バッテリィズ③「細|そう|過ぎ」の妙
先のM-1グランプリにおいて、バッテリィズが披露したネタ中に、ガリレオ・ガリレイやガガーリンという名前の響きだけで、エースが「細そう過ぎやろ!」と言って、大爆笑を得てました。実に笑いました。
そう。ここは「細そう過ぎ」が大正解フレーズなのです。本稿ではそれについて小理屈(屁理屈)めいた私見を綴ります。
同じ意味合いのフレーズは
「めっちゃ細そう」
ですが、これでは絶対ウケません。これではボケでもツッコミでもなく、ただの印象を言ってるに過ぎない(食ったセリフじゃない)から、と考えられますが、もう少し深掘りすると、、、
他の言葉でも列挙して考えてみます。
旨そう、高そう、丈夫そう、大きそう、、
旨過ぎ、高過ぎ、丈夫過ぎ、大き過ぎ、、
「そう」も「過ぎ」も、いずれも程度を示す言葉ですが、「〇〇そう」は推定的で、「〇〇過ぎ」はより断定的です。例えば「旨すぎそう」とか「高過ぎそう」のように、「〇〇過ぎそう」とした方が、あくまで推定なので、話者はウソを言うことにはならず、文法的にもさほど誤りではなさそうです。ただ文法的に誤りのない、当たり障りのないフレーズでしかないです。「めっちゃ旨そう」「めっちゃ高そう」と同じです。
一方で「高そう過ぎ」「旨そう過ぎ」となると、まだ程度が確定していないけれども、とにかく程度は激しそう、というニュアンスが加わります。加えて、決して見たことない人の様子を断定的に決めつけて言うことと、かつ、それをアホのエースがちょっと文法的に崩れたフレーズで言い放つことで、より爆発を生んだのかと考えます。アホが言いそうなちょっと変なこと、というのでキャラ的にも文脈的にもハマってますよね。
規範から少しズレたところに、笑いや芸術は生まれるのだろうな、と思う次第です。とにかくいいフレーズですね。