尾崎とかブルーハーツとか大嫌いだったあの頃の君へ
今回はかすみさんのこの企画への参加記事となります。
彼女が期待してる反抗期エピソードは、おそらく思春期の子供が親に反抗的になる的な意味合いだと思うので、いわゆる分かりやすく親に反抗した経験がない僕に果たして彼女の期待に叶う記事が書けるのか甚だ心もとないですが、とりあえずあの頃を振り返ってみることにします。しかも、なぜかお手紙形式で(笑)
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親愛なる、いづれ僕になる君へ
お久しぶりーふ
今でこそ、君のことをジョークみたいに軽いノリで他人に話すことができるようになったけど、それまでは正直、まごうことなき黒歴史として、あの五条先生を閉じ込めた獄門疆(ごくもんきょう)みたいに、ずっと封印していたよね。
何しろあの頃の君と来たら、人に笑ってもらえるようなおもしろエピソードなんか皆無で、逆にみんなの笑顔をひきつかせるエピソードなら五万とあるようなタイプの人間だったからね。
まあ、そりゃあ、伊達に中高6年間、友達が一人も出来なかったヤツだけあるよね。
実際、この6年間で他人と話した言語数はおそらく400字詰め原稿用紙ニ枚にも満たないだろう。
その反動なのか何なのか、今ではやけに饒舌なオッサンになってしまったけど。
小学高学年の頃は、間違いなくクラス1のお調子者かつ人気者だった君は、中学の詰襟の制服に袖を通した瞬間から、まるで失語症のように何も喋れなくなってしまったよね。
初登校の時に同級生に何を話しかけてかいいか分からず自分の机の前で一人じっとしていたら、そのまま6年が経過していたような感じかな。
いや、それは嘘だよね。ここでは君の名誉のために詳しいことは割愛するけど、まあそれなりにいろんなことがあったはずだ。
そして、未だに夢に出てくるのはお昼休みの時間のこと。
みんなが教室でワイワイしている姿を見ていたたまれなくなった君は、よく学校の壁をよじ登って(この時間、校門は閉鎖されてしまうので)、外に出て住宅街の道を一人ふらふら歩いていたよね。
いわゆる高級住宅街の一角で、当時はバブルも絶頂の頃だったから、すごく素敵なお家がたくさんあって、バカみたいに見惚れていた君。
そんな感じで過ごしながら、その寂しさや不満を家族にぶつけることもなく、暇を持て余して勉強しかしてこなかった君は、やがて当然のように通知表でオール5しか取らないような、親御さん的には申し分のない良い子になっていたよね。
高2の2学期までは…。
そう、その後、君はあることがきっかけで、不登校になり、学内偏差値も75から35に急降下して、最後の最後に、親の期待を君は思いっきり裏切った。
当時の親からしたら、反抗なんて生易しいものではなくて、ほぼ反乱、クーデターに等しい行動だったかもしれない。
実際、母親が鬼のような形相で何度も無理矢理に学校に行かせようとしたけど、いつしか君は三畳一間のバリケードに立てこもり始めたよね。
しかし、このときの君には不思議と罪悪感はなくて、むしろ他人が敷いたレールから降りることが出来て、正直、ホッとしていたはずだ。
でも、その一方で、誰ともまともに話せず、学校までドロップアウトしてしまった自分に生きる術や未来への展望はあるのか
君はずっと悶々としていたよね。
でも、そのとき、君は出会ったんだよね。
小説、漫画、映画、音楽といった素晴らしいポップカルチャーたちに。
確かにあのときのポップカルチャーは君にとって間違いなく心の酸素ボンベの役割を果たしていたと思う。
彼らの助けもあり、君はいつの日か、あの「状況が裂いた部屋」のトビラを自分の力で開けるだろう。
そのとき、君はポップカルチャーたちへの感謝の気持ちをカタチにすることを自分の生きる目的の一つにする。
そして、君はやがてイカしたボップカルチャーと共に最高に自分の人生を味わい尽くす大人
つまり、
僕になる。
だから、安心しな。
その真っ黒くろ助なトンネルの先にはちゃんとまぶしい世界が待ってるから。
〈おしまいける〉
あ、ブルーハーツは単なる食わず嫌いだったので、今ではめちゃくちゃ好きなバンドです。
この前も「1000のバイオリン」、カラオケでシャウトしたばかりだしね〜。
ちなみに今はこんなの聴いてまする〜。