◯◯のわけねーじゃん」と。
 ねーじゃん。その口調から、この人達に私の姿は見えてないのかもと思ったその瞬間、先輩が、突然足の赤いところをつねり始めた。
 痛い。
 何ヶ所もつねる。
 痛い痛い。
 そして、薬塗ったら治るだろ、みたいなことを言って去って行った。最初から最後まで一言の挨拶も何もなく。
 再び唖然とした。

 「これを2週間塗れば治ると思いますよ。治ったら来なくて良いですけど、一応次の予約取ります」

 とても珍しい物を見たような気持ちで大病院を後にした。
 この医師の下で治癒する気はしない。後日予約を取り消した。

 一向に良くならない足は赤みを増し、熱を持っているのか、何となく熱い。

 数週間後、気を取り直し、次は近所の総合病院に決めた。待合室で待つこと3時間、ようやく私の番だ。

 四人目の皮膚科医。テキパキとした女性医師である。かなり早口だ。これまでのどの医師よりやる気がある様に見える。
 私の症状に首を傾げながらも、最善を尽くしてくれそうだ。一日2回の塗り薬。サポーターで保護すると薬が定着し、倍の効力があると言われ、日々その教えを守っている。
 私は相性の良い医師に出会えたのかもしれない。症状も改善している気がする。

 この数ヶ月で四人の皮膚科医に出会った。四者四様、はてなマークしか残らない人もいた。

 “医者”と一括りにする事なかれ。

 ともあれ、我ら患者のためご尽力いただきたいと切に願う。

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