【歌詞語り】斉藤由貴「卒業」
斉藤由貴「卒業」
発売年:1985年
作詞:松本隆
作曲:筒美京平
「結ぶ」「縛る」では、物理的な意味は似ておりますが、抽象的な意味においては、度合いがかなり異なります。
の小節での対比は、切なくも美しい女性の心情を、無駄なく十二分に描いております。難解なことばでもなく、多くの言葉を重ねるのでもなく。
そして
「分かってる」のではないのです。「知っている」のです。
女性もこの男性に対する想いは強いのですが、一方で自身の関係を「俯瞰」で見ています。いや「人生2周目感」すら溢れています。そして、この別離は悲しいけれども、この先まだ悲しいことが起きることも恐らく「知っている」ので、「涙はとっておきたい」と言います。
先の松田聖子「制服」の女性も、上京する男性の住所を手にしながらも、そこまで深追いしないのは、同じような心情があるからなのかもしれません。
松田聖子「制服」の歌詞は「卒業…」で始まり、斉藤由貴「卒業」の歌詞は「制服…」で始まります。このリンクの仕掛け、粋にもほどがあります。
あと「卒業」の
のシーンも象徴的です。ホームに電車が入る様を、二人の別れになぞらえるとは。。悲しいものにも惹かれるのです。