やるぞ!自作レバーレス![組み立て編]
キーボード型自作レバーレス制作記録、第2回です。
前回の記事はこちら。
制作に至った動機と経緯も前回記事に記してますので、ご参照ください。
さて前回はKiCADで設計した図面を元にJLCPCBに基板を発注するところまででした。
それとは別に、以下の必要機材を同時に発注。
キースイッチとしてCherry MXの銀軸、横長キーを支えるスタビライザ、心臓部のマイコンとしてRaspberry Pi Picoを併せて発注していました。なお、キーキャップは前回記事執筆時点で入手済み。
さあ、いざ基板組み立てと参りましょう!
Raspberry Pi Pico の設定
発注した部材で一番早く到着したのは、コントローラーの心臓部となるRaspberry Pi Pico(以下、RPP)でした。
これにGP2040というファームウェアを仕込むことで、アケコンの心臓部として機能します。これに関してはとくに躓くこともなくファームウェアの入手とセットアップを済ませました。まがりなりにもIT業界の末席にいる身ですからね。このくらいは簡単です。
GP2040のセットアップが完了すると、左右の各端子とGND端子を直結することで、対応するキーの信号がUSBを介して出力される仕組みです。
この状態のRPPをPCに接続すると、「XBOX 360 Controller」として認識されます。
コントローラーのテスト画面を開き、各ボタンの対応端子とGNDを導線で直結させると、このように対応ボタンが反応します。
一通りの端子の反応をチェックし、問題ないことを確認しました。
ここまで順調ですが、ひとつだけ、RPPのUSB端子がMicro-USBだったのは想定外だった…。これは後に、些細ではありますがちょっとした問題を引き起こします。
そして基板到着
そして待ちに待ったPCB基板が到着。
最低発注枚数が5枚なので、到着したのも5枚ですが、当然使うのは1枚です。
PCB基板上には既に電気回路が仕込まれているので、所定位置にスイッチとRPPをはんだ付けすれば、それだけで回路部分が完成します。
が、その前に念のため、ちゃんと基板上の導線が正しく繋がっているかを確認しました。RPPは基板裏面の、銀色の帯で作られてた四角形の部分に貼り付けるので、RPP単体のテストでやったように、PCB基板とRPP、スイッチ部分を直結させ、きちんと反応することを各端子ごとにチェックし、問題ないことを確認しました。
これ、きちんとしたテスターみたいなものでもあればラクなのでしょうが、そんなものは持ち合わせていないので、 小学校の理科の実験で使うような普通の被覆導線を使ってやったのですが、結構大変でしたね。意図したところに導線を触れさせるというのが、視力の衰えもあって難しい。
全ての基板回路の確認が完了し、いよいよ組み立てです。
回路組み立て
組み立てといっても、要ははんだ付けです。
RPPと、キースイッチを基板に貼り付けていきます。
今回キースイッチとして採用したのは、メカニカルキーボードでもよく採用されているCherry MXスイッチの中でも、HIGH SPEEDタイプと呼ばれる、通称「銀軸」です。
キーを押し込んだ際に、かなり浅い押し込みでも反応する性質があり、反応速度が要求されるゲーミングキーボードによく採用されるスイッチです。私が最近購入したゲーミングキーボード、CORSAIR K65 RGB MINIにも使われているスイッチですね。
そして、スイッチとRPPを基板にはんだ付けしたものが、こちらです。
この写真はPCB基板の裏面ですが、見ての通り、基板の裏面にRPPを張り付けています。
普通、PCB基板を使ったアケコンを自作する場合、マイコンは基板の表面に着ける人がほとんどだと思いますが、あえて裏面に着けるようにしたのが私の工夫です。
こうすることで、基板の表面にはんだが現れることがなく、キースイッチ以外の凹凸がなくなるので、天板に使う板材を節約できます。
マイコンを表側に貼り付けると、天板はマイコンとはんだ付けの部分を避けた1枚の他に、そのマイコンを隠すようにもう1枚天板を被せる必要があります。マイコンを収めるための空間を、天板を2枚重ねることで確保するわけです。その天板の2層構造を、マイコンを裏面に回すことで不要にしたわけです。
マイコンやはんだ付けが露出していても構わないと割りきれば、マイコンを表側に貼っても天板を1枚にできますし、実際そうしている人もいますが、私はせめて表面くらいは見栄え良く見せたいので…
ただ、ここでRPPのI/FがMicro USBだということがボディブローのように効いてきました。Micro USBは現在主流のType-Cと違って天地があります。つまり、裏面に貼り付けたことで、普通のMicro USB機器とは端子が上下逆になってしまったんですね。
まあ、機能的にはまったく影響ないので、些細な問題ではあるのですが…
ちなみに最下段右側のスイッチの両脇を囲うように設置されているのがスタビライザです。
スタビライザは本来キーボード用のパーツで、SHIFTキーやスペースキーのような、横に長いキー用に使う補助パーツです。長いキーの端が押し込まれると、普通ならキーが斜めに傾くように押し込まれることになりますが、スタビライザを設置することで、端が押されても全体が均等に沈むようになります。
ここまで組んだら、再度PCに接続して、それぞれのスイッチを押しながら反応を確認します。一部反応が鈍いスイッチがあって、あれ? と思いましたが、はんだ付けが甘くて回路が接触不良を起こしていただけだったので、はんだを継ぎ足してやることで無事解決。
さて、ここまで来ると、ゲームコントローラーとしての機能は整います。試しにGGSTを動かしてみたのが以下の動画。
ひととおり、コントローラーとして動くことを確認してから、スイッチにキーキャップをはめ込んだのがこちらになります。
…うん、なんか微妙に角度がズレてるキーがあるように見えるのは、手造り故の味だということにさせてください…スイッチを付けるときに、きっちりガイドか何かを当てるべきだった…
まあでも、機能上は問題ないですし、一応メカニカルキーボードと同じスイッチを使っているので、キータッチも心地よいです。結構満足。
さて、後はここから天板と底板を用意し、基板を隠すように挟み込んで固定することで完成です。天板は塗装もします。
キーをはめた状態で採寸し、必要な板材の厚さなどを計算。調達と加工はこれからになりますね。
というわけで最終回、[そして完成へ]に続きます!
部材が揃うまで一悶着
さて、ここからは余談。
今回、発注した部材が一通りそろうまで、実は一悶着ありました。
とりあえず、Cherry MXスイッチとRasberry Pi Picoは早々に入手できました。
が、問題はスタビライザと基板でした。どちらも中国の業者ということが地味にネックになりました。
誤解があるといけないので最初に断っておきますが、どちらも業者さん側に問題があったわけではありません。
スタビライザは発注するまで中国の業者だと気づきませんでした。
国内の業者あれば、発送さえもたつかなければ、北海道でも5日もあればだいたい着荷します。が、Amazonが指し示す着荷予定日は二週間から三週間後だった。この時点で「は?」と思ってよく確認してみたら、中国の業者だったと。
まあ今更キャンセルするのも不義理が過ぎるので、そこはおとなしく受け容れました。しかし、発送の連絡をもらってから一週間ほど後、事件は起こります。
Amazonでの発送状況を確認すると「問題が発生しました」との表示。で、詳細を確認すると、輸送中に発生した問題で送り主へ荷物を返送中だと。で、着荷予定日になっても届かなければ業者と連絡取れと。
Amazonの荷物追跡で確認するに、どうも中国から出ることのないまま、送り主へ送り返された様子。
で、やはり着荷予定日になっても届きませんでした。その間、Amazonでの発送状況は「問題が発生しました」から「配達不能」に。ことここに至り、私はこの業者を諦め、自作キーボードのパーツ販売で有名な遊舎工房さんに別途スタビライザを発注しました。
そして、Amazonのシステムを介して業者に「配送不能なら返金手続きをしてくれ」とコンタクトを取ったのですが、業者さんからの返答は意外なものでした。
「荷物は正常に輸送されており、既に日本国内に入っている」と。
そしてAmazonとは別の荷物追跡サービスのリンクが示されていたので、そちらで確認すると、確かに荷物は既に日本に入国しており、神奈川の郵便局で発送待ちの状態だったのです。
…つまりはAmazonの荷物追跡状況がデタラメを言っていたわけですね。結局この業者のスタビライザはその数日後に無事に着荷しましたが、Amazonの表示は今もなお「配達不能」のままですwwww
しかし、結局遊舎工房さんに頼んだスタビライザが先に到着したため、この業者から買ったスタビライザは結局塩漬けになってしまいました。
まあ、これは1000円程度で勉強になったと思うことにしましょう。業者さんが悪いわけじゃないですからね。
そしてPCB基板の方ですが、こちらは単純に時間がかかり過ぎた。制作自体は3日もかからず、すぐに発送もされたんですが、集荷が遅いわ、税関の通過が遅いわ、国内の運送会社に引き継がれてから集荷も配送も遅いわで…とにかくヤキモキさせられました。一番安い配送オプションにしたので仕方ないとは言え、入国してからはもう少しなんとかならんかったんですかねぇ、佐○さんよお。
というわけで、この記事を書いている3月30日の前日、3月29日にようやく回路組み立てに必要な部材が揃ったというわけです。
皆さんも、中国の業者に発注することがありましたら、このあたりは注意してください。業者に問題は無くても、輸送関係で変なトラブルが発生することがあるようですので…
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