臨床問題⑤ リトルバスターズ!編
皆さん、おはようございます。
週末は、如何お過ごしですか、私は、外来で疲れておりますが、気力で綴っております、
今回は、
久しぶりの臨床問題ということで、難問を作ってみました、では、どうぞ
16歳 男性 高校生
主訴:眠気と金縛り
現病歴:
普通の少年、温厚な性格であるが、理不尽なことに対しては、誰であろうと立ち向かう強さを持つ、
中性的な顔立ちと、凛とした雰囲気は、男女を魅了させ、彼の周りにはいつも人が集まって来る、
ある時、
クラスメートと放課後、草野球で、大きく喜んだ時、
膝から崩れ落ちる様に、突然倒れた、尚、意識消失はない、
周りは心配したが、度々、同じ症状が出現していたため、冷静さは保っていた、
また、
日中も急に眠ってしまうことがある、学校側は、彼の症状を理解しており、咎めることはない、
設問1
この症例で、最も考えられるものはどれか、一つ選べ
①失外套症候群
②Kleine-Levin症候群
③ナルコレプシー1型
④ナルコレプシー2型
⑤ターナー症候群
解答③
ナルコレプシーは、日中に反復して起こる、耐え難い眠気(睡眠発作)と、笑いや驚きなどの、
情動によって起こる筋肉の緊張消失(情動発作)を特徴とする、慢性疾患である、
また、
これらに加え、入眠時に、生々しい夢(入眠時幻覚)をみたり、金縛り(睡眠麻痺)を伴うこともある、
原因は不明とされているが、外側視床下部ニューロンがもつ、
神経伝達物質であるオレキシンの異常によって生じる症例が多い、
また、
オレキシンは覚醒を増やす作用があることから、ナルコレプシーは、覚醒維持機構の障害と考えられている、
ナルコレプシーは情動発作を伴う1型と、伴わない2型に分けられる、
そして、
Kleine-Levin症候群(周期性傾眠症)が、鑑別疾患として挙げられるが、Kleine-Levin症候群は、
数日から数週間続く、過眠症状と、食欲、性欲亢進を特徴とするため、
今回の症例には該当しない、
設問2
この疾患の診断に、臨床の場で、有効なものはどれか全て選べ
①髄液検査
②終夜睡眠ポリグラフ
③十分な問診
④睡眠潜時反復検査(MSLT)
⑤全て該当する
解答②③④
ナルコレプシーは、鑑別疾患(睡眠不足症候群など)を除外するため、
終夜睡眠ポリグラフと睡眠潜時反復テスト(MSLT)を行う必要がある、
また、
睡眠時無呼吸症候群や、レストレスレッグス症候群などでも、
睡眠の障害は出現するため、十分な問診は、勿論、必要である、
そして、
髄液検査は、※オレキシン(ヒポクレチン)の濃度を調べることで、
参考にはなるが、侵襲を伴うため保険適応外である、
※オレキシン:
神経ペプチドの一つ、ギリシャ語で、食欲を意味する、ヒポクレチンとも呼ばれる、
視床下部外側野に存在する神経細胞が産生するオレキシンは、
食欲、報酬系に関わるほか、睡眠や覚醒を制御する、
その為、
オレキシンを作る細胞が消滅すると、ナルコレプシーとなる、
設問3
この疾患の治療として、正しいものは何れか全て選べ
①モディオダール
②三環系抗うつ薬
③ヒロポン
④ベタナミン
⑤全て該当する
解答⑤
治療には、覚醒レベルを上げる薬剤が使用される、メチルフェニデート(リタリン)が、
良く使用されてきたが、ナルコレプシーを偽って手に入れようとする人や、
処方を乱発する医師が続出したため、現在は、厳格化され、
ナルコレプシーの診断には、睡眠潜時反復検査を求めるようになった、
現在は、
リタリン適正流通委員会により、登録要件が定められているが、
第一選択は依存性が少ない、モディオダールとなっている、
モディオダールで、効果が不十分な時、リタリンを処方する、
尚、令和2年より、モディオダールも、処方が厳格化されている、
※リタリン、モディオダールは麻薬及び向精神薬取締法における第一種向精神薬に指定されている
以上です、リトルバスターズの主人公をモデルとしています、素敵な週末を。
精神科医ましろ
おまけ
今日はあおぎりも意識高い系
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