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転生したら、高嶋政伸になっていた件(通称 転政)

「姉さん、事件です!」

もし僕が、ホテルマン時代の高嶋政伸に転生していたら、間違いなくそう叫んでいた出来事が起きたのは、昨日の深夜のことだった。

いわゆるそーゆーお年頃なのか、就寝中、いつものように不意に尿意をもよおした僕は、ねぼけまなこをゴシゴシこすりながら、トイレに向かった。

そして、便器の蓋を開けた瞬間、思わず

なんじゃこりゃあ!

とあっと驚くタメゴローになってしまったのだった。

というのも、なんと、その中には、子供のものとおぼしき、寝間着のズボンとパンツが詰め込まれていたからだ。

それから、ビチョビチョになったそれをつまみ出して、なんとか用を足した僕は、すぐさま、寝室に戻り、布団ですやすやと眠る妻と息子にこう言いながら彼らを容赦なく叩き起こした。

「なんか、トイレでありえないことが起きてるんですけど〜」

なんだ、うるせえなあ、としぶしぶと起きた二人に事情を説明しつつ、息子のアンダーバディに目をやったら、案の定、すっぽんぽんだったから、

「犯人はお前だ〜!」

と叫んだりはさすがにしなかったけど、早速、彼への事情聴取を開始した。

本人も、寝惚けてて、あんまりちゃんと覚えてなさそうだったけど、どうやらひさしぶりにおねしょをしてしまい、パニックになって今回の犯行?に及んでしまった、というのが事の真相のようだった。

まあ、妖怪やお化けの仕業ではなかったから、とりあえずよかった、ということにしておこう。

しかし、今回の息子の奇妙な行動に驚きながらも、実は妙に納得している自分もいた。

いや、それどころか息子はやはりわれわれ寝た子一家の正当なる後継者である、とむしろ頼もしい気持ちになったほどだ。

いったいどういうことか。

と言うと、要するに僕にも僕の親父にも、過去に似たような珍事(ちん、だけに)を起こした前科があったからだ。

ちなみに、親父は、僕が中学の頃、夜、酔っ払って寝室の押し入れの襖を開けて、なけなしの高級羽毛布団に向かって放水したし、 

僕は僕で、今から6年ほど前に、同じく酔っ払って、リビングのカーテン(自由が丘のF.I.Qで購入した北欧製のちょっとエクシペンティブなやつ)に向かって盛大に放水した。

ちなみに、このとき、泣きながら必死に止めようとした妻に向かって、僕はすごく慈愛に満ちた笑顔を浮かべて「大丈夫だよ、大丈夫」と呟きながら、優しく彼女の頭を撫でたそうだ。

もちろん本人は一切合切何も覚えてませんが…。

そんなわけで、今回のようなお小水がらみのハプニングは実は寝た子家の伝統芸であり、唯一、異なるのは、息子はお酒を飲んでなかった点だけど、それだって、その晩、僕がひさしぶりに家飲みしていたので、知覚過敏な彼がそのアルコールに当てられた可能性は大いにあると思う。

というわけで、以上、何の感動も教訓も生まない、ただひたすらにくだらない我が家の事件簿のご紹介でした。

まあ、確かにくだらないけど、比較的、笑えるネタには事欠かない家族であることは、なんとなくご理解いただけたかもしれない。

それが果たしていいのか、悪いのかは、知らんけども。

そして、今宵のBGMは何となくこれかなあ…。


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