やさしさを見せつけられてた
この令和の時代に、まさか、まだ見れるとは思わなかった。
そして、こんなにコーフンしながら見れるとも思わなかった。
それくらいたまたまテレビをつけたらやっていた欽ちゃんの仮装大賞は、
仮装のクオリティが過去一に高いように見えたけれど、それ以上に
「欽ちゃんに会いたかった」
と話す83歳のおじいちゃん
や
ひとりだけ頑なに満点を押さない最後の砦と化した憎たらしい梅沢富美男
や
その梅沢のせいで満点取れずに少しシュンとした若者に向かって、
「すげぇ良かったよ!だから、もっと元気出せよ!」
と席から立ち上がって励ます熱血キャラの竹内涼真
や
ヨボヨボでほとんど喋れない欽ちゃんに代わって、とても堂々とメイン司会をこなす香取慎吾
などなど
この(僕らが大好きだった)欽ちゃんの仮装大賞をとにかく盛り上げようと
出ている人たちみんなが一致団結して頑張っている様子がひしひしと伝わってきて、笑いながら、気づいたら目頭が熱くなっていた。
だって、僕が子供の頃からやっていた番組だもんね。
それこそ当時は家族4人こたつに入りながら、家具調のパナソニックならぬナショナル製のでっかいブラウン管テレビで見ていたのだから。
それが薄っぺらい液晶テレビでスマホをいじりながら、
あの時(昭和)と全く変わらないクオリティの
ダンボールとか模造紙とか、あとあのビニールテープのひらひらとかを駆使した素人の仮装
を見せられているというまるでタイムリープしたような不思議な感覚。
しかし、その時代錯誤な出し物が全然色褪せずにちゃんと面白かったのは、
きっと出ている人、そして、見ている人みんなが
「もしかしたらこれで最後かもしれない」
と薄々気づいていたからこそ起こせた
奇跡
だったのかもしれない。
それくらい82歳の欽ちゃんは、側から見ていても本当に心配になるくらい衰えていたしね。
そんなわけで、
「もう、昔みたいに飛べなくなってしまった、欽ちゃん…。」
などと僕も少ししんみりしていたら、そのヨボヨボでほとんど無口な欽ちゃんが、突然、出演者に向かって
「話してて楽しい審査員とむずかしい審査員どっちの話を聞きたい?」
と聞いて、その人が「楽しい人がいい」と答えたら、
「じゃあ、梅沢富美男さん、よろしく!」
と言っているのを見て、
「ああ、まだまだ健在だなあ」
と欽ちゃんを舐めていた自分を少し反省した。
それはともかくテレビを見ていて、
こんなにも心がポカポカと温かくなった
のって本当に久しぶりの体験だった。
まさに、あの昔の流行歌の歌詞みたいに、お互いの優しさを見せつけられているようなとても幸せな時間だった。