つらいときこそ家族
「今日、早く寝れなくてごめんなさい」
台所でしょんぼり肩を落として妻に謝っている息子の姿が目に入った。
確かに最近、体調があまりよくない息子に対して「早く寝るように」と言ってはいたけど、実は今日は夜更かししても全然仕方がない日だったんだよね。
だって今日はあの
SASUKE ワールドカップ
の日だったからさ。
けど、彼のひどく落ち込んでいる様子を見て、やっぱり心身ともにあまり調子がよくなそうだなと改めて思った僕は、その彼の隣を無言で通り過ぎ、彼の布団の中にこっそり忍びこんだったのだった。
何も知らず布団に入ってくる彼を驚かすつもりでね。
でも、どうやら僕が思っていた以上に掛け布団がふっくらと膨らんでいたみたいで、この僕の即席どっきり計画は未遂に終わってしまった。
でも、僕が隠れているのがバレバレなその様子を見て、息子がケラケラと鈴の音のような声で笑い出したから、そして、布団の中に入ってからも、今日、アマプラで初めて見たX-MENの話を楽しそうにし始めたから、ある意味、僕のミッションはコンプリートしたのだと思う。
うん、しんどいとき、しょんぼりしているときこそ、くだらないことしあって、笑い飛ばして行かないとね。
ちなみに、これ、息子のためにしているように見えるけど、実は全然違うんだ。
そう、本当は自分のためだった。
なぜならお父さんも実は仕事のことでこの数日とても不安な気持ちになっていたからね。
でも、これで少し気持ちが軽くなったから、また明日からしっかり頑張れそうだよ。
だから、今日もまたこんなくだらない茶番に付き合ってくれて、ありがとな!