それでもサンタはいるって、ボクは信じてるんだ
12月25日 AM5時30分
ギシギシと2階の廊下が軋む音がして、妻がクリスマスプレゼントを納戸から出して、息子の枕元に置いていることが分かって安心した。
毎年、それは僕の仕事だったけど、今年は左足の骨折のせいで出来なかったからだ。
けど、一方で、どうにも胸の痛みを感じざるを得ない自分もいる。
例えば、昨日のクリスマスイブ
チキンを食べて、スクラッチをして、ケーキを食べながらプレゼント交換して、とクリスマスパーティー自体は例年通りつつがなく終わった。
唯一、違うことと言えば、不自然なまでにサンタクロースの話題が出なかったことだ。
例年ならスマホでサンタレーダーを見ながら、みんなでサンタクロースは今どのあたりを飛んでいるだろうって盛り上がっていたはずなのに。
今年は、なんだか触れてはいけないタブーみたいに、息子はサンタの話題をしなかった。
僕と妻が触れてもはぐらかした。
そんな彼の様子に戸惑いながら、過去のクリスマスの記憶が走馬灯のように蘇る。
今になって思うと、明らかにやりすぎだった思い出の数々が。
うん、何とかサンタクロースの存在を永遠に彼には信じてもらいたくて僕は必死だった。
だから、
「サンタ、うちに何度も来てくれたよね。ちっちゃい頃は本人にも会えたし。めちゃくちゃ体が大きかったよね」
なんて息子が言ってくれるたびに内心、ホッと胸を撫で下ろしていたのだった。
昨年、彼から「魔法のステッキが欲しい」と言われたときにはさすがに万事窮すと思ったけど、そのときも友人からの思いがけない、そして、とてもナイスなサポートのおかげで、何とか乗り切ることが出来たのだった。
だから、今年も大丈夫だって思っていたのだけど。
でも、彼がサンタを信じられなくなったのに具体的に何かきっかけがあったわけじゃなさそうだった。
うん、ただ息子は成長した、んだと思う。
だから、それは親としてはむしろ喜ぶべきことなのかもしれない。
でも、早朝の冷たい冬の空気が肌を刺すのを感じながら、これまでずいぶん手の込んだことをし続けて、ある意味、彼を騙し続けた自分のことがちょっと許しがたい気持ちになっていた。
僕がこんな余計なことしなければ、彼はきっとこんなにも落ち込むことはなかっただろうってね。
でも、バカなお父さんは、それでもサンタクロースはいるっていまだに信じているんだ。
そして、もう少し大きくなったときに、君もそんな僕の言葉にうなづいてくれる、とどこかで信じてもいる。
なんて虫が良すぎるかな?
でも、なんとなくそんな風に思うんだよね。
とにもかくにも、今年も
メリークリスマス!トゥーユー
心から変わらぬ愛を込めて。