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Outer Wildsやったけどよくわからないところがあるので整理する

先日、名作として話題のOuter Wildsをプレイしました。レビューによるとぜひともネタバレなしで遊ぶべきとのことで、それに従って何とか自力でクリアまでたどり着いたのですが、あんまり考察などせずに進めたせいか主にストーリー部分において謎が残ったまま終わってしまいました。こう……なんとなくはわかるんですが、レビューで絶賛している人たちほどには内容を把握できていないような気がしています。ですので、その残った謎について書きながら整理していこうと思います。
展開を書くのが面倒なので内容を知っている前提で書くため、未プレイの方にとってはネタバレになります。つっても何かいてるか分からないとは思うんですが……注意してください。

舞台はとある星系 回っている星々もどこか太陽系に似ている
こういうマップすごいワクワクする

エンディングについて

このゲームのエンディングは、宇宙の眼の座標を発見してそこへ到達することで見られます。このエンディングの内容がちょっと本当に意味不明で……まず、上空に浮かぶ紫色の渦(おそらく宇宙の眼)の中に飛び込みます。そこから渦の中を落下すると、暗転の直後突然母星の天文台(らしき場所)に飛ばされます。そこの展示物は置き換えられており、解説文は星系の顛末についてまるで神のような視点から語りを入れるものに変わっています。天文台の中心においてある銀河のモデル?のようなものをのぞき込むと突然その中に引き込まれてしまい、中央に焚火がある森の中に着地します。そして手持ちの探知機で楽器の音を探して先輩宇宙飛行士たち愛用の楽器を拾い集め、全員が集まったところで輪になって演奏をして、焚火の上に謎の光球が出現して、その光に全域が包まれたところでクレジットが流れます。

意味が分かりませんね。私もです。意味が分からな過ぎてスクショを取る手も止まっていたので画像も一切ありません。今も書いていて夢日記かなにか?と思いました。でも案外、これは本当に夢なのかもしれません。

まず、最初に飛び込んだ「宇宙の眼」が一体どのようなものなのかを考えてみましょう。Nomaiに送られてきた信号によると「宇宙より古くから存在している」、ここが重要だと思います。宇宙より古くから存在しているということは、宇宙の誕生にかかわっている可能性があるということです。どうやって宇宙の年齢を測ったのかはわかりませんが……(というか既知の宇宙年齢より古い天体が発見されたら宇宙は思っていたよりも古くから存在していたとかそういう発想になるんじゃないかしら)

とすると、宇宙の眼の渦の繋がっている先は宇宙の「外側」である可能性があります。落下中に見えた景色は、渦の流れが網の目状に繋がってどこまでも広がっており、個人的に宇宙の泡モデルを連想しました。銀河を外から見た時に泡のような構造を取っているなら、宇宙を外から見てた時にも似たような形をしていても不思議はありませんよね(ふわっとした知識)。火の鳥でも宇宙のマクロ的な構造と原子のミクロ的な構造は似通っているみたいな話してたし……

ともかく、渦に落ちた先が宇宙の外側なら、その先の天文台と焚火は何を示しているのでしょうか。
……こっちに関しては特にわかりませんでした。演出があんまりにも示唆的なので何も確定したことが分からない……ですが少なくとも、現実に博物館に戻されたとか仲間と焚火を囲んだとかではなく、精神世界の反映であることは確かでしょう。主人公の記憶から生成された世界だと思います。

で、細かいところはわかりませんが、全体としては、新しい宇宙の誕生を見届けるシーンのようです。仲間が「こんなシーンに立ち会えるなんて、悪くないね!」みたいなことを言っています。多分この仲間も主人公が脳内で思い浮かべてるんだとは思いますが……宇宙の眼に落ちた者(自意識を持つ生命体?)は、次の宇宙の誕生を見届ける運命にあるようです。

クレジット後は、新たな宇宙で主人公たちとは違う誰かが焚火をしているシーンで終わります。「NomaiやHearthianが滅び、宇宙が生まれ変わっても受け継がれているものは確かにあるはずだ 例えば焚火とマシュマロとか」みたいなエンドでしょうか。ハッピーエンドかどうかはわかんねぇですけど…

灰の双子星プロジェクトのまとめ

Nomaiが起こした「灰の双子星プロジェクト」、ゲーム中ではプロジェクトの断片が示されるばかりで特に総括的なものはなかったので、整理を兼ねてその内容をまとめてみます。

プロジェクトの目的は「宇宙の眼」を発見することです。Nomaiの祖先は宇宙の眼からの信号を受けて、宇宙より古い存在を調査すべくこの星系にワープしてきました。しかし星系に到着した時点で、眼からの信号は途絶えてしまいます。さらに茨の星に船を破壊されたNomaiたちは、いったん星系に居住地を構えながら宇宙の眼を見つける別の方法を探すことにしました。

方法の一つとして、軌道衛星砲をつかって探査機をランダムな方向に発射して宇宙の眼を探すものがありました。しかし、眼の位置が分からない以上、探査機を飛ばした先に目標があるかは完全に運です。軌道衛星砲はそう何発も撃てるものではなかったため、これで眼を探す計画は頓挫しました。

研究を続ける中でNomaiはひとつの発見をします。それは、「ブラックホールや装置で物をワープさせると、ワープ開始時刻の少し前の時空に出てくる」というものです。さらに性質として、ブラックホールを作る時に使ったエネルギーが多ければ多いほどこの差は大きくなるようで、例えば仮に超新星爆発によって生成されるエネルギーを使ってブラックホールを作れたなら、およそ22分前の時空に物をワープさせられるそうです。これがプロジェクトの核となります。

22分前にタイムワープする技術を獲得したNomaiは、これと先ほどの軌道衛星砲を組み合わせて宇宙の眼の位置を総当たりで探査する作戦を思いつきます。すなわち、軌道衛星砲を打ち上げ、眼が見つからなければ22分後に星系の太陽を起爆し、そのエネルギーでブラックホールを作り探査データを22分前に送り、データを受け取った22分前の自分たちは今度は別の方向に軌道衛星砲を打ち上げる……というのを眼が見つかるまで繰り返すのです。そして眼が見つかったら太陽を爆破せずにループを終わることによって、結果だけ見れば何も被害を出さずに宇宙の眼の座標を手に入れられる……というぶっ飛んだ計画です。科学者は頭がおかしいが、Nomaiは種族丸ごと生粋の科学者なのでこんな計画もノリノリで通る。軌道衛星砲は巨人の大海の赤道上に、ブラックホール発生装置は灰の双子星の地殻内部に、知的生命体の記憶をループを越えてコピー・転送するための石像型装置も作られました。

ループ開始時、巨人の大海の軌道上で青い爆発が見える
フルパワーで探査機を発射して自壊する衛星砲くんの雄姿である

しかし、ここで問題が発生します。太陽の爆破が技術的に不可能だと担当のチームから連絡があったのです。これでは肝心のタイムワープができません。プロジェクトは道半ばで凍結され、Nomaiたちは有効な手立てを見つけられずに滅びたようです。

その後何年も経って、Nomaiに替わって主人公たちHearthianが繁栄するようになります。ここで突然、主人公の目の前で石像型装置が起動します。そうです、22分後の世界で太陽が寿命により超新星爆発を起こしたため、凍結されてそのままだった灰の双子星計画が自然に起動し、主人公(ともう一人、巨人の大海にいるHearthian)を巻き込んでループを開始してしまったのです。ループのたびに軌道衛星砲はランダムな方向に射出され、主人公の記憶はコピーを取られて灰星の地下に送られ、毎回スタート地点の主人公の脳に記憶がインストールされる仕組みです。

プロジェクトは正確に作動し、特定の地点に行くとプロジェクトによって獲得した宇宙の眼の座標を知ることができます。以上がNomaiによって計画されたのちに凍結され、太陽の寿命とともに再起動した灰の双子星プロジェクトの全容になります。

繰り返すループによって得られた「宇宙の眼」の座標

Nomaiの倫理観ヤバすぎ

創作の科学者の倫理観は往々にしてヤバいもんなので太陽を起爆するくらいならまぁ……イカれてんねといった感じなんですが、文書によるとNomaiはもともと洞窟探索の際に周辺の生態系に影響が出ないように配慮するくらいの生命倫理はある種族だったっぽいので、自分たちの種族ごと星系を吹き飛ばして宇宙の眼を探す計画に特に反論も出ずにGOサインが出たのがちょっと気になっています。宇宙の眼の座標は最優先事項なので星系一つくらいなくなってもどうでもいいといった価値観なのか……

あるいは、眼の座標を見つけた時点でループを止めれば理論上「何もなかった」「犠牲など出さずに座標を手に入れた」ことになるため、中途の犠牲は存在しなくなる…だから生態系への配慮もバッチリ…みたいな理屈なのかもしれません。少々受け入れがたいですがそこはまあ、Nomaiは異星人だし種族丸ごとサイエンティストみたいな連中なので感覚的に理解できなくとも仕方ないかな、という気はします。

Nomaiの理系ジョーク
理系ジョークってなんか微妙に面白くないんだよな…

同じ物体が二か所に存在するわけないじゃん

これはSuper Liminalを遊んでいて思ったんですが…「ブラックホールに物体を投げ込むと吸い込まれるより先にホワイトホールから物体が出てくる」というのは、普通に考えておかしい現象なんですよ。「手紙をまだ投函していないのに相手に届いている」みたいなもので、じゃあ投函する直前で気が変わって手紙を出すのをやめたらどうなるんだって思いますよね。理論上はこの世に同じ手紙が同時に二つ存在することになってしまいます。これと同じことをOuter Wildsでもやれないでしょうか。

Super Liminalは錯視をテーマにしたゲームなのですが、ゲーム内のオブジェクトの挙動は現実の物体とは大きく違います。そこから生じる矛盾を的確に把握してパラドックスを引き起こし、世界を破壊することでゲームが進む……というギミックが一部に仕込まれています。ですので、ワイルズも矛盾をより分かりやすく広げたら何か起こらないかな……と思ったのです。

私が試したのは、脆い空洞にあるブラックホールに探査機を放り込んで、吸い込まれる直前に回収することで探査機を複製する方法です。こちらは回収のタイミングが難しく、残念ながらうまくいきませんでした。次に、探査機がブラックホールに吸い込まれる直前に写真を取ったら、ブラックホール周辺とホワイトホール周辺の景色が同時に撮れるんじゃないかと思いました…が、これも失敗しました。有効な実験を思いついたら試して追記します。

量子ってなんなの?

このゲームの量子はおおざっぱに「肉眼やカメラで姿を確認しているうちは動かず、確認していないときは移動しまくる不思議物質」くらいに思っておけばいいです。ただ、それにしてもいくつか挙動に物理的?な疑問点が生じます。屁理屈じみてはいるのですが…

まず、「存在を確認している」という条件が不明確です。ゲーム内の量子物質は特有の電波を発信しており、これを手持ちサイズの装置で捉えることができるのですが、これで位置の検討を付けただけでは存在を観測したことになりません。対象まで数メートルまで近づいていても、間に物が挟まったりして物体が隠れてしまえばフッと電波が途絶えてしまいます。カメラを通しての確認と電波観測装置を使っての観測に何か物理的な差があるようには思えません。

また、対象が周囲に投射した光を確認するだけでも、観測したことにはなりません。量子試練の塔の内部に、量子的な性質を持つ重力石を使って壁を登る試練があるのですが、ここでは重力石本体を視野(とカメラの画角)に入れて位置を確定させ、道を作る必要があります。重力石が放つ光が壁に当たってるのを視野に入れておく……とかではだめです。反射光を見るのがNG判定なら光沢のある壁に映った姿を見るとか、あるいはドストレートに鏡に映った姿を見るとかもNGになりそうな気がするんですが…カメラがOKなのに鏡がダメってのも変な話です。

量子の岩 なんか……怖いね……
特有の電波を発信しているが、それを観測するだけでは位置を固定できない

屁理屈はおしまいにして、「存在を観測した」と認められる基準を考察しましょう。おそらく簡単な話で、知性存在が意識上で直感的に「存在している」と認識できているか否かだろうと思います。カメラがOKで電波観測器と反射光がNGな理由はそれくらいしか思いつきません。理屈はともあれ、知性体の認識が重要なのでしょう。たぶん鏡や、鏡として使えるくらいピカピカに磨き上げた壁とかでもOKなように思います。

話がずれますが、灰の双子星プロジェクトは知性存在をループに巻き込む必要なんてなさそうだと思いませんか?自動で観測機発射から観測データ獲得、宇宙の眼が無ければデータを保存して再ループ、宇宙の眼が見つかれば太陽の爆破を止めてループ脱出なんてNomaiの技術があれば自動化できるでしょう。メタ的な視点になりますが、このゲームの基礎理論として物事は観測者がいないと完了しないというようなテーマがあるのではないでしょうか。この宇宙ではループも量子も、おそらくは宇宙の誕生にも観測者が必要なんだと思います。

Nomaiが滅んでから何年も経ってるにしては設備が新しくない?

これはまぁ……ゲーム上の都合といえばそうなんでしょうけど、Hearthianが洞窟内の原始生物から高度な文明を持つ知的生命体にまで進化するほどの時間が経っているにしてはNomaiの施設が劣化していなさすぎる気がします。各種スクロールなどの文献が残っているのはともかく、研究所が閉鎖されたままだったり各種装置が問題なく動いたりするのはちょっと違和感があります。まるで生活中に身辺整理などをする暇もなく突然滅び去ったかのようです。何か意図があるんでしょうか。

施設以外では、主人公が出発した時点では脆い空洞はほとんど壊れていないことが挙げられます。脆い空洞はNomaiが活きていた時代の時点で、ほとんど崩れる直前だったことが各種文書で語られています。「重力石で壁沿いに道を作ったがいつ壊れてもおかしくない」などという文があるくらいです。主人公が宇宙に出発する頃には完全に崩壊してブラックホールに呑み込まれ、星系外縁の星屑になっていてもおかしくありません。もしくは本来もっと大きな星だったのでしょうか。

出発して数分後の脆い空洞
割と形を保っており、ここから10分くらいで崩壊する

あるいは…私が見落としているだけで、何かしらの理由により各天体や施設の状況が特定の時点で保存されているのかもしれません。そういう作用がプロジェクトにあったかな…?全然わかんねえですけど。

「記憶を送る」ってなんぞや

主人公がループした記憶はおそらく灰の双子星地下の謎装置に累積され、周回の度に脳内に保管されてるんだと思いますが……そもそも記憶を送るってどうやってるんでしょ。ブラックホールの中に装置ごと放り込むとか?まさかね…

ちょっとここばっかりはなんも手がかりが無くてわかりませんでした。主人公が「これまでの人生が走馬灯のように目の前を駆け巡った」的なこと言ってるのでループ巻き戻し中の画面は彼にも見えているんだと思いますが、仕組みは全く分かりません。

面白かった点

疑問並べ立てて終わるのもアレなんで、このゲームちゃんと面白かったよってのを書いときます。

まず何よりも、謎解きがフェアです。難しいことには難しいのですが、解いた後に振り返って考えてみると提示されているヒントから正解を順当に導き出すことができるようになっています。

例えば茨の星の内部では、チョウチンアンコウの巣の真ん中を通らなければいけません。普通にエンジンを動かして通ったのではアンコウに食べられて死んでしまいますが、提示されているヒントとして「アンコウは音のするものを追いかける習性がある」があります。すぐに思いつくのは「エンジンを動かさないで通り抜ける」という突飛な解決策ですが、実はこれが正解です。実際に試してみると、アンコウの巣に入った直後は前方向の慣性が働いており、これに身を任せて巣の中を素通りするだけで危険地帯を通過できるようになっています。気づいた時には脳汁が出ました。

茨の星内部 行き詰ったときは周辺の探索、手がかりの整理が有効
あとは自分の試行に無意識の枷がはまっていないかを確かめる

また、巨人の大海では、星の中心に帯電した層に包まれた異物が眠っており、何とかして帯電層を抜けて底にたどり着く必要があります。この層を抜けるためのヒントとして、「周辺を漂っているクラゲの外皮は絶縁体である」というものが与えられています。ゲーム脳で考えるとクラゲを倒して外皮で絶縁スーツを作るとかになると思うんですが、このゲームにはアップグレードも装備剥ぎ取りも存在しません。ではどうするのか?
クラゲを注意深く観察すると、ドーム状の頭から円筒状に長い足が垂れ下がっていることがわかります。これを下から見ると足の間に人一人分くらいが入れるスペースがあるのです。つまり、「クラゲの中に潜り込んで、そいつが昇降するのに便乗して帯電層の下へ行け」ということなのです。
この作戦は割と序盤で思いついたのですが、あんまりにも冗談みたいな方法だったので試すこともなく切り捨てました。クラゲの中に入れるわけがないという無意識の前提、思考の枷を捨てることで攻略できました。

もうひとつ面白い点として、先ほど挙げたようにアップグレードや能力開放が存在しないということがあります。二段ジャンプも空中ダッシュも新しくもらえるようなことはなく、宇宙船に帯電板や砲台を付けることもありません。しかしそれでも、プレイヤーがゲームを進めるにつれて行動範囲は広がっていきます。プレイヤーに知識が蓄積するにつれ、障害となり得るいろいろな環境や施設の突破方法がわかってくるからです。この、キャラ強化に頼らずマップを拡張するやり方は斬新で面白いと感じました。パスワード式の扉やパズルなど、知識さえあれば突破できるギミックをマップに仕込むのはほかのゲームでもありますが、Outer Wildsはそれを完全にゲームの環境の中に組み込んでいるのが素晴らしかったです。

あとは……なんかプレイヤーの存在もこのゲームのシナリオに組み込まれている気がしないでもないんですけど、さすがにこれは考えすぎですかね。すべての物ごとに観測者が必要なのであれば、主人公の冒険自体を観測している存在がどこかに必要なんじゃないかな……とも思うんです。それが我々……ってのはちょっとこじつけが過ぎるので、ここらへんで考えるのをやめておきます。DLCでなにか新しいことがわかるかもしれないし。

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