「誰が」怒っているのか~鶴光師匠の「不適切」な替え歌
昨日に引き続いて、鶴光師匠の件。
・2024.3.15 ニッポン放送「鶴光の噂のゴールデンリクエスト」において、鶴光さんが、ピンク・レディーの「不適切な替え歌」を歌う
・2024.3.末~ プロ野球開幕。野球中継が始まるので「ゴールデンリクエスト」が休みに入る。
・2024.6.16 24:00付で、ニッポン放送が謝罪文をWebサイトに掲載。
3か月も経っての騒動なので、違和感アリアリですが、被害を受けた側にとっては、何年前とか、どれくらい昔のことであっても関係ない、ということでしょうけども。
それより、問題にすべきは、「誰が」鶴光師匠の卑猥な替え歌に怒っているのか、ということです。改めてニッポン放送の謝罪文を引用すると
リスナーが怒っている、というのは考えにくいです。鶴光師匠が「そういう人」と分かって聴いている人がほとんどでしょうから。やはり「都倉俊一」「阿久悠」ご両人のお名前が出ているのが事態の重さを物語っているかと。
ここで一つ思い起こすのは、「替え歌メドレー」などで、一世を風靡した嘉門タツオさんです。彼は替え歌としてリリースするもの全曲について、作詞家・作曲家・歌手すべてに「お伺い」をたてていたようです。ご本人の心中は千差万別でしょうが、「本人OK」がとれたもののみが世に出ていたと考えると、彼の替え歌で傷つく人は少なかったと思われます。実際面白作品ばっかりですし。
一方、鶴光師匠の場合は、ラジオでのお喋りという「瞬発芸」なので、いちいちこんな「お伺い」はたてないでしょう。往年の「瞬発芸」の中で、これまでは「ちょっとうるさいことは言われたが、まぁまだ大丈夫」という範疇だったのが、今回は「虎の尾を踏んで」しまった、というところでしょう。
「私の曲に卑猥な歌詞を乗せやがって」と気を害することは、まぁ普通の感情ですし、歌い手さんにとっても不快と感じたならそれも然り。作者ご本人からのクレームであれば、それなりの対応に迫られるのも無理からぬことかと。
しかし、都倉俊一さんは、紅白歌合戦の最後に歌われる「蛍の光」で指揮をされておられ、そして何より、現在「文化庁長官」でいらっしゃいます。かなり重い立場におられる方なのです。ニッポン放送の謝罪文からは、都倉さん含め、本当に作者側が激ギレしてのことなのか、までは明確ではないですが、その「お立場」からは「替え歌」「エロ」という「文化」をどう捉えてらっしゃるのでしょうか。。もし都倉さんご本人がご立腹なのであれば、そのお立場も含めて「まぁそんなにカタいこと仰らずに」と申し上げたいです。
そして、もう一つ答えのない「愚問」がどうしてもよぎります。
阿久悠さんがご存命なら、やはりお怒りになるだろうか、、と。
歌詞の内容にもよります(「それ」と思しきものはネット上で散見されますが、それを見る限りは、まぁ鶴光師匠が仰りそうなネタです)が、ご寛容に対処されるのではないか、と都合よく想像してしまいます。
そして、一番嘆かわしいのは、今現在の「流行歌」から、面白い「替え歌」が生まれ無さそう、つまり良い替え歌の「元ネタ」がないことなのではないでしょうか。。