きっとこの胸の痛みには意味がある
AM8:25
病院に続く商店街の長い道のり(ロング アンド ロングロード)を松葉杖をついて歩く。
何度か立ち止まり、痛みで思わず顔を歪めた。
「この人、きっとよほど患部が痛むんだろうな」
とすれ違う人たちは思ったことだろう。
でも、僕の顔を歪めている原因は、実は患部=身体の痛みではなくて、
胸の痛みだった。
そう、昨日、会社のある重要資料に初めて目を通した僕は、
自分が目指しているゴールの道のりの途方のなさを自覚せざるを得ず、
その瞬間、
ゴーン、ゴーン!
と
絶望の鐘の音
が鳴り響いたのだった。
だから、今朝もそのときのことを思い出して、僕は思わず顔を激しく歪めてしまうほどの胸の痛みを覚えたというわけ。
でも、普段の2倍以上の時間をかけて、病院に無事辿りつき、必要な処置を施してもらった後、商店街の通り沿いにあるドトールに入って何食わぬ顔をしてパストラミサンドを食べながら、ノートパソコンをカタカタ打ち始めた頃には僕の心はすっかり平常心に戻っていた。
そう、どんなに歩みが遅かろうが、そのゴールが途方もなく先に見えようが、これまでどおり僕は目の前の仕事を淡々と、でも、いつだってしっかりとこの足りない頭をフル回転させながらこなしていくほか術はないのだ。
あ、もうひとつ大事なことがあった。
それは、もちろん、この胸の痛みを決して忘れちゃいけないってことである。