まだ心に茨が刺さっていたんだ
「惜しくも入賞を逃した10名については、投票をして上位3名に特別賞を与えましょう」
本当はこの時点で、僕の負けは確定していた。
何故ならライバルたちの中には僕よりも人気がある人たち、つまり
すでにいろんな人たちからその表現力を賞賛されていて、確かにそこに
be here now
している人たちが何人もいたからだ。
でも、どこまで行っても、そして、いくつになっても、ありえない希望や期待を抱いてしまう愚かな僕は、このときも
一縷の望み
そう、
今度こそは
ずっと誰からも声をかけられず、invisibleで
no where man
だった僕も
ようやく
now here man
になれるかもしれない
なんて
淡い夢を抱いてしまったんだ。
そして、今回もいつもどおり
それは単なる
false alarm
に過ぎなかった。
ただそれだけのこと
もうすっかり慣れきったこと
だったはずなのに、
僕はどうして今、
泣いているのだろう。
深夜4時
そんな僕は、
あのとき
僕の胸を突き刺した
薔薇の茨の存在
を確かに知覚したのだった。
そして、なぜだろう。
このとき
生まれて初めて僕は
「ああ、きっと全てはここから始まるんだ」
と思ったんだ。