天使が舞い降りた翌日、キミはボクに魔法をかけた
月曜日 PM10時
僕が寝室で布団に横になってnoteを読んでいたら、ドア越しのリビングで、息子が何やらドタバタやっている物音が聞こえてきた。
「いったいこんな夜遅くに何やってるんだろ?」
と思ったけど、
彼の
「あ、やべえ、ぶつけちゃった。ごめんね〜、傷がついてないかなあ。」
という言葉で、息子があの魔法の杖を持っていることが分かった。
しかし、去年のクリスマスにサンタさんからプレゼントされて以来、とても大事にしていることは分かっていたけど、彼が魔法の杖を引っ張り出したのは、これが初めてなはずである。
それから10分くらいして、息子の
「疲れた〜。」
という声が聞こえきた。
「むむ、これはひょっとして?」
と思っていたら、それからほどなくして、息子が寝室のドアをガラガラと開けて、
「お父さん、僕が魔法をかけておいたから、もう大丈夫だよ。」
と僕に話しかけてきた。
「えっ!なんのこと?」
と我ながら間抜けな受け答えをしてしまったけど、やはり息子は昨日の僕の一大決心がうまくいくようにと、さっきまであの杖を使って魔法を唱えてくれていたようだった。
今まで自己流で魔法を使うことをあんなにも怖がっていたのにね。
きっと昨日の僕の辛そうな様子を見て、なんとかしたいって思って勇気を振り絞ってくれたんだろうな。
そんなんフツーに泣くわ!
その後、もちろんトップシークレットだからここには書けないけれど、息子からこっそり教えてもらった魔法を唱える時のコツも、確かになるほどな、と思わせるものだった。
「ボクにはすべてが思い通りに行って、お父さんがすごく喜んでいる姿が見えるよ。」
正直、彼がサンタから魔法の杖をもらってからも魔法なんてちっとも信じちゃいなかった僕だけど、そう話す息子の顔を見上げていたら、なんとなく
魔法の正体が何なのか分かったような気がした。
そして、だからこそ
この魔法は絶対に叶うに決まっている
と僕は確信したのだった。
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