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【企画参加記事】朝をぶっ飛ばせ!

9月最初の日曜日の今日

いつものように、ここぞとばかりにと寝坊して、10時過ぎにぽりぽりと頭と股間をかきながら、だらしなくリビングに登場した僕に、何やら興奮した様子の妻と息子が話しかけてきた。

おかげですっかり僕の眠気も吹き飛んだくらい、こんなにも彼女たちをエキサイトさせた正体はいったい何かというと、それは

子どもたちにとっての

日曜日よりの使者©ザ・ハイロウズ

こと、

「仮面ライダー」と「プリキュア」だった。

まずは今日から新シリーズが始まったらしい仮面ライダー、その名も

仮面ライダーギーツ(geets)

の話題から口火が切られる。

ギ、ギーツ?

「キーツとかイェーツなら知ってるけど、聞き慣れない英語だな〜。」

と僕の教養人アピール(家族に対してだけたまにやるお戯れ)をいつもどおり華麗にスルーした妻がノートパソコンを前にしながら、

「今回、出演者がとにかく豪華でさ〜。なんと乃木坂46の人(どうやら西野七瀬のことらしい)がヒロイン役で、キスマイの宮田くんが執事役で出てるんだよ〜。」

と話しだす。

「へぇ〜、なんだか気合入ってるね。」

と素直に驚く僕に向かって、妻がこう続ける。

「いやあ、実は本当に驚いたのはそこじゃなくてね、今回の悪役キャラクターの造形がとにかくぶっ飛んでてさあ。」

どうやらその画像を僕に見せたくて、さっきからノートパソコンで必死に検索してたらしい。しかし、検索してもなかなかヒットせず、予告動画をチェックしていたら、ようやく見つかったとのこと。

「これこれ、すごいでしょ?」

その画面には、いわゆるショッカーに相当する戦闘員たちが森の中で仮面ライダーと戦っているシーンが映されていたのだが、なんとなくイチモツのいやや一抹の違和感を覚えた。

それもそのはず、

なんと、その戦闘員たちの頭が、いわゆる、まあアレ…、

そう、世に言うところの

ちん○ん

以外の何者でもなかったのだ。

しかも、おらが村の道祖神ばりに生々しいやつ…。

最近の仮面ライダーがイケメンを主人公にすることでお母さん需要を開拓して見事に復活した事実を考えると、その最終形態としては

おおいに納得…

するわけあるか〜い!

と心の中で激しく突っ込んでゼイゼイ肩で息をしていた僕に、息子が追い打ちをかけるように話しかけてくる。

「じゃあ、今度は新しいプリキュアね。今、ちょうどテレビでやっているから、見てくれたらすぐに分かると思うけど。」

確かに、そこには、明らかにこれまでの連中とは趣が異なるキャラクターたちがいた。全体的に大人びていて、そして、そこはかとなく昔の少女漫画テイストを感じる。

「円安も止まる気配がないし、いよいよ日本、ヤバいよね。」

そんな国民の危機感が、マンネリ化著しかった仮面ライダーやプリキュアにこのような激的な変化を促したのか、と人知れず関心していたまさにその時だった。

令和のこの時代にまさかテレビで再会できるとは思わなかった御仁が現れたのは…

「お、お蝶夫人!」

驚きのあまり思わず声が出る。

しかし、それは結局、私の単なる勘違いだった。

確かに髪の毛も金髪ではなくて緑色だったし、名前も緑子さんだったし(しかし、それにしてもまんま過ぎる名前ですね)。

でも、もはや現代では美容師さんというよりもトリマーさんの仕事だよね、と思うくらい立派な彼女の縦まきロールは、明らかにあのお蝶夫人の伝統を受け継ぐものだった。

そして、主人公メンバーの一人と思しき男装の麗人風のメガネ女子がその緑子さんにかしづいて手の甲にキスをしたと思ったら、いきなりキラキラと変身し始めた。

「お〜、ようやく戦闘シーンが始まるのか!」

と期待に股間を、いや胸を膨らませたが、敵役はいっこうに現れる気配はなく、その代わりに、美しいドレスに身を包んだ彼女は、タカラヅカみたいなステージの上で、たくさんのオーディエンスを前に歌い踊り始めた。

えっ?何、この展開…。

そして、ここに来てようやく頭に浮上してきたある疑惑を妻に投げかけてみる。

「あのさあ、これってもしかしたらプリキュアじゃないんじゃない?」

「いやいやいや、そんなはずないよ。」

と妻が慌てて、テレビの番組表で映し出したタイトルを見る。

『ワッチャ!プリマジ』

プリマジ…。

「プリキュアちゃうやないかい!」

とすかさず僕がつっこむと、まさにリアルサザエさんの面目躍如ともいうべきこんな回答が彼女から返ってきた。

「えっ!これってプリキュアじゃないの?だって、タイトルにプリって入っているよね…。」

もし仮にこの彼女の理屈が成立するなら、

プリンスも

プリウスも

プリントゴッコも

プリンアラモードも

あのぷりぷりザエモンでさえも

みんなプリキュアになってしまう…。

で、そんな僕にトドメを刺すように、彼女から、新たな真実が告げられる。

あの後、番組の公式ホームページで調べたところ、西野七瀬やキスマイ宮田という豪華キャストも完全に彼女の見間違えだったらしい。確かにノートパソコンの画面には、彼らとはぜんぜんちがう写真と名前の俳優さんたちが載っていた。

以上、取るに足らない家族のドタバタエピソードでした。

ちなみに今回は盟友きゃらをさんの「お前ぶっとばす」という企画への参加記事になります。

ただし、妻をぶっ飛ばしたい、というわけでは決してなくて、なかなかままならない世の中だからこそ、こんな風に定常運転ならありえないようなドラマをたびたび産み出しては、ぼくらを襲う悲しみを

見事にぶっ飛ばしてくれる

リアルサザエさんよ、ありがとう!

という趣旨の記事となります。

〈おしまいける〉

で、タイトルはこの曲から…。



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