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【逆転裁判4 感想・考察②】牙琉響也について



こんにちは、あんこです。

今回も引き続き、逆転裁判4についての感想・考察(と言えるほどでもないが)を書いていく。
まだ未プレイの方がいれば、
是非プレイしてからこの記事に目を通していただきたい。
なにせネタバレしかないので。


さて前回は、
逆転裁判4の感想を書き始めるにあたって
「主人公・王泥喜法介」について書かせていただいた。



今回は逆転裁判ではかかせない検事役、
「牙琉響也」について書いていく!


散々王泥喜法介について語ったが、
牙琉響也も良いキャラクターである。
というか、逆裁4をプレイし直してその良さを改めて実感し、もっと好きになった。

余談だが、本当はここ2人だけは絶対にまとめて書きたかった。
でも文字数が多すぎて諦めた。
絶対に2人についての記事も書いてやる。


⚠️前回同様、逆転裁判1〜4までの全てのネタバレを含むので注意。未プレイの人は回れ右でお願いします⚠️

ちなみに当方は
・逆転裁判1〜4 : 何周もプレイ済
・逆転裁判5 : 1周のみ(ほぼ記憶なし)
・逆転裁判6 : 未プレイ
の状態。
そのため、逆裁4の感想・考察は「逆裁4までに公開されている情報のみ」で組み立てていく。



検事・牙琉響也


逆転裁判において、
弁護士と同じレベルでかかせないのが検事だ。
逆転裁判4の検事は牙琉響也となる。

改めてビジュアルを見ると、
「逆転裁判でチャラチャラしてる正統派イケメン
なんて珍しいな〜(髪ドリルだけど)」

という印象。

黄色い声援を一身に浴びるタイプの男


しかしそのいけ好かなさとは裏腹に、
中身は非常に真っ直ぐな人だ。
なのに、物語が進んでいく度にどんどん悲しい目にあうので普通に辛くなってしまう。

マジで幸せになって欲しいほんとに。


シンプルに有能な検事


響也は17歳で検事となった。
現在軸では24歳。
既に7年ものキャリアがあり、経験も豊富だ。
ここは新米弁護士のオドロキくんとは対照的。

さらに、そもそも17歳で検事になっているだけあって非常に優秀

法曹界のサラブレッドと呼ばれていたことを考えると、
ご両親も法関係者なのだろう。
兄の霧人も非常に優秀な弁護士 (捕まったけど)
だったし、
スター検事と呼ばれるだけはある。

議論の整理もお手の物
こうは言うが通訳のチェックができるレベル


自分が定めた真実に固執するとか、
証人・証拠に根回しをするとか、
そんな憎たらしさも全くない。

結論を先に言ってしまうと、
イヤミなくらい欠点がない検事なのだ。


まぁ何故か現場と意思疎通が取れておらず、
肝心な証拠や情報が入ってきていない時はあるが…
現場主任の茜ちゃんと仲が良くないせいなのだろうか。

逆に言えば、それぐらいでしか致命的な行き違いはない。

これマジでなんで?


とはいえ、そんなことはありつつも、
裁判中に新しい証言・証拠が出てくれば柔軟に取り入れて推理を立て直すし、
言いがかりで弁護側の主張を却下することもない。

寧ろ弁護側の意見をめちゃくちゃ聞いてから異議を唱えてくれる
(オドロキくんには悪いが、正直「よく今まで黙って聞いてくれてたな」と思うレベル)

なんだったら「それもはやヒントじゃね?」と思うぐらいの、いいパスを投げてくれることもある。

弁護側に有利となる発言をすることも


かと言って弁護側の主張に穴があれば見逃さずに叩いてくるし、
自分の身内が証人だとしても特別扱い等はしない。
敵味方関係ない、めちゃくちゃ公平な人だ。

シメるべきところはきちんとシメる


褒めすぎじゃない?贔屓か?
と思われるかもしれないが、検事・牙琉響也はこういう男なのだ。
こんなん理想だろ」を具現化したような検事である。


さらに検事だけでなく、
ガリューウエーブというグループでリーダー・ボーカル兼ギタリストとしても活動しており、そちらも順風満帆。
デビューと同時に大ブレイクし、
ミリオンセラーを何度も叩き出し、
ライブのチケットは争奪戦レベル。
その歌は教科書にも載るほどらしい。

もはや智勇兼備・眉目秀麗の天才と言っていいだろう。
こんなに完璧だと、ツンツンしているオドロキくんの気持ちも分からないでもない。

腹立ちまくりのオドロキくん


正直ここまで隙がないと、
新米弁護士のオドロキくんが勝てる見込みは
ありそうもないが…


対立しない検事



牙琉響地は検事だ。
であれば、順当に行けば弁護士のオドロキくんとは敵の関係となるはずだ。

なにせ逆転裁判という作品では、
理由は様々だが弁護士と検事は対立するものだからだ。
最終的には和解したりなんだり「一生一緒にいてくれや」になるときもあるが、
基本序盤は敵対関係となる。
もはや名物と言ってもいいだろう。


だが、響也は今までの検事と少し毛色が異なる。
なんと初対面の時点で、
敵であるはずの弁護士・オドロキくんとみぬきちゃんが現場に入れるよう、取り計らってくれるのだ。

少女漫画始まった?


ちなみに、この時響也はオドロキくんが弁護士であることを知っている。
担当弁護士と知った上で、情報の宝庫である現場に入れてくれるのだ。

理由としては、恐らくだが7年前の法廷と同じように

「正々堂々と戦い、アニキを蹴落とした新米弁護士の実力を見定めたかった」

という気持ちが大きかったのではないかと考えている。
あとは単純に検事としてのスタンスも関係してそうだ。


さらに、その翌日の法廷で
みぬきちゃんが裁判を続けるために攫われたふりをするシーンがあるのだが、
響也は間違いなく小芝居と気づいた上で見逃してくれている。

その後誤魔化すのまで手伝ってくれる


もはや一周まわって「何が目的なんだ?」と訝しんでしまうぐらいには、
あまりに敵意を感じない。

最初の「ぼくの兄を蹴落としてイキがってるボクちゃんの実力を見られるんだからね」と言っていたピリピリ具合はどこいった?てなもんである。

この発言からして、
「兄を蹴落とした弁護士」だとオドロキくんのことをよく思っていない、
弟としての牙琉響也がいるのは間違いないだろう。

なにせ響也目線から見たオドロキくんは、
「兄から弁護士バッチを取り上げ」
「兄を独房へと追いやり」
「挙句の果てに "あの" 成歩堂の事務所に入り浸っている」

状態なのだ。
響也の発言とその気持ちは当然と言える。


だが裁判中はそこに囚われることはなく、
「弟」としての自分よりも「検事」としての牙琉響也を振舞っているような、
法廷に対して非常に誠実な態度を感じる。


…書けば書くほど持ち上げみたいになってしまう。
だが本当にそうだから仕方ない。

正直なところ、響也相手じゃなかったらオドロキくんは潰されていたと思う。

こんなに優しい検事ばかりだと思うなよ。
スタンガンで襲われて証拠奪われたりするんだからな。

それは本当にそう



…少し私の素がまろびでてしまったが、
そんなこんなで響也は最初から非常に優しい。
優しいというか、検事として真っ当に対峙してくれる。

何度も言うが、
それがみぬきちゃんだけならともかく、
自分の兄を独房へと追いやった新米弁護士オドロキくん相手にも」である。
これは今までの逆転裁判の検事達と比べるとかなり異質だと言っていいだろう。

なんだったら褒めてもくれる


ではなぜ、検事・牙琉響也は弁護士・王泥喜法介と敵対しないのか。

その理由は、響也自身の口から3話で語られる。


「知りたいのは"真実"」


3話の捜査パートで、
オドロキくんとみぬきちゃんは響也の執務室を訪れる。

そこでオドロキくんは発火装置について、
響也はボルジニアのマユについて、
事件に関する重要な情報を互いに与え合う。

この件で、オドロキくんは響也に感謝されることとなる。
情報をくれた弁護士は初めてだ」と。

そしてこうも続ける。

あまりにも真っ当


そりゃ対立しないわ!!
だって張り合うつもり無いんだもん!!!


2話で「ぼくはただ真実が知りたいだけだよ」と語っていた時点で
お前…もしかしてこっち側か!?」感はあるのだが、
ここで検事・牙琉響也としての矜恃が明言されるわけだ。

この辺りまで来ると、
あまりにも検事として欠点が無さすぎてもう「キャー!」てなもんである。

それは本当にそう(2回目)


牙琉響也は一見
「ガリューウエーブが本業の腰掛け検事か?」
とでも言われそうな(実際思われてる描写はある)設定とビジュアルだが、
少々ビックリするぐらい真摯に検事という仕事に向き合っている


繰り返しになるが、響也はまだ24歳だ。
だが検事としてのスタンスはほぼ完成されていると言ってもいいだろう。
言うなれば逆裁2での御剣検事の域に、
既に達してしまっているのだ。

ここまで最初から出来上がっているキャラクターも珍しいが…


マジメ"すぎる"


上で書いた通り、響也は非常に真っ直ぐだ。
そしてその性格は、
「検事」としても「ガリューウエーブのリーダー・ボーカル兼ギタリスト」としても変わらないようだ。
だが、その真面目さが悪い方に作用してしまうこともある。

それが如実に現れているのが3話だ。
ガリューウエーブのコンサート中に演奏の音がズレたことに怒り、
皆の前で声を荒らげて「犯人は誰だ!」と追求を始めるシーンがある。

ブチギレの響也


声も荒らげず表情も崩さず…なイメージが強い検事・牙琉響也からは、
ここまで感情を顕わにする姿はあまり想像がつかない。

しかし「演奏のデキが悪いと途端に不機嫌になるんだ」と相棒のダイアンが零しているので、
ガリューウエーブ内では割と日常のようだ。

法廷での牙琉響也はあくまでも「検事としての」牙琉響也なのだろう。
本質は変わらないだろうが、素ではないのかもしれない。


ちなみにガリューウエーブは5人組のグループだが、
逆裁4ではギター担当のダイアンしか出てこないので、
ここ2人のやり取りしか見ることは出来ない。

しかしグループのトップ2に確執があるようなので、
グループ仲はうまくいっていたのか?」という疑問は拭えない。

大げんかするトップ2


法廷で・1人で活動する検事であればその生真面目さはプラスにばかり働くが、
グループ活動では少しネックになるのかもしれない。
人間皆が皆、響也のように完璧を目指して生きている訳ではないからだ。

しかし響也はそのことに気がついていない…というか、
「純な正論が鼻についたり、快く思わない人もいる」という視点がそもそも欠けているように見える。

このように、3話の響也を見ていると
大人びているが意外と素は幼いのでは?
と思えてならない。

"牙琉検事"を知るオドロキくんにとっても意外らしい



この件から分かるのは、牙琉響也は

・何に対しても真摯である
それを認めた仲間にも求める傾向がある

ということだ。
前者は何も言うことは無いが、後者は少々厄介だ。

実際、相棒ダイアンも「悪いやつじゃないんだが」とフォローは入れつつも、
響也のことを少々面倒くさそうにしている

今までいろいろあった様子


3話の響也とダイアンのやり取りを見ていると
どう見ても響也の熱量にダイアンがついていけていない。

しかし響也はそれを良しとしない。
ダイアンを相棒として信頼していたのもあるかもしれないが、
自身と同レベルを他者にも求める。

ある種、他人への期待や信頼が大きくなりがちな人なのかもしれない。


正直面倒くさがりの私としては、
うっとうしがっているダイアンの気持ちが分かってしまう。
言葉を選ばずに言うと、
何もそこまできちんとやらなくていいだろ、
お前一人でやってろよ
ぐらいの気持ちを持ってしまうかもしれない。

というか、こういった綺麗事を「何も文句を言えないほど優秀な」人間に言われるのが1番キツい。
だって、そんなのもうこっちは何も言い返すことが出来ない。

だが、何度も言うが響也が言うことは正論だ。
何事も完璧に、真摯に。それ自体は何も悪いことではない。
だからこそ少々思うところがあるダイアンも「悪いやつじゃないんだが」と言うしかないのだろう。
なぜなら響也が言っていることは正しいからだ。

この正しさの煮凝りのような男が、
初めての法廷で「成歩堂弁護士は捏造の証拠品を使っている」とつきつけた時から、
現状歪みを持つ法曹界でどんな想いを抱いていたかを考えると何とも言えない気持ちになる。


弟・牙琉響也


ここまでは、「検事」としての牙琉響也に焦点を当てて感想を書いてきた。
しかし、他にも外せない響也のもう1つの顔がある。
特に逆裁4において。

それが「牙琉霧人の弟」としての一面だ。
これが非常に難しい。
何が難しいって、兄・霧人についての情報が少なすぎるのだ。
あと普通に悲しくなっちゃうのであまり考えられない。

だがせっかくの機会だ。
考えられるところまで考えてみようと思う。


牙琉兄弟



最初にも書いたが、牙琉響也は弟だ。
8歳年上の兄、牙琉霧人がいる。

やたらと詩的センスがある兄弟(絶対育ちがいい)



兄・霧人は響也と違い弁護士で、
オドロキくんの先生にあたる。
そして、何を隠そう逆転裁判4のラスボスだ。
やだ。もう悲しい。

上で書いた通り、両親・兄が法関係者なため、
響也が検事の道を進んだのは生育環境の影響も大きそうだ。
もしかしたら、弁護士ではなく検事の道へ進むと決めたきっかけとなった出来事も兄弟間であったのかもしれない。

だが残念ながら、この兄弟のやり取りは4話の最後の法廷でしか見られない。
2人が普段どんなやり取りをしていたのか、
そもそも仲が良かったのかは明確には描かれないので、
過去については全く分からない。

しかし「アニキ」「響也」の呼び合いや、
2話の響也のオドロキくんへのピリついた態度、
4話の響也の珍しくあたりが強い異議と「アンタを信じていたかったよ」という言葉を踏まえると、
兄弟仲は悪くはなく、
少なくとも響也は兄を慕っていた
と考えられる。

ウチのアニキ(かわい)


では兄の霧人は…というとどうなのだろう。

響也の初舞台である7年前の法廷で「捏造した証拠品を使ってまで勝ちをもぎ取ろうとしていた」と考えてしまうと、
霧人の中での優先順位は「名声>弟」だったのかな…と思えてしまうが…
正直なところなんとも言えない。

霧人 ⇒ 響也への感情の推測が難しいのは、
「弟思いの面があったと解釈することも出来る」し、
悪く考えようとすれば「最悪のパターンを想定することも出来る」
からだ。

それぐらい霧人が響也について語るシーンは少ないし、
そもそも霧人自身の独白もそこまではない。
ラスボスなのに、霧人のバックグラウンドについて深く触れられない。
肝心の犯行内容すら、
いろいろと気になる点はあるのに謎のまま終わるぐらいだ。

そのため霧人について、
ひいてはこの兄弟について考察を広げるのは非常に難しい。

黙秘ばっかりしやがって


とはいえ、
この兄弟間に共通するピースはいくつかある。

今回はあくまで響也についての記事なので、
霧人単体についてはまた別の機会に書くとして、
そのピースから弟・牙琉響也について考えていく。


髪型の真似


7年もの月日が経てば、見た目も変わるもの。
例に漏れず、響也にも差分がある。

17歳の響也


上の画像は7年前、つまり響也が検事になりたての頃のビジュアルだ。
この時はまだ兄のように髪を巻いていない。

しかし何度も載せたように、現在軸の響也は髪を巻いている。
前髪を除けば、完全に兄の霧人と同じ髪型だ。

兄・霧人は7年前から既に巻いていたようだ


実はこの理由が、私にはどうしても分からない。
未だに「どんな気持ちで毎朝この髪型をセットしてるんだ…」と苦しくなる。

というのも、7年前の捏造証拠品の件について

響也「…ホントは、フシギに思っていたんだ… "なぜ、アニキはそこまで知っていたんだろう" って」

と語るシーンがあるのだ。

これはつまり、
響也は7年前の時点で兄への疑惑を感じていたが、
今の今までその気持ちに蓋をしてきた
ことに他ならない。

さらにこれは、4話でマコトちゃんが手記の1ページを作ったと証言した際に、
牙琉検事が今までにないぐらい取り乱したことにも繋がってくる。
7年前の法廷で、ナルホドくん個人が捏造の証拠品を使っただけと思っていたのならば、
今更その贋作の製作者が出てこようが何の問題もないからだ。

なのに取り乱した…ということは、
そういうことなのだろう。

向き合わなければならない時が来た


それを踏まえると、ここ7年における
響也 ⇒ 霧人の感情は悪い方向に動きそうなものだ。

しかし、響也が兄を真似するかのように髪を巻き始めたのは、
そんな疑念を抱き始めた後だ。


これはどういうことなのだろうか?


「元々兄の真似をして髪を巻いていたが、
疑念を抱いてからは決別として髪を切った」
というパターンなら話は単純なのだが、そうはいかない。
寧ろ響也はその逆を進んでいる。


正直なところ、

心の奥底で兄への疑念を持ちながら7年間過ごし、
髪を伸ばしてまでその兄とほぼ同じ髪型にする…


に至った心理が全くと言っていいほど想像つかない。

単純に兄を信じていたくて、
兄を目指して髪型を真似るようになったのか。

闇に覆われた自分の罪を忘れないように、
目に見える形で残すようにしていたのか。

「真実を追求する」という自分のポリシーに反した行いへの戒めのようなものだったのか…

弟子のオドロキくんが戸惑うくらいソックリ


オドロキくんに兄・霧人に見間違われた時、
響也はどんな気持ちだったのだろうか。

なんだかどう考えても辛いし、
どう考えても正解ではない気がする。

…うーんだんだん悲しくなってきた。
1度切り替えて、別の方向からこの兄弟を見ていくことにする。


完璧


響也が兄と似ているのは見た目、つまり髪型だけではない。
兄弟揃って"完璧主義"なところだ。

しかし、 逆裁4をプレイした人であればお分かりだろうが、この2人が言う完璧は性質が違う。
その違いを一言で言うなら

兄・霧人は
完璧のために手を汚すことを厭わない
(且つそれがバレないようさらに犯罪に手を染める)

弟・響也は
完璧のために潔癖を求める

である。

霧人の完璧は己の体裁のため
響也の完璧は己の理想のため


同じ "カンペキ" という言葉を使ってはいるが、
霧人は自己利益ベースの実際家、
響也は理想ベースの夢想家
と言うべきか。
向いている方向は真逆と言っていい。


もう「どっちが兄ちゃんなんだよ!」と思わなくもない。
この違いがただの性格差なのか、
過去に何かあったからなのかは分からない。


もしかしたら響也よりも長く生きている霧人には、
こちらの預かり知れないところで心が擦れるような何かがあったのかもしれない。
そのせいで完璧の方向性が拗れてしまったのかもしれない。

なんだったら、
兄・霧人だけが知るもっと深い闇があり、
それできっかけで霧人は折れてしまったが、
弟・響也はそれを知らずにいられたから真っ直ぐ育っただけ…という可能性もある。

さらに言えば、
響也がその深い闇に触れないように霧人が何らかの配慮をした…という考察も出来なくはない。
(ここまでくると考察と言うより最早妄想だが)

なんだか意味深


なにせ、響也はまだ24歳の若者だ。
逆裁1でのナルホドくん・御剣検事と同じ歳。
まだまだ若輩者と言っていい。

実際響也を見ていると
良く言えば「綺麗な良い子だなぁ」、
悪く言えば「甘ちゃんだなぁ」と思うこともある。


しかし、
「響也が綺麗なのは若かっただけだ」
「深淵に触れずにいられたからだ」
なんて言いたくない
じゃないか。

オドロキくんと出会うまでの7年間、
闇に巻き込まれているのを察しながらも法曹界を真っ直ぐに邁進しようとしてきた響也
を、
今正に立て続けに辛い目にあって、それでも真実から逃げないと覚悟を決めた響也の頑張り
を、

そんな風に片付けたくないじゃないか。

どれほど苦しかったのか


何度でも言うが、正論なのはどう考えても響也だ。

私のようなひねくれた人間には少々眩しすぎるぐらいの綺麗な価値観を持つ人だが、
響也が語る世界が実現するのに越したことはないのだ。

響也が目指している世界が訪れれば、それほど嬉しいことはないではないか。

ほんとに24歳?泣



…ほぼ感情論になってしまったが、
兎に角私は検事・牙琉響也を応援していきたい。

また、
私は霧人から響也への兄弟愛は存在したと思いたい。
兄・霧人にも並々ならぬ事情があったと思いたい。

というのも、確かボツにはなってしまったそうだが、
霧人の手の傷には「牙琉兄弟の泣けるエピソード」があったそうで。
私は、恐らくこの1件がこの兄弟の違いの発端となったのではないか…と考えている。

マジで知りたい…どうか…どうか…
後生なので…


逆転裁判4が発売されてから早17年。
この兄弟の真実は未だ闇の中だが…
弟としての響也が、
できるだけ苦しい過去にならなければいいなと思っている。


牙琉響也とは?



牙琉響也は、印象が二転三転…
いやもっと転がりまくりのキャラクターだった。

牙琉響也のビジュアルを初めて見た時は
ただのチャラチャラしたイケメンやないかい
と思ったし、

法廷で検事としての牙琉響也を見た時は
めちゃくちゃ真っ当な検事やないかい
と思ったし、

ガリューウエーブで大騒ぎする牙琉響也を見た時は
こいつ素はめちゃくちゃ幼いやないかい
と思ったし、

兄・霧人と自分の罪に向き合った最後の法廷が終わった後は
もっと響也の成長と葛藤を見せてくれよ
と寂しくて泣いたものだ。


これだけ印象が変わるということは、
響也は逆裁4において、
オドロキくんよりは分かりやすく性格などが描写されているとも言えるかもしれない。
しかし、響也にも分かっていない点は未だ多くある。

3話〜EDを見る限り、
検事・牙琉響也としては弁護士・王泥喜法介を評価していると思われるが、
弟・牙琉響也としての弁護士・王泥喜法介へのわだかまりは、
何も解消されないまま逆裁4は終わってしまった。

そしてそのままガリューウエーブも解散。
今まで正体不明だった闇は晴れたから、
一区切りをつけられたということなのだろうか…

もしくは「カンペキじゃないと犯罪はなくならないんだぞ」と語っていた響也が解散を選んだということは、
オドロキくんと"熱いギグ"を続けていけば、
法曹界や世をより良くしていけると思ったのだろうか。
(流石に犯罪を全て無くせるとまでは思っていないだろうが)

「まだ大して仲良くもなってないのにそこまで期待を押し付けて大丈夫か?」
とダイアンの件がチラつき危うい気がして、
素直に喜びにくいのが正直なところだ。

ただガリューウエーブの解散、
引いては検事の仕事への注力は、
今まで自分が目を逸らしていたものからもう逃げない」という決意の表れでもあるのかもしれない。
そう考えると、「お前マジ…!」と泣きそうな誇らしいような気持ちになる。


…さて改めてEDまでの展開を追ってみると、
逆裁4で響也は実に沢山のものを失っていることが分かる。

霧人は「検事としての名声や世俗的な人気、すべてが失われるかもしれないですよ…?」
と響也を説得していたが、

私はそれよりも、
兄 ・ 相棒 ・ 活動していたグループと
あらゆる拠り所を失った方が心配
だ。

4話終盤でもEDでも
響也はいつものように振舞っていたが…
流石に堪えているだろう。
内心ぐちゃぐちゃだと思う。

4話の法廷中の切り替えの速さを見るに、
意外とスッパリ切り替えているかもしれない…とも思ったが。
それは「検事」牙琉響也だった時の話だ。

裁判所を出て、
牙琉響也として素に戻った時、
一体どんな感情でいたのだろうか。

執務室や自室で一人で居る時に、
弁護士・王泥喜法介や兄・霧人への感情、
ガリューウエーブの解散などなどを考えて、
感情が渋滞したりしたのだろうか。

もう苦しい。
これだから、響也のことは好きなのに、
考えるのはあと一歩踏み込めない。

また、
3話で記者からボロクソな電話をかけられていたのも、
良き理解者・イトノコ刑事がいた御剣と違って
牙琉響也の絶対的味方である検察側の人間がいないのも、
心配に拍車をかけまくる。

作詞した歌詞通りに殺人が行われただけであれだけ大変そうだったのに、
兄がいろいろな犯罪の主犯であり、
自らもあの成歩堂弁護士の失脚の一端を担わされており、
ガリューウエーブも解散して…
だとめちゃくちゃ世間で騒がれそう。

本当に大丈夫なんだろうか。

…とこんな感じで、逆裁4の終幕後の響也を考えると不安ばかり湧いてしまう。
普通に心配なので1人にならないで欲しい。

良い子には、できる限り心穏やかに過ごしていて欲しいと思っている。


総括


というわけで、今回は牙琉響也について語った。
そして案の定また9000字超えた。
なんなんこの2人は。
いくら考えてもキリがない。
どれだけ噛んでも味がする。

なんだか最後あたりは私の感情がぐちゃぐちゃになってしまい、
文章までめちゃくちゃになってしまったが。
まぁそれだけ響也も好きだということで…

初プレイ時からオドロキくんと響也についてはたくさん考えてはきたが、
「牙琉響也の素は幼い」という点は小学生の時には気づかなかったので(まぁそりゃそうか)、
新たな響也を知れた気がして嬉しかった。

やっぱり年齢重ねるといろいろ見方も変わるもんですね。
逆裁1〜3もやり直した時にキャラクターへの想いが変わったりしたものな…

そういう意味でも、
逆転裁判は年齢を重ねてもずっと付き合っていきたい作品だなと思う。

そしていつか、
牙琉兄弟の過去や心情について知れる時が来たらいいな…と思っている。
願うのはタダだし!

最後にもう一度、
響也ができる限り穏やかに過ごせる日がきますように…と祈ってこの記事を締めたいと思う。

こんな日々が続いて欲しかったな
(塗さんのXアカウント@nurikazu_より引用)



あんこでした。


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