クリスマス⭐︎ぶる〜す
生まれて初めての
恋人と過ごすクリスマスになる
はずだった。
しかし、彼女にとって、僕はすでに
クリスマスを一緒に過ごしたくない人になっていた
なぁんて
露とも思ってなかった間抜けな僕は
運命の12月10日
町田駅前のルミネに入っていたアフタヌーンティーで、彼女から
突然、別れを告げられる。
そんなありきたりな、どこにでも転がっている
ぶろ〜くんは〜とストーリー
なはずなのに、
あのとき彼女の大きな瞳から
ポロポロとこぼれ落ちた
たくさんの玉のような涙のしずくたち
や
モスグリーンのコートが
とても綺麗だと思ったこと
そして、最後に僕からのリクエストで
たくさんの若者たちでごった返す路地で
初めて繋いだ彼女の白い手が
とても冷たかったこと
とか、
(当時、病的なまでに、というか文字通り奥手だった僕は付き合ってもう8ヶ月を過ぎていたのに彼女の手すら握れていなかった)
あのときの僕が体感した
あれもこれもが、
今だにこんなにも生々しく鮮やかに思い出せるのは、きっと
かつてこんな僕のことを好きでいてくれた人が存在した
ということに、皮肉にもこのとき初めて僕が気づいたせいかもしれない。
しかし、あのときは本当に死ぬほど苦しい思いをしたはずなのに、今ではこんな風にちょっとだけビターなすい〜とメモリーとして味わえてるのは、
きっとなんだかんだ言いながら、今の僕が幸せだからなのだろう。
確かに、かつて失恋した女性が洗面台の鏡に向かって
「絶対、キレイになってやる」
と叫ぶTVCMがあったけど、それにならうならば、このときに僕は、生まれて初めて
「絶対、幸せになってやる」
と思ったような気がする。
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