百点満点の一日
帰りのロマンスカーの中で妻がお出かけした際のいつものお約束のあの質問を息子に投げかける。
「今日は何点だった?」
すると、息子はすかさず
「満点!」
と答えたから、僕は思わず
「お〜!マジかあ!」
と大きな声を出してしまった。
なにしろこれまで彼から満点が出ることはほとんどなかったからね。
そして、僕がその理由を尋ねると、
「ぜんぶが過不足なく絶妙なバランスだったからかな。」
という彼らしいクールな回答が返ってきた。
そして、うん、確かにそれがいちばん的確な表現かもしれない、と僕自身もとても納得した。
竹林、タケノコ、ヤマザクラ、ウグイスの鳴き声、川のせせらぎ、まばゆい新緑、そして、海
確かにこの日、僕らの目に映るもの全てはどれも完璧に調和していて、何一つ欠けてはなかったし、何一つ余分なものもなかったよね。
お父さんも朝のタケノコ狩りを張り切りすぎたせいで家に帰るなりバタンキューでお母さんと君が一所懸命アク抜きしているのを横目にしながら爆睡してしまうくらいカラダはクタクタに疲れ果ててしまったけれど、そんな自然の自然な佇まいにたくさんのエネルギーをもらえたから、また明日からバリバリ頑張れそうだよ。
けど、正直に告白すると、帰りに近所のドラッグストアでアク抜き用の重曹を買ってレジで会計をしていたときに、君の口から思わずポロッと出た
「これでタケノコのアク抜きがちゃんと出来るね!」
という大きな心の声と、それを聞いた店員のお姉さんのクスッというリアクションに君が照れくさそうにしていた姿がとにかく可愛すぎて、お父さんは、それにいちばん元気をもらったかな(笑)
うん、そんな最後の旅の締めくくりもあったから、僕にとっても今日は百点満点な一日だったかもしれない。