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あわてんぼうのサンタクロースがやってきた ギャー!ギャー!ギャー!

時は2024年12月22日、時刻は午前1時過ぎ

この日もご多分に漏れず朝寝坊した僕たち家族3人は寝ぐせも寝間着姿もそのままに、お菓子のケーキづくりに精を出していた(12月上旬に無印のキットを買っていたのに、気づいたらクリスマスイブまであと2日じゃないか・・)。

そんなてんやわんや三度笠な状況のときに、突然、家のインターホンが鳴った。

「ブラックフライデーが終わって、配送はひととおり落ち着いたはずなのに・・」

と僕は怪訝な顔をして、インターフォンのディスプレイを見ると、そこには黒いマスク姿の怪しい男が立っていた。

しかも、名前を中々名乗らないから、僕らは正直、戸惑った。いや正確にはちょっとブルった。

しかし、しばらくして、

「三田(仮名)です」

と名乗ってくれたから、ようやく彼の素性が分かったのだった。

三田(仮名)は大学時代からの僕の悪友だ(親友でもマブダチでもなく、やっぱり悪友という呼び名がいちばんしっくりくる)

そういえば、彼とは年末、飲む約束をしていたのだけど、僕が骨折してリスケをお願いしたときに新しい住所を聞かれたから、おそらくお見舞いに来るんだろうなとは思っていた。

しかし、まさかアポなしで来るとは思わなかった。

しかも、めちゃくちゃ間が悪い。

何しろ僕らは、寝ぐせが爆発して、モコモコのフリース寝間着姿の、まるで山賊かなまはげみたいな恰好をしていたし、もちろん部屋も散らかり放題だったから、とても客人を招くような状態ではなかったのだ。

気付いたら、妻は二階に駆け上がっていた(苦笑)。

仕方なしに、僕が玄関のドアを開けると、

三田くん(仮名)がいつものあのぶっきらぼうな感じで、紙袋を僕に押し付けてきた。

中を除くと、「切腹最中」と書いてある。

三田くん(仮名)は、「おまえは切腹しろ!」

と一言だけ(ダイイングメッセージ?)言い残して、その場を立ち去ろうとした。

もちろん僕の木村拓哉はすかさず「ちょ待てよ!」と言ったし、2階から妻も大声で(笑)、

「ちょっと着替えるから待ってください」

と呼び止めた。

しかし、その僕らの制止も待たず、

「仕事の合間に来たから・・」

と彼は車でさっそうと立ち去ったのだった。

三田(仮名)がくれた紙袋を改めて覗くと、切腹最中の他に、船橋屋のあんみつが3個入っていた。

しかし、彼が去った後、このあわてんぼうの三田さん(仮名)はさんざんな言われようだった。

妻「なんでアポなしでくるのよ。連絡くれたらちゃんとおもてなしするのに・・」

息子「切腹最中5つにあんみつ3つってさすがに多すぎだよ」

僕「相変わらず間が悪いやっちゃなあ」

ってな具合にね。

けど、みなと一緒に悪態をつきながら、僕はそんな不器用であわてんぼうの三田さん(仮名)のことを、どうしても嫌いになれなかった。いや、むしろますます好きになったような気がしないでもない。

あれは3年前の12月25日のこと

三田さん(仮名)が子供たちのプレゼントを携えて出張から家に帰ってきたら、家はもぬけの殻だった。

奥さんが子供を連れて、実家に帰ったのだ。

そして、今、彼は奥さんと離婚調停中で、子供たちとも年に1度くらいしか会えていない。

そんな彼にとって、クリスマスは、まさにこの世でもっとも忌むべきイベントなはずなのに・・・。

にもかからわらず、その数日前に、僕ら友人家族にプレゼントだけ持ってきて、颯爽と去っていった。

そう、まさに彼自身がサンタクロースになっていたのだ。

で、あり得ないことに、あんな奴のことを思って、ちょっとウルっと来ている自分がいる(苦笑)。

そして、もしかしたら、そもそもサンタクロースって、そういう人なのかなと思ったり。

確かにサンタクロースに家族がいるって話、聞いたことがないし・・・。

そして、今日は待ちに待ったクリスマス・イブだ。

でも、今年は自分たち家族の幸せを満喫するだけじゃなくて、もしかしたら孤独な心を抱えながら、そりに乗っている最中にうっかり涙なんか流しているかもしれない世界中のサンタクロースの幸せも祈りたいと思います。

Happy Merry  Chrithmas!!!!




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