はなうたでなぜ悪い
ふふふん、ふふふふふふん♪
どこかで聞いたことがあるメロディの鼻歌が聞こえてくる。
息子の鼻からだった。
そして、その鼻歌は、昨年の紅白である事情があってボツにされた歌でもあった。
「なんでその歌を歌ってるの?というかなんで知っているの?」
と僕が尋ねると、
「お母さんがYouTubeで聴いていたんだよね」
という意外な回答が。
というのも、彼女は藤井風は好きだけど、その彼のことは全くノーマークだったはずだからだ。
もしかしたら、年明けにあの話題を僕がしたせいかもしれないけど、真相は分からない。
というかそんなささいなことはどうでもいいと思った。
だって、息子の鼻の穴から流れてきたきたその歌は本当にとても素敵なメロディで、聴いている僕の方まで思わず鼻の子ルンルンしてしまうほどだったからだ。
そして、そんな僕たちみたいに、きっといろんな場所でいろんな人たちがこの歌を思い思いに楽しんでいるだろうな、という風にも思った。
大晦日の夜、彼が歌ったとおり、僕たちは確かに
ばらばら
なのかもしれない。
でも、そんな僕たちの心がつながることもあって、それはあなたの歌を聴いたり歌ったりしているときなんだよって、
あの日、周りの狂騒から距離を置いて、何となく泣きそうな顔でさみしそうに弾き語りしていたひとりのシンガーソングライターに向かって
僕はふとそんなことを伝えてみたくなったのだった。