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Base よしもと

お笑いの舞台というものに人生で2度ほど行ったことがある。

一回は友人と一緒に吉本新喜劇でなんばグランド花月に。

もう一回は、今はなきBaseよしもとである。
前にアメトークでbaseよしもと芸人をやっていて、ふと懐かしくなった。


当時は学生でお金もなく、劇場など行ったこともなかったが、一度行ってみたいな、と思い、調べてみると、baseよしもとという劇場で、1000円とか2000円とかで舞台が見られることを知った。

一緒に行けそうな相手もいなかったが、いつ行ってみようかと、出演者を調べた。
せめて知っている芸人さんのいる回が良いけど、人気者ばかりだと、チケットも売り切れている。
その中で知っている芸人さんもいて、チケットがまだ取れて、お手頃価格のステージを見つけた。

その時のメンバー
・藤崎マーケット
・モンスターエンジン
・天竺鼠
・学天即

いや、濃い。そして渋い。
我ながら、今思い返しても、なかなか良いメンバーだ。

初めてチケットを手に、入り口に並ぶ。
緊張しすぎて、あまりほとんど覚えていないが、周りはほぼ、お笑い好きで劇場に通ってる人、みたいな感じで、初めてきてキョロキョロしてるのは私だけのようだった。

入場券と引き換え?に、オロナミンCの自販機のみに使えるコインをもらった。
現金じゃなくて、その特殊なコインだけ使える自販機が珍しくて、自販機でキョロキョロしていると、周りの通い慣れた人たちは、イライラしているように見えた。
オロナミンCを自販機で買えること自体にもウキウキしていたが、お笑いという特性とは裏腹に、周囲の観客に対してやたら緊張したのを覚えている。

確か、席の指定はなかったんじゃないかなぁ。
席どこ座ればいいか分からず、かと言って聞く人もおらず、適度な場所にひとり座る。

私だけひたすらキョロキョロしながら幕は開けた。

実際…どうだったのだろう。藤崎マーケットとモンスターエンジンが漫才をやって驚いたのはなんとなく覚えている。
その頃は確か、藤崎マーケットはラララライ体操が流行った後で、モンスターエンジンは神々の遊びのコントで流行した後だった。

シンプルに、彼らが漫才もやることを知らなくて、驚いたのだけ覚えている。しかも、かなりちゃんとした王道漫才みたいなのだった気がする。

当時は天竺鼠と学天即の存在は知らなくて、記憶が正しければ、天竺鼠だけはコントをやっていた。私は全然知らなかったので、ふざけた感じにキョトンとしていたけど、めっちゃウケていて、浮遊感を感じたのはなんとなく覚えている。
学天即は多分漫才だったとおもうが、残念ながら、ほぼ何の記憶もない。

その後はコーナーみたいなのだった。
今はYouTubeとかでも、劇場の動画とかが見られるのでなんとなく雰囲気がわかる。
でも、当時はテレビでしかお笑いを見なかった上、今の時代みたいなゆるい笑い、ちょっとグダグダになるところにある面白さがわかるという感じではなかったので、周囲の笑いのタイミングと自分のタイミングが合わず、なんとも気まずい感じの記憶が残った。

終わったら、劇場ファンの皆様は、そそくさと出て行って、入り口とは違う感じのところに並んでいた。多分出待ちというやつだったのだと思う。

私は、先ほどの記憶を反芻しながら、ぼんやりと本屋で適当に本を眺めていた。

劇場、圧がすごいな。

面白いとか面白くないとかいう以前に、劇場の雰囲気と、ファンの方々に圧倒されて、すごく興味深い体験だったけど、しばらく来ないな、となんばの街をあてもなくふらふらしながら思っていた。

そうこうしているうちに、気付けばbaseよしもとは無くなって5upよしもとになり、やがて漫才劇場になった。

まだ次の劇場を訪れる機会は訪れていない。

今ならもう少しワクワクできる気がする。

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