キーボード沼住民としてのこれまでの歩みと今後の展望
思えば、私の理想のキーボードを求める旅は、「キーボード沼」なんて言葉が登場する前から始まってます。
今回は、そんな私のキーボード遍歴をたどってみましょう。
高級キーボードの元祖、東プレ-Realforce
初めてPC付属以外のキーボードで購入したものは、東プレのRealforce、テンキーレスのタイプでした。
今でこそRealforceは、製品が多様化した高級キーボード市場でちょっと埋もれてしまった感はありますが、高級キーボードの元祖と言ってもいいシリーズです。
静電容量無接点方式といえば、今はHHKBこと、PFUのHappy Hacking Keyboardをイメージする人が多いかも知れませんが、初めてこの方式の製品を世に知らしめたのはこのRealforceです。
入手したのはもう20年くらい前ですかね。
16,000円という当時の価格は、現代なら高級キーボードの価格としてはおとなしめに感じますが、高級キーボードというものがまだ浸透していなかった当時は、法外に感じたものです。
それでも、入手して使ってみると、使い心地はやはり別次元でした。16,000円を出す価値はある、そう思わせるに十分なものでした。
この当時のRealforceはまだ手元にあります。さすがに、長らく使ってませんが、全然ガタが来る様子もなく、現役復帰しようと思えばまだまだいけるでしょう。今、改めて打鍵してみると、かなりタッチが固めというか、重めに感じますね。コネクタがUSBではなくPS/2なのが時の流れを感じます。
コンパクトキーボードの信徒になってしまった今の私のメインに復帰することは、もうないでしょうけども、私を最初にキーボード沼に引き込んだのは間違いなくこの製品です。
PFU-Happy Hacking Keyboard
Realforceと並行して、もう一つ気になる製品がありました。それが、PFUのHappy Hacking Keyboard(HHKB)です。
今でこそ、玄人向け高級キーボードのイメージがあるHHKBですが、当時は別に高級キーボードではありませんでした。スイッチは廉価キーボードでよく採用されるメンブレンスイッチで、価格もせいぜい数千円でした。
ただ、「不要なキーを極限まで省く」というそのミニマム思考により、キーピッチを犠牲にすることなくコンパクト化を実現したHHKBは、当時圧倒的な異彩を放ってました。
今でこそ60%キーボードなど珍しくもないですが、当時は唯一無二だったのです。
カーソルキーはおろか、ファンクションキーまで省いてしまったその思い切りは、あまりにも衝撃的でした。どちらかというとイロモノ扱いでしたが、「これを使いこなせれば玄人っぽい」そんなイメージが浸透し、エンジニアを中心にニッチな人気を集めたのです。
私もその一人だったのですが、当時としては独特すぎるその割り切ったキー配列に、順応するのにかなり苦労しました。コンパクト性に魅力はあったものの、タイピングフィールでは静電容量無接点方式のRealforce圧勝だったこともあり、メインキーボードの座を奪うには至らなかったのです。
なので、その後にHHKBのプロフェッショナルモデルとして、静電容量無接点方式を採用したモデルが登場したときは、かなり心惹かれはしたのですが、いかんせんお高い。当時高級キーボードの代名詞だったRealforceの倍近いお値段。とても気軽に手を出せるシロモノではない。
HHKBの独特な使用感にまだ苦戦していたのもあり、使いこなせなかったら諭吉3人が無駄死にする…そう考えると、なかなか踏ん切れなかったのです。
しかし、HHKBの配列に慣れてくるに従い、フルキーボードの大きさが段々と煩わしくなってきました。
そしてその頃になると、HHKBのプロフェッショナルモデルもモデルチェンジを重ね、同時にメンブレン方式の廉価なモデルは販売ラインナップから姿を消しました。
そこで私は考えました。最新モデルはさすがに厳しいけど、型落ちモデルなら少しは安く入手できるんじゃね?
というわけで、当時既に二世代ほど型落ちだった「Professional JP」モデルを2.5万円ほどで買いました。当時はUSBのコネクタの主流が、Micro-USB(Type B)から、Type Cに移行しかかっていたという時期でしたが、このモデルのコネクタはMicro-USBよりさらに1世代前のMini-USBでした。
結局これが、最近YMDK Air40が来るまで長らくメインキーボードの座に居座ることになったのです。
ゲーミングキーボードに手を出す
去年あたりから、格闘ゲームに何故かハマってしまいました。
格闘ゲーム界隈ではレバーレスコントローラーという、レバーの代わりに上下左右のボタンで操作するコントローラーが幅を利かせており、私も興味があったのですが、いかんせん高い。しかし、キーボードでも同じような事が出来るし、使い慣れてもいるしで、結局HHKBをそのままゲームでも使ってました。
ただ、世の中には「ゲーミングキーボード」と呼ばれる、ゲーム用途に特化したキーボードもある。HHKBはタイピング用途に最適化された仕様のため、アクションゲームをプレイする最適解ではないのは明らかでした。
そこで、比較的安価でJP配列のラインナップもあるCORSAIRのK65 RGB MINIを入手して使ってました。
しかし、ゲーム用途としてはともかく、普段使いとしてはタイピングフィールに満足できるものではなく、HHKBからメインキーボードの座を奪うには至らず。
その後、ゲームコントローラーの自作に走ったことで完全に居場所がなくなりました。結果、長女に卸すこととなり、今では彼女のメインキーボードとして活躍してます。
40%キーボードに出会う
そんなわけで、HHKBとともに快適なタイピング生活を謳歌してたのですが…
ある日、某ゲームで知り合ったとある人物が「minipeg48の基板を発注しようと思うので共同購入してくれる人は居ないか」と募集していたんです。
そこでminipeg48の写真を見た私は衝撃を受けました。HHKBよりもさらにキー数を削った48キー構成と、格子配列。さらにはキーピッチもギリギリまで攻め倒した、圧倒的なコンパクト性。
「なんだこれ、こんなのキーボードとして成立するのか?」というのが第一印象でした。
気になって、調べてみると、足りないキーはレイヤーという機能で補うように出来ているのだと。HHKBがFnキーでファンクションキーなどの特殊キーを使うのを、もっと広範囲に広げたイメージですね。
特定の文字を打つために複数のキーを操作するケースが増えるものの、このキー数とサイズなら、ほぼホームポジションに手を固定した状態で全てのキーと機能にアクセスできる。これって実はめっちゃ快適なのでは…
もっとも、共同購入したのは基板だけ。スイッチやケース、キーキャップといった他の部品は自分で揃え、組み立てないといけない。いわゆる「自作キーボード」です。
とはいえ、この少し前にゲームコントローラーを自作したりしてたので、はんだ付けも含めて作業は慣れたものでした。
そして完成したminipeg48。
うーん…正直、最初の使い勝手の印象はいまいちでした。ホームポジションから手を動かさなくていい、という40%キーボードの特徴は確かにイメージどおりだったのですが、さすがに私にはキーピッチが狭すぎたようで、ミスヒットが頻発。
ただ、40%オーソリニアキーボードの利便性と可能性には大いに惹かれたのも事実でした。そこで、標準的なキーピッチの40%キーボードが欲しくなり、部品を調達・組み立てたのが、現在のメインキーボードとなったYMDK-Air40というわけです。
なお、minipeg48はスイッチを変えることによりミスヒットが大分改善され、実用レベルの快適さになりました。現在ではオフィスへ持ち込んで使うなど、圧倒的なコンパクト性を活かして、持ち運んで使うシーンで活躍するスーパーサブ的キーボードとなっています。
今後の展望
今のところはAir40とminipeg48の組み合わせで、キーボード沼の旅は一つの終着点かなと思います。今後、キーボード界に大きな革新が出てこない限り、この体制を変えることはないでしょう。
とはいえ、さらなる快適なキーボードを求め、以下のようなものも検討したことはあります。
30%キーボード
40%がいけるんだから30%キーボードもいけるんでは? とか思って調べたりもしまたが、正直、イロモノの域を出ないなぁと思ってます。
ケースがなくて、持ち運びの耐久性に難がありそうなのがほとんどなのも気になります。
分割キーボード
左右分割でトラックボールと一体化したKeyBallシリーズには正直かなり惹かれましたが、
30%キーボードと同様の理由で、耐久性に難がありそう
そもそもトラックボールが合わない。一度試してみたら腱鞘炎を起こした実績あり
高杉ワロタ
という理由で今のところ見送ってます。
実用性込みのバランスでは、今のとこ40%オーソリニアが最適解だなぁという思いを強くしただけで終わりました。
そんな訳で、私のキーボードを求める旅は、いったん終わりです。