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【さよならno+e】何者でもない僕(ら)を大切にして生きることに決めたから

「お父さん、そろそろno+eやめたら?」

昨晩、隣の布団で寝ている息子から、突然そんなことを言われたからドキリとした。

けど、同時に僕はどこかでそう言われるのをずっと待っていたような気がした。

そして、何よりも最愛の息子からの提案でもあるから、僕は今回の記事を最後にno+eを書くのを止めることに決めた(完全にno+eを止めるわけではないです。そのあたりの話は最後にさせてください)

一方で、これまで僕の記事を読んでくださった読者の方々に対して、「はい、止めました」だけではさすがに失礼なので、どうして僕がこのような決断に至ったかについてきちんと説明したいと考えている。

というわけで、この僕の最後の記事で、その話をさせてください。

まず息子がなぜあんなことを言ったかについて・・。

それは、まず最近の僕が、自宅で一家団らん中でもno+eを書いたり読むのに夢中になって家族からの問いかけにうわの空になったり、生返事を返していたことがある。しかし、彼がいちばん嫌だったのは、時々、僕がno+eのことですごくイライラして家族に八つ当たりしていたことだと思う。

というのも、僕はいわゆる賞やコンテストの類に応募して落選するたびに、自分でも驚くほど落ち込んでしまって、挙句の果てに、家族や友人たちをその自分のストレスのはけ口にして、たくさん傷つけてしまっていたからだ。

だから、息子のあの一言は、

「そんな本末転倒なことを繰り返していると、そのうちおまえは大切なものをすべて失うよ」

という神様からの警告のように聞こえたのだった。

ちなみに、賞やコンテストに落ちる度に僕がなぜこれほどまでに落胆するかというと、

それは、間違いなく僕自身の

「何者かになりたい」

という強い欲求、欲望の成せる技に他ならない。

だから、選ばれない側に立つたびに、「自分が何者でもない」という事実を嫌が応なく突き付けられたような気がして、その白々しさに耐えられずに、僕の気持ちは激しくかく乱されるのだった。

しかし、どうして僕はこんなにも何者かになりたいのだろう?

何者じゃなくても、今の僕には、愛する家族や、数は少ないけれど気心が知れた友人たちがいて、じゅうぶん幸せなはずなのに・・・。

にもかかわらず、どうして僕の胸はこんなにも、息もできないくらい苦しくなるんだろう?

気づいたら、そんな僕の目の前に、小学生くらいの男の子がひとり立っていた。

白いアディダスのキャップを斜めに被った彼は、いつものようにおどけてみんなを笑わせようとしていたけれど、よく見るとその両目からは涙があふれていた。

「僕はみにくいあひるの子だ」

「僕は憧れのお父さんみたいにハンサムでもなければ、頭も賢くない。だから、いつもお父さんから、おまえはダメだ、ダメだって言われても仕方ないんだ」

「でも、仕方がないことなのに、どうしてこんなにも悲しくて悲しくて涙が止まらないんだろう」

「でも、こんな僕でも、頑張って、偉くなったり、有名人になったら、お父さんも認めてくれて、いつか僕のことを優しく抱きしめてくれるかな」

そう言いながら、少年は泣きじゃくっていた。

ああ、そうか。

「何者かになりたかった」のはあの少年だったのだ。

僕は彼の元に駆け寄り、そっと優しく抱きしめて、( T_T)\(^-^ )した。

「もういいよ。もういいんだ」

「だって、何者でもなくても、僕は君のことが大好きだからさ」

「うん、うん、うん・・・」

そして、僕らは抱き合いながら、人目を憚らず、わんわんと泣き続けた。

でも、その涙は、とてもあたたかくて優しくて、それがつたうたびに僕たちの硬く冷え切った心がどんどんやわらかく溶けていくのを感じた。

ひとしきり泣いた後、僕が改めて周りを見渡すと、そこにはみんなが、そう

「まったく、こいつは、いくつになっても、しょうがないなあ・・・」

とあのいつもの呆れ顔を浮かべているみんなが立っていた。

僕は、そのうちの一人が差しだした小さな手を優しく握り返して、立ち上がった。

「もう、決して手離さない」

そう固く心に誓いながら。

<fin>

というわけで、これまで私の拙い記事をお読みいただいた皆様、本当にありがとうございました。

ただ、冒頭に申し上げた通り、完全にno+eを止めるわけじゃなくて、賞やおすすめには関係しない「つぶやき」や似顔絵投稿はたまにしようと思ってますし、不定期ではありますが、ラジオも続けるつもりです(むしろラジオはもっと力を入れようと思ってるくらい(笑))
ちなみに最新話はこちら↓

そして、もちろん一読者としてこれからも皆様の記事は引き続き楽しく読ませていただきます。

というわけで、形は変わりますが、改めてこれからもよろしくお願いいたします!


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