大停電の夜に
テレビから、ぽぽぽぽ〜んというメロディが流れていたあの頃、たまに計画停電なるものが実施されて、真っ暗な部屋で懐中電灯を灯しながら過ごすことがあった。
心細さを感じる一方で、このでんこちゃんからの不意の非日常な演出に少しワクワクしている自分もいた。
実際、部屋の隅の暗闇目掛けて
「陰翳礼讃!」
と叫びながら、指先称呼する
という
谷崎潤一郎ごっことか流行ったし。
しかし、今、振り返ると、もっと全力で遊べばよかったなあ、と反省もしている。
たとえば、和蝋燭の灯りのみを頼りに、巻物みたいに長い紙に、一筆書きで手紙を書き殴りするとか。
もしくは、あえて、近くの墓地を訪れてガチの肝試しをやってみたり。そして、そこで初めて僕は人魂とLEDの色の相似性に気づくだろう。そして、運が良ければ、あの妖怪運動会にだって出くわすかもしれない。
あと、あのときは、明らかにいつもより時間がゆったり流れていたから、僕のような素人でもいっこく堂のディレイ腹話術を成功させることができるかもしれない。
というか、これから遠くない未来に、またこの国にも、あの
大停電の夜
が訪れるような気がしてならないから、そのときは後悔しないように、全力で、
原始の記憶を呼び覚ますあの夜
を楽しむつもりである。
と我ながら、また読むに値しないくだらない記事を書いてしまったが、少なくともこの曲は名曲なので、これだけはどうか聞いてもらいたい。
「普通の会話を愛している〜♪」
まさに、それな〜!
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