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鳥肌女とホエー男

昨夜、半年ぶりくらいに、Mさんと会った。

しかし、今回はサシで飲む予定だったはずなのに、先に着いた居酒屋で店員さんに名前を告げると、「3名でご予約のN.O.T.Eさまですね」と言われたので、???となりながら着席する。

数分後、Mさんが現れて、僕の頭の上に浮かぶ???に気づいたのか、すぐさま

「あ、勝手ながら、Sさんも呼んじゃいました」

と種明かしをしてくれた。

ちなみにSさんは彼女の前の会社の後輩の女の子で、もちろん僕も面識があった。

Mさんは親子ほど歳が離れた女性だから、別に異性として意識したことは(お互いに)なかったけれど、それでも若い女性と二人きりで飲むことに若干緊張していたから、この展開はこちらとしてはむしろありがたかった。

ほどなくして、そのSさんが登場。

MさんもSさんも元気そうで何よりだと思った。

今回は、僕の課外活動の作戦会議(実は仕事を通じて知り合った社外の人とビジネスにもならないような思いつきをみんなでワイワイ考えるのが僕の趣味なのだ)のために集まったので、この季節だから美味しいに決まっているビールで乾杯をした後、早速、お約束の僕の独演会が始まった。

おつまみをつまみながら、ビールで喉を鳴らしながら、二人がその話を聞いてくれている、そんなラフな感じが、とても心地いいなと思った。

そして、僕が話し終わった後、Sさんは

「鳥肌が立ちました」

と言ってくれて、実際、半袖のポロシャツからのぞく彼女の白い腕には、プツプツと鳥肌が立っていた。

つまり、それくらい彼女は僕の話に感動してくれたわけだけど、それは僕の話が決して感動的だったわけでも特別上手だったわけでもなくて、ただただ彼女に

この手の話に感動できる感性

があったに過ぎなくて、でも、僕はそれがめちゃくちゃ嬉しかったのだった(まぁレアケースではあるからね)。

しかし、その後は、みんなお酒も進んで(特にふだん飲まない僕はすっかりグダグダになって・・・)、気づいたら、真面目な話そっちのけで、えんえんくだらない話ばかりしていた(笑)

でも、それもまた一興、というか、久しぶりにめちゃくちゃ笑わせてもらったよ。

特にMさんの同期のKくんの話題は、Kくんには大変申し訳ないけど、腹を抱えて笑ってしまった。

どうもSさんはKくんのことが苦手というかちょっと嫌いみたいで、彼のことを

「薄っぺらくて中身のないチャラ男」

と断じて、彼のだめんずぶりを表すエピソードを面白おかしく話してくれた。

そしたら、Mさんが

「うんうん、Kはいわばヨーグルトの上澄みみたいな男だもんねー」

と合いの手を打ち始めて、その発言を聞いた僕は「えー!あなた、つい先日、新橋の焼き鳥屋の2階で、彼とは仲良しなんですって言ってたやん」と心の中で「ドヒャ!」となりながらも、僕が

「なるほど、じゃあ、彼はホエーな男というわけだね」

と返すと、二人とも

「そうそう、ホエーな男です!」

とその言い回しに我が意を至りといった感じで、満面な笑みを浮かべていた(まあ、ホエーも確かプロテインの原料になるくらいだから、案外、栄養豊富なはずなんだけどねー)

そんな風にバカ話でひとしきり盛り上がってお店を出た後、駅までの道を3人で歩いていると、Sさんが急に真面目な顔になって、

「世の中、生産性とか効率とかばかり言っていて確かにそれも大事ですけど、正直、それだけじゃつまんないですよね」

とため息まじりにつぶやいた。

それに「うんうん」とうなづきながら、不意に僕は今まで自分が出会ってきた彼女たちみたいな女性たちのことを思い出していた。

というのも昔から、不思議と、こーゆー美人で優秀で負けず嫌いの若い女性から慕われる性質(タチ)なんだよね←残念ながら、決してモテているわけではない(笑)

そして、僕は、“ぽわわわ~ん”と自分の頭に浮かんだそんな彼女たちに向かって、

「何はともあれ、幸せでいてくれー!」

と何となくそんな余計なお世話なことを祈ってみたのだった。

ちなみに、翌日、ホエーな男ことKくんがうちの会社のエリート社員相手に結構、頑張って営業してくれてたから、一応、Mさんのラインにそのことを報告しておいた。

まあ、きっと焼石に水だろうけど(苦笑)

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