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親の鼻を明かしたい兄とただただプレゼントが欲しい打算的な妹
ちょっとM-1ファイナリストのご紹介は一旦休憩して、クリスマスの話でもしよう。
明石家サンタのような気の利いた話はないんですけど…
クリスマス。クリスマスかぁ。
***
我が家ではありがたいことに、クリスマスにはサンタ名義でプレゼントを貰うことができた。
親は、サンタクロースが存在するというテイで話を進めるので、私たち兄弟は、サンタに頼むテイで、各々の要望を出した。
…
ところで、サンタクロースの存在は、親であると思っていた。
なぜ?と聞かれても困る。
そういう文化だ、と思っていた。
少なくとも、フィンランドのおじいさんが、我が家を訪れて、所望したものをプレゼントしてくれるとは微塵も思っていなかった。
でも、信じているかどうかには関係なく、私はクリスマスが好きだった。
サンタの存在はさておき、サンタがいるテイで話を合わせさえすれば、プレゼントが頂けるのだから、それに越したことはない。
それに、ディズニーリゾートのようなもので、あくまで夢の世界を自宅に叶えてくれているもので、それだけでも心が躍った。
別に、ミッキーマウスの実在を確信しているから、ディズニーリゾートが楽しいというわけでもない。
わざわざサンタの存在を暴いても、プレゼントが貰えなくなるだけで、特にメリットが思いつかなかった。
私は、サンタの茶番にのり続けた。
ある日、兄の元には、サンタからのプレゼントが届かなくなったと聞いた。
理由はなんと聞いたかは覚えていないが、ああ、兄はパンドラの箱を開けたのだな、と思った。
あるいは、我が家のサンタ制度には、年齢制限があるのかもしれない、と思った。
思ったには思ったが、聞いたらプレゼントが貰えなくなるかもしれないので、へぇ、という感じで聞いていたと思う。
この時のことを、親は私のことを、なんと鈍感な子だと思っていた、と後に聞いた。
…
ある年、私は両親に呼ばれて、ついにサンタのコントは終焉を迎えた。
そして、サンタはいない、今後のクリスマスは、サンタのプレゼントは渡さない、と言われた。
その年のプレゼントは用意してくれていたので、私は、サンタでなくて全く構わないから、私が眠った後に、枕元に置いといて欲しい、と伝えた。
母はキョトンとした。
別に、サンタ本人でなくてもいいから、寝ている間に、プレゼントを置いて欲しいのだ。
プレゼントの中身は別に何だって構わない。
ただ、置いて欲しいのだ。
嗚呼、私はなんて面倒なガキだ。
ちなみに兄は、プレゼントの置き時計に、近所のスーパーのシールが貼ってあったことを指摘して、サンタはあの店に寄ってきたのか、と聞いて、サンタコントが終了したそうだ。
もちろん兄も、サンタがいるとは思っていなかった上で、サンタのコントに参加していた。
しかし、親を出し抜いてやりたいという欲求に勝てなかったらしい。
***
プレゼントが欲しいが為に、サンタの存在を信じるフリをしていた私も、
親にギャフンと言わせたくて、サンタがいないと思う根拠を提示した兄も、
子供達はだれもサンタの存在を信じていないにも関わらず、サンタが存在する前提で必死に演じた親も、
皆滑稽である。
(私が一番ヤバい)
しかし、思うのだが、子供は、サンタクロースが実在するから、クリスマスを楽しんでいるわけではないのだと思う。
親が必死に、我が子を楽しませようと、おうちディズニーリゾートを敢行してくれる、そのことが嬉しくて、
子供心に薄々矛盾に気付いていても、子供は子供でまた、親を喜ばせようとして、サンタを信じる子供を演じて、幸せな家庭を維持しようとしているのではないか。
だからきっと、これで良いのだ。
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