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映画 Dr.コトー診療所

ドラマDr.コトーファンとして観に行って来ました。
まずはお馴染みの島の人達が勢揃いしていて懐かしい気持ちになりました。コトー先生はめちゃくちゃ老けていて、20年の時の流れをリアルに感じました。古い自転車と新しい自転車の対比をしつこい程写すんですが、あれも時の流れを意識させようということなんでしょうか?そんな事しなくても、吉岡秀隆さんの白髪だけでめちゃくちゃ感じます。

ネタバレありの感想ですが、後半から終盤にかけて、胸が締め付けられるようで見ていられませんでした。徹頭徹尾、研修医役の髙橋さんの言う通りなんです。だけど、その正論が通用しないのが今の世の中なんです。産業がなく、若者が出て行かざる得ない、医療体制も十分ではなく、行政の支援からも見放されている、ドラマの中の架空の世界ではなく、日本中にこうしたら見捨てられた田舎が無数にある。こうしたある意味における弱者に手を差し伸べるのは善意の個人しかないんです。確かに、島中の人がコトー先生に依存する世界は歪な世界で、奇跡でも起こらなければ成立しない。だけど、じゃあ島民に非があるのか?そんなことはないと思います。そんな自己責任が跋扈する世の中であってはならない。個に依存するのでなく、公が機能する世界を構築しなければならない。もちろん物語の中では奇跡は起こります。でも、現実世界にはDr.コトーはいない。この現実をある意味突きつける物語でもありました。

最後に、作中に印象的なシーンとして、コトー先生が、タケヒロに、「君が医師じゃないと人を救えないと思っているとしたら、良かったよ君が医師にならなくて」と言う場面があります。これは凄いことばだなと思いました。医者だから人が救えるんじゃない、人を救いたいから医者になったということなんですよね。それを受けて、タケヒロが終盤に取った行動に胸が熱くなりました。全体的に、気持ちが落ち込む話でしたが、ここは名シーンと言えるのではないでしょうか。



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